南アルプス縦走

日程: 2008年6月23日(月) – 7月2日(水)
山域: 茶臼岳・易老岳・上河内岳(南アルプス)
参加者: 掛川(L)・下島
行程:
第1日目: 白樺荘(11:50) – ヤレヤレ峠(14:30) – ソッコ沢小屋(15:20) – 横窪沢小屋(16:35)
第2日目: 横窪沢小屋(6:45) – 臼小屋(8:30) – 茶臼岳(9:07) – 易老岳(10:38) – 光岳山頂(12:50) – 茶臼小屋(16:45)
第3日目: 茶臼小屋6:10 上河内岳7:36 聖平小屋10:00
第4日目: 聖平小屋6:32 薊畑6:52 聖光小屋9:20 聖平小屋13:40
第5日目: 聖平小屋4:40 聖沢登山口8:30 聖平小屋16:35
第6日目: 停滞
第7日目: 停滞
第8日目: 聖平小屋6:10 前聖8:45 聖平小屋12:00
第9日目: 聖平小屋7:15  椹島ロッジ3:30
第10日目: 椹島ロッジ6:30 沼平7:15 静岡 11:00

6月23日 雨後晴れ

朝、6時43分静岡をJRで出て、金谷まで行きそこから大井川鉄道に乗り換える。
土砂降りのなか千頭からアプト式電車に乗り換える。
電車が動き始めると乗務員がマイクで車窓から見える風景を説明し始めた。
乗客約1名。寒冷前線が通過しているのか、時々遠雷が聞こえる。
井川に10時45分に着く。すでに連絡するマイクロバスが激しい雨のなか待っていた。
「あんまり雨が強いんで、運行しようかどうか考えたんですよ」というほど、雨は激しく降っていた。
井川の集落に入ると雨はだいぶおさまってきた。
病院でおばあさん2人が乗ってきた。運転手との会話を聞いてると方言が聞けておもしろい。
白樺荘で下車。
弱くなった雨の中、畑薙ダムまで歩く。途中頻繁に落石があるところを通過した時はひゃっとした。
沼平で登山届けを出し、大吊り橋を渡り、ウソッコ沢小屋に着く前には雨はやんでいた。青空ものぞかれた。
この日は横窪沢小屋でビールと焼き肉で入山祝いをする。

6月24日 小雨後曇り

計画では、光岳小屋泊まりの予定だったが、
明日の天候が読めないこと、今日は天気が一日持ちそうなことを考えて、今日のうちに光まで往復し、茶臼に泊まることにする。そうすれば明日の行動時間が短くてすみ、仮に天気が悪くなってもなんとか聖平小屋まで明日中には入れる。
茶臼小屋に荷物をデポし、空身で出発した。稜線に出てからは雨はやんでいたがガスで視界は悪かった。茶臼の山頂付近で雷鳥を見る。その先はあまり展望はなく、樹林の中を歩く。
さしたるアップダウンもなく、歩きやすい稜線だ。
静高平の手前、谷筋のガレ場にはまだ雪がけっこう残っていた。
ここがちょっときつかった。30分程登ると傾斜がなくなり、水がちょろちょろ流れてきた。
静高平から、水がわき出ていてせせらぎがあった。いいところだ。
名前の通り、昔静岡高校の学生がここで幕営したのかなあなど考えて、彼らがうらやましくなった。現在は幕営禁止である。
光岳小屋は開放してあり、2階から中に入ると、太い木の梁がピカピカ輝きほんとにここをただでつかっていいの?というほどきれいだった。
小屋から15分ほどで展望のない山頂につき、そこから10メートルほど行ったところに展望台があり、光岳の名の由来となった光石を見る。
再び茶臼小屋に戻り、まだ明るかったので小屋の周りに生えている行者ニンニクを摘み、みそと油で炒めて食べた。
ネギ科の植物だろうか、精がつく気がした。
夜は満天の星空で天の川をみる。

6月25日 晴れ後曇り

朝焼けと富士山が美しかった。
視界もよく、前には聖、赤石、荒川三山、仙丈 さらに遠くに北アルプスの稜線、振り返れば昨日歩いた稜線とその先に光岳。
上河内は展望がいい。井川ダムまで見える。井川から見えるため、井川の人たちにとってシンボルの山だと、椹島ロッジの人が言っていた。
上河内を過ぎ、南岳を越えたところでかなり大きな雪渓が残っていた。
今年は雪が多いのか、何カ所か残雪が登山道をふさいでいるところがあった。
ゴミを拾ったりしながらのんびり歩き小屋に着く。
天気もいいし、誰も見てないので、川でTシャツとズボン、下着まで洗濯し、裸になって体を拭いた。
昨晩シュラフの中がとてもくさくてたまらなかったからだ。
シュラフを日に当てて干していたら、はえがたくさん寄ってきた。
午後は雲が出てきたがそれでもシュラフのいやなにおいは取れた。
夜寝るときは体もくさくなくなっていた。
冬期小屋は無人で、広々して、きれいだった。
小屋に置いてある雑記帳を読む。
ミッキーが出て云々と書いてある。私はねずみが大の苦手なので、いやだなあと思った。
案のじょう、夜かさこそ枕元を走っていた。足音と場所からして小さなねずみらしかった。

