(ほぼ)初めての単独行レポ

日程: 2008年4月27日(日) – 30日(水)
山域: 後立山(北アルプス)
参加者: 国府谷
行程:
第1日目: 新宿 – 信濃大町 – 扇沢20:30
第2日目: 扇沢(5:30) – 爺ケ岳(9:20) – 冷池小屋(12:00) – 鹿島槍ヶ岳南峰(14:50)
第3日目: 南峰(6:00) – キレット小屋(8:10) – 北尾根の頭(10:15) – 五竜岳(13:10) – 五竜山荘(14:10)
第4日目: 五竜山荘(5:45)- 唐松山荘(7:55) – 唐松岳(8:15) – 唐松山荘(8:30) – 八方尾根スキー場(10:10) – スキー場ベース(10:45)

今日は、このレポートの〆切(09年3月末)間近である。かなり時間が経ってしまったが、記憶を遡ってレポートします。
4月27日
今回の山行は基本的に単独であるが、鹿島槍までは土井さんが同行してくれることになった。心強い限りである。私は単独ではハイキング程度しかしたことが無かったので、心中、不安でいっぱいだったのである。
GWの良い気候の真昼間に新宿西口のバスターミナルから長距離バスで出発である。いつもはないシチュエーションで良い気分だ。予定通り、土井さんと信濃大町駅までのんびり気分で出発した。
信濃大町には20時頃に到着し、その辺の何処かで寝ようかと思っていたが、今時そんな場所は無い。ここもすっかり都市化(?)している。結局、タクシーで扇沢まで行くことになった。幸いなことに料金はかなり負けてもらった(と思う)。寒いけどとっても静かな扇沢のターミナルで一杯やって就寝した。

(扇沢にて)
4月28日 晴れ
トロリーバスの行列が出来る前に出発。扇沢から少し戻って爺が岳南尾根に取り付く。途中から雪が出てきて歩きやすくなる。天気はとっても良いが樹林帯を抜けると風が猛烈に強い。

(爺ヶ岳を見上げる)
爺ヶ岳に着くと何処から登ってきているのか5・6人の登山者が居た。赤岩尾根から来ているのだろうか。
ここから、サクサク下って冷池まで。赤岩尾根の降り口付近はまだ雪庇が出ていた。

(雪からだいぶ出ている冷池小屋)
ここで、土井さんとこのまま鹿島槍まで行くかどうか話し合う。鹿島槍まで行ってここまで戻るのはしんどいが、明日帰京しなければいけない土井さんは今日登っておかないと明日がしんどい。結局、今日のうちに登っておくことにした。
小屋付近の吹き溜まりは雪が腐ってきていてズボズボもぐるが、暫く行くと雪がなくなってきて地面が露出してきて楽になってくる。相変わらず風は強いが、淡々と登っていくと南峰に着く。あんまり良さそうな場所は無いが、今夜はここで泊まるしかない。少し北峰側に降りた、若干くぼんだところにスコップで整地してゴアライトを設営した。

(南峰。泊まったのは手前の窪地)
この晩は何を食べたか、覚えていないが就寝後、夜中になりまた風がさらに強くなってきた為、15m程離れたところにある、南峰の道標にロープでテントの四隅の細引きに結びつけた。

4月29日

ここからはホントに単独行になるのでチョット緊張。下山する土井さんと正反対の北峰に向けて出発する。

(南峰で)
北峰には登らずに、手前でキレット方面へトラバースしていく。雪面はちょうどよく締まっていて歩きやすい。ところどころ下りではバックステップになる。黒部側はなだらかな斜面でシリセードでも下れそう(実際はムリだろうけど)にも見える。信州側は鹿島槍北壁へ結構でかい雪庇が残っている。覗いてみると北壁の尾根にもまだキノコ雪が着いているように見える。ルートは忠実に尾根を行くのではなく、直登出来ないところは、黒部側を巻いていくのでルートファインディングはそれなりにややこしいはずだったが、ラッキー(?)なことに、かすかなアイゼンの爪跡が残っている部分があったことも助けになってルートを探す時間をロスすることはほとんどなかった。
とはいっても八峰キレットでは2ヶ所ややこしいところがあった。最初のは、黒部側へ少し下降してからルンゼ状を尾根上のコルまで登り返すのだが、下降の部分でかぶり気味の雪面をクライムダウンしたところはヤバかった。次はキレット小屋手前で唯一信州側に出るところでこれもかぶったグズグズの雪庇をむりやりダブルシャフトで乗り込むところ。でもどちらも鎖が雪の下に見えていたので、ルートの確認は出来るところだったので、ここでいいのかな?とは思わず、これを行くしかない、という気持ちだったので心理的には楽だった。
快晴の中、思ったよりいいペースでキレット小屋に着き、悪場は過ぎたので気分は、勝ったも同然、という感じになってきた。

(キレット小屋)
ここから五竜岳の登りまでは、小さなアップダウンが続くが、雪も少なくなってきてもうアックスも2本は要らない。五竜岳の登りは雪が深いところを避けたりして適当に登っていった。

(五竜岳山頂で自分撮り)
ここから五竜山荘までは、結構めんどくさい下りを約1時間。山荘は明日からオープンとのことで天幕代は無しだった。他にはテントの人が一人いるくらいだった。泊テント説英語はポカポカのテント内で昼寝して、あっという間に食事も終わって明るいうちに寝てしまった。ビールは明日下山してから飲んだほうが美味いと思って我慢した。
この晩は風もさほど強くなく、よく眠れた(と思う)。

4月30日

頑張って早起きして唐松岳に向かう。このまま遠見尾根を降りることも考えたが、天気が良いのに計画通り行かないのも格好悪いし、八方尾根の方が短いので計画通り唐松岳までいくことにした。
唐松岳までもそれなりに悪いところもある。ちゃんとアイゼンワークが出来ない人は時間掛かると思う。唐松岳も八方尾根も雪のある時期に来るのは初めてなのでそれなりに新鮮だった。

下りの八方尾根はひたすら下るだけ。ジャンジャン下って、いくつかケルンを見送ってスキー場の最上部へ着いた。スキー場脇を歩いてもいいのか分からないが、初めからゴンドラに乗る気だったので、リフト・ゴンドラを乗りついで、あっという間に下界に戻れてしまった。
下界は春を通り越して初夏の陽気だった。久しぶりにいい気分を味わった気がした。
白馬のバスターミナルに行き、荷物を置いて、付近を散歩しながら温泉に浸かってビール飲んで食事して、降りたらやろうと思ってたこと(3つしかないけど)を全部やった。
帰りもバスにしたのは、安くて便利で来るときに味をしめたから。トイレも付いているので気にせずビールも飲める。勿論、ビールとつまみを買ってバスに乗り込んだ。

(白馬の村にて)
後記:今回の計画を思いついた理由は2つあった。ひとつは会に入りたてのころの正月合宿で敗退したルートだったから。このときは五竜岳 – 鹿島槍だったけど。
ふたつ目は、静岡のURANさんが数年前に同ルートを行ったときの記録を読んで一人で行けるかな、と思ったこと(URANさんからも行けるよ、と言ってもらったし)。
そんなこんなで、土井さんに途中まで付き合ってもらったりして、天気にも恵まれていい山行が出来たと満足しています。ぬるいかな?!

(記: 国府谷)

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