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年末の谷川馬蹄形縦走

日程: 2020年12月26日(土) – 29日(火)
山域: 谷川岳・馬蹄形縦走
参加者: 坂田(L)・江戸(SL)・塩田
行程:
1日目: 土合駅(7:10) – 白毛門手前1520m(C1)(15:15)
2日目: C1(7:00) – 白毛門(8:00) – 笠ヶ岳(9:40) – 朝日岳(10:35) – 清水峠(C2)(14:15)
3日目: C2(6:30) – 七ツ小屋山(8:00) – 蓬峠(9:05) – 武能岳(10:35) – 茂倉岳(13:45) – 一ノ倉岳手前1940m(C3)(15:20)
4日目: C3(6:25) – 一ノ倉岳(6:40) – オキノ耳(8:25) – トマノ耳(8:40) – (西黒尾根) – 土合駅(12:15)

メイン記録担当: 江戸

26日(土)

私にとっては念願の冬期馬蹄形チャレンジ(2回目)。前回挑戦時は1人だったが、今回は坂田さん塩田さんとの3人パーティで心強い。計画は予備日2日含めて計5日。
7時に出発。曇り空の中、少々雪がちらついている。入山一週間前にドカ雪が降ったため、初日から厳しいラッセルになることを覚悟(期待?)し、上下ともにベースレイヤーにハードシェルの臨戦態勢(汗っかき)で白毛門駐車場へ。駐車場の入口の雪深さは腰上。3人とはいえ、今回も苦労しそうだ。

いきなり腰ぐらいのラッセル
まだまだ余裕!


最初の急登に入ると、一歩進む毎に眼前の雪を崩しては踏み固め、踏み固めては崩し乗り越えていく酷いラッセルを強いられる。たまに藪を踏み抜くと、復帰に全身でもがかなければならず鬱陶しい。
先頭の負荷が大きくペースが上がらないため、坂田さんの提案で空身でラッセルする作戦に変更。これが上手くいき、先頭の負荷をパーティ全体に分散させることができた。

先頭は空身で


全身で泳ぎもがきながら進むようなラッセルを3人交代で夕方まで継続し、松ノ木沢の頭を過ぎたあたりで幕営。空身作戦の効果か思っていたよりは先に進むことができたが、最後は若干シャリバテ気味だった。隊列が伸びた状態が長く続き、休憩が疎かになってしまったためだろう。今後は意識的に補給しなければ。
初日の夕食は塩田さんの豚肉生姜鍋。豚肉800gと大量の野菜を3人でかきこみ、英気を十分に養うことができた。全身が疲弊し強風と降雪の中で眠る夜も、同行者がいるとやはり心強い。

初日はここまで

27日(日)

4時起床。4時半頃にパーティがテント脇を通り過ぎる。
7時に出発。空は晴れ、絶好の登山日和であったが、心の中は先行パーティに追いつこうと気が逸っていた。白毛門に辿り着いてもトレースは先に続いており、見ると先行者は笠ヶ岳の頂上を過ぎ朝日岳まで向かう様子。

2日目のスタートはトレースの後塵を拝する


日が昇り、雪が腐り掛けてくる中で笠ヶ岳に到着。山頂では、七ツ小屋山や武能岳、茂倉岳など、後半の目標が一望できた。
休憩も程々に、朝日岳へ向かう。道中は半ば雪が腐り踏み抜きが増えたものの、雪は膝下程度でトレースもあったので、ぐんとペースが上がった。
朝日岳到着目前で、引き返してきた先行パーティとすれ違う。聞くと0時過ぎに土合駅を出たとのこと。

朝日岳、天気良し
気温が上がってエビの尻尾がうまい?


朝日岳からはトレースは無い。次の目標は清水峠だ。ひたすら下り続ける行程なので、どれだけ雪深くても1時間半程度で着くだろうと思っていたが、完全に見誤っていた。
尾根を降り始めると、時には腰上までくる雪深さと藪の踏み抜きのためにラッセルは難航。下りとはいえ、ここまで雪深いと、膝を目一杯振り上げて一歩一歩踏み越えていくしかない。清水峠が常に見えている分、進みの遅さを嫌でも感じてしまう。いくらか下って勾配が落ち着いてくると、今度は雪を崩して踏み固めて乗り越えての繰り返し。10分も続けると、体中の酸素を使い果たしてしまいそうな全身運動。日が照り、風もない中で、我々は雪との格闘を延々と繰り返した。