6月26日 弱雨後曇り

この日は聖平までの長野県側の登山ルートを歩く。便ヶ島には森林公園があり、りっぱな駐車場がある。聖光小屋は無人だった。猿がいた。
靴を脱いだらヒルが一匹動いていた。でも、靴下の中までは入ってなかった。
帰りに西沢渡のそばの廃屋の中をのぞいたら天井にコウモリがぶらさがっていた。

6月27日 曇り

下島さんを迎えに静岡県側の登山口まで降りる。まだシーズン前なので、ずいぶん道が荒れているところや倒木がふさいでいるところがあった。
小屋に戻る途中で、山うどと、タラの芽を採り、味噌汁の具にした。
夜は久しぶりに人と話をして、差し入れの酒とつまみで大いに楽しんだ。

6月28日 晴れ

小屋の管理人の原田さんが9時過ぎにあがってきた。
水源のパイプをつないだり、発電機のチェックの手伝いをする。
帰りに差し入れのリンゴとビールを頂く。
夜は原田さんと一緒に上がって来た井川山岳会の人2人と便ヶ島から来た単独の人が小屋に泊まった。

6月29日 雨

活発な梅雨前線の影響で雨風強く、停滞。
下島さんは水源を見に行ったりあちこち動いていたが、僕は濡れたくなかったので
小屋でじっとしていた。それから下島さんにロープワークを教える。
大雨の中下山していった井川山岳会の人が
帰り際みかん1カップラーメン4と袋のインスタントラーメン2、ごはん1、ウイスキーを差し入れしてくれた。
雨は明日の朝まで残りそうだ。明日午後天気が回復してきたら
聖を登ることにする。もし、明日もだめなら、1日に早起きして聖ピストンして、椹島まで下山することにした。もう赤石への縦走はあきらめていた。下島さんも、聖だけでも登れればいいですよと言ってるし、今から思うと、予備日を1日使えば縦走できたはずだが、
多分二人にとってあまりに聖平が居心地良過ぎたせいだろう。食料も縦走しなければ豊富(?)にあるし、安きに流れたのであった。

6月30日 曇り後雨

予想以上に天気の回復は早く、東の方角から朝日を見る。
今日聖まで登っておけば明日は下山のみだから楽だ。
朝登り始めたころは、薊畑からは光までの稜線がきれいに見えた。
道沿いの高山植物は今が盛りかと思うぐらい咲いていた。
ミヤマナントカソウや、タカネナンタラソウが可憐な花をつけていた。
下島さんは詳しいようで、盛んに写真を撮っていた。
残念なことに頂上付近はガスで視界は悪かった。赤石は見えなかったが、赤石沢
そしてまだ残雪の残る百間洞沢と小屋は確認することが出来た。
約20分ぐらい歩き、奥聖に行く。道ばたの這い松の中にしゃくなげがたくさん咲いていた。
聖岳の東尾根の下山口を確認し、戻る。再び前聖の頂上に着いたら、
雨がぽつぽつ降ってきたので、急ぎ下山する。小屋の近く、薊畑に着く頃には
本降りになっていた。

7月1日 火曜日 Day9 晴れ

6日間お世話になった聖平小屋ともしばしのお別れ。今度は、7月10日から
2ヶ月以上滞在することになるのだ。
聖沢吊り橋で大休止。お湯を沸かして、最後の食料をたいらげる。
目の前に聖沢がごうごうと流れている。下島さんは増水していると思ったようだが、
私の記憶ではここあたりはいつもこのぐらい水量がある気がする。
赤石沢もそうだったが、集水面積が広いので水はたぶん他のエリアの沢に比べると多いのだろう。
竿を出してみるといいサイズの岩魚が釣れた。でも、食べるつもりはなかったので、
しばらく観察してから流れに返した。
下に降りれば降りるほど、日差しは強くなり林道に降りたら、周囲の山々の上は
既にまぶしいくらい夏空だった。林道を歩いていたら、たまたま通りかかった
東海フォレストのトラックの人に椹島ロッジまで乗せていってもらった。
テント泊以外なら、乗せてくれるそうだ。
ロッジに着いて、下山報告を、ウランと久世支部長に公衆の衛星電話でやり、
今回の山行は終わった。
外のテーブルに座り、地図を見て、
次はどこに行こうか?と話しながらビールとワインを飲むのは最高だった。

7月2日 晴れ

沼平までリムジンバスで送ってもらう。
途中、千頭で休憩し、SL資料館に入った。 下島さんは鉄道マニアだそうで、大井川鉄道を走るSL機関車 C11を復活させるための寄付をしたと言っていたが、確かにパネルの中に下島さんの名前があったので驚いた。

(記: 掛川)

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