大菩薩連嶺縦走

2004年11月13日(土) ~ 14日(日) 前夜発
参加者: CL清水清二・安達重輝・牧田達也・塩足京子・和内優子
報告者: 塩足京子
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(雷岩からの富士山)

大菩薩嶺から真っ直ぐ南に延びるラインを描く、滝子山へのルートを計画した。富士山が段々と大きくなっていくであろうことが楽しみなこのルートは、2日間ともお天気が良いことが望まれる。前日、金曜日は雨であった。この秋の雨模様には全くハラハラさせられる。

前夜12日(金)塩山着最終便の、東京駅21:23発中央特快の先頭車両に、各人都合の良い駅から乗り込み、高尾にて乗り換え、23:37我々5人は皆無事、塩山に着いた。この時間帯の東京は、まだ通勤帰宅ラッシュである。大きなザックを持っていなくても、車内をうろついて仲間を捜す事などできはしない。ありがたいのは携帯TELであった。

塩山の改札を出ると、最近では珍しい高校生の団体がシュラフに包まっている光景に遭遇した。中高年が花盛りの山になって久しいが、若い人を嬉しく思う自分も年を感じる。ステーションビバークの若者を尻目に我々は、何とタダ!¥0で、ソファーベッド付の畳の部屋にて一夜を過ごすことになる。タクシーを利用する為、事前に塩山タクシーに交渉された清水さんが、タクシー会社の方から好意で、ここを紹介されたものだ。塩山タクシーを利用すれば、いつもここを使ってもいいという事ではないと思う。清水さんの人柄の賜物であろう。駅前のコンビニで若干の買い出しをし、心地の良い畳の部屋で車座になって、明日の山を思いながら就寝前のお酒をいただく。チョッとのつもりが、あっという間に2時を過ぎる。慌ててシュラフの中へ。

朝6時、予定通り予約していたタクシーに乗車し、福ちゃん荘まで上がる(タクシー代¥5300)。タクシーの中から見える、紅葉の映える今日のお天気に感謝! 福ちゃん荘で朝食を摂り7時、稜線までの1時間を歩き出す。唐松尾根経由で雷岩に着。大変見晴らしが良いところで、上日川ダム湖の大菩薩湖の向こうに富士山が形良く見える。大菩薩嶺の山頂は周りを木に囲まれて展望は良くないが、ケジメとして空荷でピストンする。12
9時、大菩薩峠に着。この稜線で関西バスツアーグループ40名程と擦れ違う。前日20時に神戸を出発し大阪、京都経由で今朝4時に着いたという。さすがは富士山の眺めがすばらしいとのことで、深田久弥日本百名山になった大菩薩嶺である。我々も天気の良い秋の山を、しばし満喫することにする。30分程もゆっくり休んでしまったが、続く熊沢山への登りは今までの明るく開けた尾根道とは違って、樹林帯となる。そろそろ陽射も強くなって、日陰がほしいなと思っていたところである。が、下りになると再び笹原が広がり、展望が広く開ける。今日の泊は湯ノ沢峠であるが、ここに着くまで突然、見晴らしが良くなったり樹林帯になったり、ずっとその雰囲気の違いが楽しいルートであった。その間何度も富士山を見ることができた。

湯ノ沢峠には13:30着となる。湯ノ沢峠避難小屋のあんまりの快適さに、テントは張らず、その上ここのお布団も利用させてもらうことにした。無人ではあるが、しっかりと管理されたこの山小屋に感謝したい。11
予定通りではあったが早い到着に、取り敢えずの一杯タイムも早く始まることになる。飲みながら、夕飯のキムチ餃子鍋と切干大根を作り出す。それをつまみに、また飲む。果たして持ってきているお酒の量は限られており、まだ寝るにはいくらなんでも早い時間に、お酒は無くなってしまった。焚き火を前に、空っぽのコップはどうも寂しい。とその時、安達さんから俳句を一句との提案が上がった。最初に指名された私は焦ったというものではない。が、焚き火は人を俳人にした。なんとか捻り出し、次の人に繋げる。皆それなりに心得があるのか、次から次へと句が詠まれる。この高尚な催しに、驚いたり感心したりの夜であった。

翌朝、小屋の外に沢山の車が止まる音で目が覚めた。ここ湯ノ沢峠には、ここまで車が入るのである。やがて点呼の声が聞こえてきた。彼らが30名の団体であることを知る。この時我々は、まだシュラフの中であった。餅とワカメ入りのラーメンで腹ごしらえをし、6:45出発となる。予報では崩れるといった天気であったが、まずまずの朝であった。広くなだらかな草原状の尾根道を行く。すると先程の団体に、大蔵高丸で会うことになった。彼らは富士山のビューポイントを狙う写真家集団であった。今日の富士山は、ガスに纏い付かれていることが多かったが、夜明け時は良い姿を現してくれていたと思う。滝子山への道は広葉樹林帯に入っても木の葉を落とした木々で明るく、樹間から周りの山々が見える。樹林帯に入ると沢山のドングリが落ちていた。つい、富山の熊さんたちのことを思ってしまった。今年の冬を無事過ごせるのだろうか。

昔、このような木の葉を落とした木々の樹林帯で、秋の釣瓶落としに捕まって夕日が大きく傾いたことがあった。その時、樹間から射し込んでくる陽の光にうっとりとしたことを思い出す。真っ赤に焼けた空をバックに、黒々と木々が影を作る。陽の光は刻々と色を変える。辺りが闇に包まれるのは間もなくであった。心焦る状態ではあるが、もう一度その中に浸ってみたいとも思う。

滝子山へは、10:30の着である。最後のピークになったが、ここでも周りの山々の展望を楽しむことができた。今回のお天気男か女の方に感謝申し上げます。大菩薩嶺は黒岳に重なって見ることはできなかったが、遥か彼方から歩いてきた我々の足取りを思いながらのお茶タイムは、何と1時間も経ってしまっていた。初狩駅に着いたのは13:30であった。

早い下山に、初狩駅の裏手の高川山への登り口にある、八幡様のお湯でサッパリとすることにした。“風呂あがりにおでんが付いて¥1000”の入湯料は、分かってはいたが果たして曲者であった。お風呂あがりには、やっぱビールでしょう。“おでん”があったら、お酒でしょう。 この“おでん”大皿二皿、お母さんの気持ちのこもったもので、お腹一杯! 空になったビンやお銚子も一杯! 16:12初狩駅発の電車で帰路に付いた我々であった。皆様お疲れ様でした。

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