ラッセルで満腹、清水峠目前でレスト


結局、清水峠に到着したのは朝日岳通過から3時間後。夜から翌朝までは強風予報のため、この日は清水峠で行動終了とした。
荷物を置き、七ツ小屋山方面へ30分程トレースを伸ばし、避難小屋に入った。
夕飯は私の担当。ぺミカンを水に浸し、味噌生姜の鍋の素を放り込み加熱するのみの簡素な鍋だ。ぺミカンはごま油とバターで固めており、〆に放り込んだラーメンが実に美味しかった。
日が暮れてから吹き出した強風の中、小屋の有難さを噛み締めながら床に就く。翌朝の風の様子や翌日以降の稜線の雪質、年末の寒波など、懸念材料は尽きなかったが、食料・燃料・体力の余裕からかポジティブな気分は崩れなかった。

28日(月)

3時半頃起床。深夜まで吹き荒れていた強風は止んでいた。

出足はまずまず


水作りに少々時間を掛け、小屋を出たのは6時過ぎ。峠から進むといきなり200m弱の登りに入るが、昨日トレースを作った甲斐もあって快調に進む。急登を越えた直後は比較的平坦な雪深い尾根道が続き、七ツ小屋山に近づくと再び傾斜がついてくる。ここの雪質は表面のクラスト具合がバラついたモナカ雪で、歩く場所さえ選べばそれなりに歩きやすかった。七ツ小屋山に着いたのは出発から一時間半後。昨日の朝日岳 – 清水峠での苦戦から、七ツ小屋山までに3時間は覚悟していたので、嬉しい誤算だった。

ここまで楽勝


七ツ小屋山以降の稜線は、雪深さは膝くらいで歩きやすかった。たまに藪を踏み抜くことはあったが、蓬峠までは特に苦労もなく到着。
蓬峠以降は雪庇とその付け根のクラックが目立った。クラック自体は雪で隠れてることが殆どで、落ちると腰まで嵌まるので鬱陶しい。12月末という時期もあり、雪庇がオーバーハングするほど発達している訳ではなかったが、進路取りには常に気を払った。

この辺からクラックも出てくる


武能岳 – 茂倉岳の行程は、全体的に雪深さは膝上程度で比較的歩きやすかった。ただし、この辺一帯は所々で薮が密集しており、その突破にはかなりの労力を要した。というのも、藪の上の雪のクラスト具合は不安定で、乗り越えていくには心元なく、かといって藪を避けると大抵吹き溜まりになっていたためだ。茂倉岳の登りなどは特に酷く、藪を乗り越えようとして表面の雪を踏み抜いては進路を変え、進路を変えては藪にぶち当たるといった調子のあまり面白くない歩行が続いた。

ここからが長い、晴天もここまで


茂倉岳の頂上付近にくると藪は無くなったが、今度はガスが出てきて完全に視界を奪われる。地図を見ながら地形、方角、斜度などを確認し、視界の端に薄らと見える雪庇らしき縁からは距離を取りつつ歩き続けた。頂上らしき場所に到着しても、結局どこが山頂なのかはよく分からず。休憩も程々にして先を急ぐ。
相変わらずのホワイトアウトの中、稜線らしき斜面を歩く。緩やかな登り返しを経てしばらく進むと、一ノ倉岳の頂上付近らしき所に到着。この時点で14時半を回っており、先の道にもテント場に相応しい場所は無いという判断から、幕営適地を探して引き返す。10分程戻ったところで幕営。
夕飯は坂田さんのフリーズドライカレー(たっぷり野菜・鶏肉)&ライス。疲れた身体に炭水化物と油分が染みる。食前のココアとプロテイン入りコーンポタージュも非常にありがたい。食後には、各自持ち寄ったウイスキーや坂田さん持参のおつまみを少々頂いた。
天気予報では低気圧の影響が1日早まり、翌々日には荒天となる見込み。何としても翌日中には下山したいところ。

29日(火)

4時起床6時半発。
テントを出ると、外は薄ら明るんでいた。風は微風。景色はよく遠くまで晴れ渡っていたが、周辺の低山には所々雲が掛かっていた。

少し積もったが、視界よし


一ノ倉岳に到着すると、朝焼けを背後に白毛門や笠ヶ岳が聳える素晴らしい眺望が広がっていた。立ち止まって写真を撮っていると、雲海が山肌を上ってきており、気付いた時には向かう先の谷川岳や周囲の稜線をあっという間に飲み込んでしまった。

日の出前に一瞬ガスが取れた
素晴らしい眺望


視界不良の中、谷川岳方面へ進む。ここからは雪庇が風下(東側)に大きく張り出し、その下は断崖となっているため、今まで以上に注意を払って進路を選ぶ。一ノ倉から下りきった辺りで岩場に当たったため、ワカンを外しアイゼンを装着。
雪庇を踏まぬよう若干風上に寄って進むが、ここでも藪付きのクラスト雪に苦しめられた。ただ、昨日と比べるとしっかりクラストしている所が多く、比較的歩きやすかった。
岩を巻き、藪を越え、しばらく進むとオキノ耳に到着。この辺りからトレースが見え始め、ふっと肩の力が抜けた。

完登!


