HOME >>アイスクライミング

奥三ノ沢アイス

日程: 2008年1月4日(金) – 6日(日) 前夜発
山域: 滑川奥三ノ沢左俣(中央アルプス)
参加者: 国府谷(L)・坂田
装備: アイススクリュー6本(F2にてビレーアンカー2本・ランナー4本)
行程:
第1日目: 上松2合目(8:15) – 二俣1550m(11:58) – 奥三ノ沢出合(14:55)
第2日目: 奥三ノ沢出合(6:41) – F1(7:05/8:02) – F2(8:18/10:00) – 雄滝(11:12/11:50) – 奥三ノ沢出合(13:30) – F1で遊ぶ
第3日目: 奥三ノ沢出合(6:45) – 二俣1550m(7:45) – 上松2合目(9:42)

Img_1094s_2 アプローチですっかり惨めな気分になった。自分に負けた。あろうことか気持ちで負けたのだ。自分のこんな惨めな姿をこの程度のところで見ようとは…!河原での踏み抜きの連続・凍った石でのスリップの連続・1500mを超えた位から膝上のラッセル・大小15回の徒渉(大きいのは半分くらい)…。確かに大変なのだが、いつものようには気持ちも身体も乗ってくれない。谷間に見える想像していた以上に素晴らしい稜線は奮起するに十分なものだったし、視界にちらつく泰から借りたブラックジャケットはライバル意識を呼び起こしてもうひと踏ん張りさせてくれるのだが、出合いまでもう200mか、というところで、国府谷さんに「ワカン履きます」と宣言した。敗北宣言に他ならない。もう1回は徒渉があるだろうし、もうゴールはすぐそこだというのに…。

出だしは快調だった。河原沿いの林道を足首程度の雪を快適に歩いた。有名な沢の割に、入山する人が少ない。この年末年始も誰も入らなかったようで、ノートレースだ。怒濤のごとく赤(+桃)テープが張り巡らされ、余計に混乱させられるくらいだ(工事用?)。バカ正直に追うと徒渉回数が増えてしまう。このテープも1420mを過ぎると突然途切れ、落ち着いた風景を取り戻す。テープが全くない有名ルートも珍しい。

このアプローチの難関は数多い徒渉だろう。水量はたっぷり。岩は氷が張ってちょっとしたジャンプすら躊躇してしまう。踏み抜いて脚が水につかることはしばしばだったが、さすがはプラブーツ、素晴らしい防水能力だ。13回目の徒渉ではとうとうでかい踏み抜きをやってしまい、慌てて靴を脱いてひっくり返すとたっぷりの水が流れ出した。革靴だったらアプローチ敗退になるとこだったが、プラブーツのインナーなら頑張れば十分乾かせる。ガスは多めに持って行った方が良いかも?特に今シーズン購入したスカルパのオメガは極薄インナーなので更に都合が良い。しかも国府谷さんが驚くくらいの軽さでフレックスもあり、ムーブをこなしやすい。さらにはシェルも極薄なのでつま先感覚も抜群だ。広河原沢で初めて使った時には足形が合わず違和感があったが、今回はシェル出しをしたので快適そのもの。スカルパの回し者かというくらい宣伝してしまったが、難点は何と言ってもこの色!アルファの黒からなんでこんな風にしてしまったのか、買うときにはかなり妥協させられた。

ついでにジャケットの話。視認度No.1のPAINEの蛍光色のアウター(雨具だが…)、正月合宿の初日にファスナーがイカレてしまった。ファスナーは山道具の弱点のようで、大抵ここから破壊が始まる。最近は止水ファスナーむき出しのデザインが当たり前になっているが、フラップは必須だと思う。ホックやマジックテープでしっかり留められるものが良い。入会して最初の冬山前に、こーやさんに連れられて買いに行ったこともあってお揃いになってしまったが、こーやさんの方も最近はムーンストーンのジャケットが勝負用になっているようなので、鵬翔公式ウエアもここらが寿命だったのだろう。相当に使い込んだとは言え、まだ寿命の半分くらいかと思っていたのだが…。代わりに今回、泰から借りたジャケット(雨具)、余りの軽さに驚いた。この軽さが動きやすさやフィット感につながっていい感じだ。新しいアウターを買う時は重量もファクターの1つにしようと思う。

ルートガイドにはアプローチ4時間、とある。どれほどの強靱さを持ってすればこれが可能なのだろうか?夏の沢登りのコースタイム?戸台のアプローチもかったるくて好きになれなかったが、その比ではない。