そこからトマノ耳まではあっという間だった。相変わらず周囲はガスっていて視界は悪いが、何はともあれ3人で記念撮影。後は無事に降りるだけ…
西黒尾根 – 肩の小屋との分岐の標識に辿り着いてもまだ視界は悪い。尾根らしき所を注意深く降りていくと、にわかに周囲が晴れ渡る。我々の下りる尾根はしっかり土合へ続いており、その先からは今朝下界を出発したであろう人々が続々と登ってきていた。

西黒尾根を振り返る

-今回の山行の感想、備忘録-

<計画面>

今回の山行は、3人体制で挑んだことで日々の体力の消耗を軽減でき、また予備日(燃料・食料)に余裕があったために精神的にもポジティブな状態で縦走を続けることができた。
天候に恵まれたことも縦走成功の大きな要因だった。

<装備>

・内張り付きテント

収納が日を増す毎に難しくなる以外は特に不便を感じなかった。
年末の谷川の気温であれば、夜寒すぎるということも無かった。

・ガソリンストーブ

流石の火力で、テントの中があっという間に暖かくなる有難いストーブ。今回は主に湯沸かしに使用し、調理やテントの保温にはガスバーナーを使い分けた。3人以上の山行なら、また使いたいかも…

・ストック

初めて雪山で使用した。深いラッセルでは手掛かりにできるし、藪にハマった時の復帰にも役立つ。歩行の際に周囲の雪質を調べることにも使えるし、下りでは膝へのダメージを抑えられる。もう手放せない。

・ジェットボイル(買おうかな)

今回の山行での水作り、湯沸かしの所要時間が気になり、購入欲が湧いた。
食事を湯沸かしだけで済む簡素なものに揃えれば、大幅に時短・燃料軽量化できそう?

<食料>

ぺミカン(白菜1/4,ニラ1,人参1,しめじ1,舞茸1,豚肉600g,バター200g,ごま油いっぱい)
→ラーメン3袋投入で3人分+αくらいの量。体積は350缶6本分くらい。参考までに

(記: 江戸)

セカンド記録担当: 塩田

26日(土)

朝粉雪舞う中出発。先行パーティはおらず、登山口からラッセルが始まる。いきなり急登に差し掛かり、先頭は空荷でラッセルを一定区間行い、その後交代して自分の荷物を取りに道を戻る戦法を採ることにした。これを4 – 5サイクルしたところで、松ノ木沢ノ頭付近に到着。ちょうど幕営に最適な場所があり、今日はここまで。馬蹄形縦走装備を背負ってのラッセルは予想よりしんどく、また距離にしてあまり進むことが出来なかったことで、明日以降の道のりに不安を感じながら眠りについた。

天気イマイチ

27日(日)

前日の風雪は治まっていた。この日は天気が良く早朝に麓から登ってきた人のトレースが朝日岳まで伸びていた。このトレースを有難く踏みしめながら進む。天気は快晴となり、朝日岳につく頃には馬蹄形縦走路を見渡すことが出来た。この日どこまで行くか縦走路を眺めながら考えていた。朝日岳から清水峠へと下る道、見た目は近く感じたのだが、ここから先踏み抜きが続き時間と体力が奪われる。清水峠まで3時間弱かかり、清水峠避難小屋で泊まることにした。次の日少しでも遠くへ進めるように、七ツ小屋山手前まで空荷でトレースを付けてこの日は終了。避難小屋は暖かく、装備を乾かし、熟睡もできた。

トレースをつけてから小屋へ

28日(月)

この日も昼過ぎまで快晴であった。清水峠から先は馬蹄形縦走の折り返しとなりこれまで進んできた道のりの眺めながら、ゴールへと向かう行程となる。茂倉岳までアップダウンの連続、踏み抜きもあり、3日目で疲労した体には応える。茂倉岳までは天候に恵まれ、距離を稼ぐことができた。茂倉岳の頂付近に着くと天気が荒れ視界は見えなくなった。方角を確認しながら一ノ倉岳を目指す。一ノ倉山頂付近は風雪が強く、少し戻った広い稜線で幕営した。

茂倉岳を望む、先は長い

29日(火)

昨日の風雪は止んでいた。シュラフカバーを持ってきておらず、3泊目にしてシュラフは完全に湿っており、震えながら夜を過ごした。シュラフカバーの必要性を学んだ山行でもあった。朝空が明るんでくる頃一ノ倉岳山頂に立つと、一瞬霧が晴れた。目の前には谷川岳が神々しくそびえ立つ。これまでの長旅はこのためにあったと言わんばかりの美しさであった。息をのんで佇んでいると次第に霧に覆われていった。

霧の中江戸君を筆頭に谷川岳を超えて西黒尾根を降りていく。ガレ沢のコルに差し掛かる頃、霧が晴れ西黒尾根の全容を確認できた。すごい所を下っていた。足元は重たい雪で沈むため不安定である。慎重に足運びを行いながら切り立った雪陵を進む。昼前に土合駅へと戻った。快晴の下、晴れ晴れしい旅の終わりとなった。ここまで坂田さん、江戸君のサポートで無事戻って来れました。ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

オキノ耳、展望なし

(記: 塩田)

個人の感想: 坂田

ヘビークライマーズ第3弾、まずは完登出来て良かった。
事前の寒波による多めの積雪、年越し寒波の予報などに心配(期待?)しながらも、メンバーにも恵まれて、楽しい山行となったことは何よりである。
重い荷物とラッセルで体力を使い果たしながら、日数を掛けて進んでいくようなスタイルが相変わらず性に合っているようだ。

11月の三連休が槍から甲府幕へ転戦することになったとき、えど君が思い入れがあるという谷川馬蹄形を塩田君とやるということを聞き、乗っからせてもらうことにした。

谷川岳馬蹄形、条件としてはシンプルなルートだ。
とは言っても、それなりに心配や迷いなど持ちながら計画したので、何かが裏目に出るようなこともなく終えられて良かった。
無限にラッセルしたいと目を輝かせながら先陣を切るえど君、2泊以上の行程も深いラッセルも初めてづくしで伸びしろ無限の塩田君、有望若手2人のお陰である。

一方の自分は…1にも2にも3にも体力不足。
分かってはいたが、あまりの現実に落ち込んだ。
ラッセル自体なかなか奥深く、経験を積むことでよりラクにより速くより楽しくなってくる。
しかし今回、これは体力があってこそのことで、体力がないなりのラッセルなんて、いくら経験を積んだところでありえないことを思い知らされた。
単独でも楽しめるくらいの体力が欲しい。
なんとかしないと、という気にさせられたことが今回の大きな収穫かもしれない。
2021年はワークライフバランスを見直してでもトレーニング量を増やして、ヘビークライマーたちと張り合うぞ、と。

トレーニング次第で、15年くらいさかのぼれるはず(強気)。
次の長期山行が楽しみだ。
(やる気を出しただけにコロナ禍がかなり恨めしい)

<メモ>

  • ・初日の日程は大事。連休初日と悪天候が重なったところで出発できたことで、白毛門の深いラッセルを楽しめた。土合駅前の駐車も1台のみでラッキー。
  • ・こんなにもメジャーなルートなのに、1周するパーティは少ないことを実感。雪が豊富だたこともあり、期待していたよりも楽しめる良いルート。えど君・塩田君が自分たちの力で進めたことで、どこでも登れるぞと自信につながったのでは?
  • ・この時期なんで、雪庇などあまり気にしてなかったが、雪が多めなこともあり、ちょい注意した方が良いところもあった。
  • ・寒くなかった。前週にやたら寒い八ツを経験していたこともあるが、標高上のアドバンテージも大きい。結局インシュレーションジャケットの出番はなかった(テントの真ん中を譲られたこともあり)。
  • ・上越の雪の異様な重さは健在。初日は全身濡れた…。
  • ・キャンプ地点では、ドコモもしくはauのどちらかは圏内(電波は弱い)。
  • ・ピッケル、アイゼンに変えたのは一ノ倉-谷川のコル以降。それまではワカンにストックのみ。
  • ・1日目の塩田君、2日目のえど君の飯がうまかった(軽量化は伝えたつもり汗)。2人の飯レベルが上がり続けているが、どうやらバック○宮さんが糸を引いているとか…笑。自分が担当した予備食は手抜き…勘弁を。
  • ・ガソリンとガスで迷ったが、前週の八ツでガスが頼りなかったのでガソリンをメインに。やっぱり心強く、次回があれば同じくガソリンにする。
  • ・使用燃料合計は、ガソリン1.5L、ガス缶150g。毎晩水を10Lくらい生成。
  • ・ゴアライトと中エスパースでかなり迷ったが、中エスパースにして良かった。天候悪い時は不快だが、スペースの余裕の方がありがたい。ザックでかいし、5日分の共同装備は意外に場所を取る。
  • ・スノーソーは使わなかった。弱層や圧雪なく、新雪のみ。
  • ・なので長ペグのみのテント固定は心許なく、えど君の竹ペグが活躍。たわしも。
  • ・車が埋まっちゃってるかもと思ったが、戻ってみたら拍子抜け。麓の降雪は出発日だけだったようだ。土合駅は観光客でいっぱい。いつの間にこんな人気スポットに?!

(記: 坂田)

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