Img_1101s 整地の楽な小さいテントを張り、F1を偵察。水は本流からゲット(徒渉は避けたいがこれは楽)。夕食は火鍋。このメンバーにしては肉も入って久々に豪華だ。辛過ぎやしないかと心配したが、うまかった。

おっと、沢の概要くらいは書いといた方がいいかな。奥三ノ沢は滑川支流最大でF1・F2が核心の三沢岳へ一気に突き上げる豪快さ!1959年3月に芳野さん出身の名古屋山岳会が積雪期初トレース。ちなみに三沢岳、(予想を裏切って)カッコいいっす。中央No.1!主稜線からちょっと外れてるばっかりにマイナー扱いなのが残念。

翌朝4時半起床。正月合宿辺りから目覚めが良い。寝起き悪い度No.1の汚名を着せられてきたが、そろそろ返上か!?朝食は例によって湯を注ぐだけのぜんざい。

Img_1117s 早速のF1(40m・IV+)はこーやさんリード。弱点を突いた、ここしかないっしょ的ラインを登っていく。スクリュー4本。途中、ちょっと足を滑らせてヒヤッとしたが、快調だ。途中、水がしたたっているところはあるが、氷結は十分だろう。氷は柔らかいので楽。前回の広河原沢は薄くて神経使ったが、今回は快適だ。なんだかうまくなった気分にさせられる。新しいターボスクリューの効果は絶大で、回収をあっという間に済ませられる。広河原沢では実感薄かったエムテンも今回はいい感じ。ビレーは灌木(懸垂下降にも利用可能で50m・1ピッチでOK)。

初日とは打って変わって楽しい気分だ。ガンガン登るっす。

F1からF2はすぐ。途中で踏み抜いて膝を強打したのは痛かった。もうちょっと凍っててくれればいいのだが。F2(50m・IV+)はでかい!自分の数少ないアイス経験でも最大級。初めてのスクリューによる中間ビレーを経験した。ほんのちょびっと垂直っぽい部分もあり、F1よりもずっとスパイシーだ。2ピッチ目は右岸の灌木でビレー。懸垂下降は左岸のしっかりした灌木を使えば50m・1ピッチで可能だった。

Img_1123sF2からすぐに二俣になるのだが、これはルート図に載っていない。15mナメ滝などとおに埋まってしまっていてただのラッセルだ。

次の二俣は広い雪原となっていてビバークポイントなのだが、さすがに沢筋はデブっているので右岸の岩陰などが良さそうだ。稜線へ出るためには初日にこの辺りまで登っておく必要があるだろう。

この二俣はそれぞれに滝が掛かっていて雄滝・雌滝と呼ばれる。見栄えのいい雄滝(20m・IV+)を登る。なんだか調子がいいのでリードしたくなる(単に荷物が軽いだけ、なのかもしれないが)。こーやさんに目で訴えると、「リードしてみる?」(待ってました~)「いいんですか?」「お腹いっぱいだし」(ラッキ~)。これまでに経験したたった一度のリードでアックステンションに失敗してから苦手意識の強いアイス。どうやら克服しつつあるようだ。ここも灌木でビレー可能。懸垂下降支点も兼用。

Img_1140s もうランチタイムだ。到底稜線へ抜けることなど無理なので、取りあえず行けるとこまで先へ進むかどうかなのだが、F1をリードしてみたかったのでこのまま下降することをお願いした。ピークハントは次の課題だ。

さすがに2回目ということだけあってF1はリラックスして登れた。スクリューもフリーハンドで決められて良かった。

夕食はこれもお馴染みご飯にスープ。あっという間に終わって18時に寝袋へ。さすがに途中で目が覚めてしまうので、写真を眺めながら一日の余韻に浸った。寒い夜だった。

朝食はお馴染みの雑煮。超ローカロリー。

下山はトレースがあるので快適だ。登りとは打って変わって身体が前へ前へと乗り出してしまうので、つんのめって何度も転んだ(岩は相変わらず滑る)。下るだけなので徒渉も思い切ってやれる。何度もはまってしまったがジョークの一環のようなものだ。3時間掛かった1550mまで1時間で済んでしまった。4時間掛かった下流部も2時間と掛からなかった。トレース1つでこうも違うとは!

アイスは楽しい、と思えたことが今回の最大の成果だ。来週末の駒津沢・奥駒津沢も楽しみだ(軽量化は頭痛のタネだが)。ピークハントするつもりでいる。こーやさんには今回もお世話になり、ありがとうございました。

もう1度、ピークを目指して来ることになるに違いないが、その時はもっと強くなった自分でありたい。

(記: 坂田)

One thought on “奥三ノ沢アイス

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です