白神山地 追良瀬川遡行

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日時  : 2005年8月14日(日) ~ 19日(金) 前夜発
参加者 : CL清水清二・塩足京子
報告者 : 清水清二

8月13日(土)
22:00池袋駅西口発、能代行き夜行バスに乗車。バスに乗る直前に降り出した突然の豪雨に、びしょ濡れになっての出発。今回、世界遺産地域である白神山地に入山するに当たって、事前に「津軽森林管理署長」宛に届出書を出して行くものである。

8月14日(日)(曇りのち晴れ)
途中高速道路走行中、秋田県に於いての強烈な豪雨を心配するが、やがて雨も上がり8:30能代バスステーション着。JR能代駅とは少し離れているのが不便である。能代駅前の「公設小売市場」にて生鮮食料品を補給する。能代は「日本一のミョウガの産地」だそうだ。薬味やつまみに大好物の代物である。10:13能代駅発、五能線を乗り継ぎ陸奥岩崎に移動。11:23陸奥岩崎駅着。天気は快晴で暑い。駅前の酒屋でタクシー会社を尋ねるが、タクシーは1台しかなく今は出払っているとのこと。電話で連絡を取ってもらい、昼過ぎタクシーにて旧弘西林道追良瀬川の大橋に向う。前日も2人パーティが入山したとのこと。また、数日前までは道路が崩壊して通行止めだったとのことである。12:40着、タクシー代1万円。13:00大橋から20分程車道を歩き、東電ダムの堰堤まで入る。早々、ユキカブノ沢(マッタノ沢)出合に幕営とし、初日のテント生活をゆったり過ごす。森林管理関係者の車が入っていたが、翌日になっても車はそのままであった。20:00頃から雨降り出す。一晩中降っており、夜中何回も目が覚める。

8月15日(月)(曇りのち晴れ)
6:00朝方には雨も上がったものの、川の水位は20cm以上も上昇。昨日、目視出来た堰堤の縁から水があふれている。ダム上流の川を偵察に行くが、濁っていて川底が見えない。ラジオの天気予報で、秋田沖に低気圧が張り出し大雨注意報が出ているとのこと。準備をしてしばらく待機する。9:00川底が何とか確認出来るのを待って出発。天候は徐々に回復、晴天になる。雨の後で増水しており、簡単な筈の渡渉が意外と悪い。腰までの徒渉にスクラムを組んで渡る。緊張を伴う渡渉中、目白アブの大群の洗礼を受けるが、追い払うことも出来ずに早くも腕と顔がボコボコ。天狗岳ノ沢11:20着。ここで比較的軽装の、男女の2人パーティに追い越される。慎重に数回の渡渉をして13:00 タケノ沢(一ノ沢) 出合着。タケノ沢の手前で、男性1人が沢を流れて来るのに出会う。土左衛門かと一瞬ギョとするが、流れ下るのを楽しんでいる様子。何度もここに来ているようで、今回の水量の多さを訴えていた。タケノ沢出合で、薬味一杯の「ざるソバ」を作って食べる。14:20発、15:00ハッタケ沢着。先程追い越された2人組みが、ここで焚き火をしていた。彼らは、ツヅミノ滝を往復するとのことである。ハッタケ沢を過ぎたところでマムシに遭遇したが、この後、悪場も無く数回の渡渉を繰り返し15:30 中ノ沢(二ノ沢)出合で、二日目の幕を張る。用心の為、上部の潅木にザイルをFixする。

8月16日(火)(晴れ)
5:00起床。8:00溯行開始。川の水位は一晩で10cm程下がり、昨日まで確認出来なかった川の中の岩が水面上に出て、露岩伝いの渡川も可能となり、順調に溯行を続ける。シノリガモの子ガモ6羽に遭遇、白神山地らしいところか。8:30ザクノ沢着。9:20五郎三郎ノ沢出合着。太いブナの木が生え、五郎三郎ノ沢の25mの直バクを仰ぐことの出来るこの台地で、出来れば一夜を過ごしたいものでる。9:50発、11:00ホンノ沢出合着。途中、食べ残しのゴミが入っている袋が落ちていた。何ということだろう。11:30ホンノ沢出合発、沢に出合う度にのんびりしてしまう。12:30ウズラ石沢出合着。明日、白神岳に向かってこのウズラ石沢を溯行する。今日はツヅミ沢で、沢生活を楽しむ計画である。ウズラ石沢出合の淵は右岸に渡ってみるが、空荷でならともかく大きなザックを背負ってではとても飛び越える事が出来ず、左岸をへつる。12:45発、追良瀬川を溯ること30分。13:15サカサ川出合で三日目の夢を結ぶことにする。

8月17日(水)(晴れ)
6:00起床。8:50発。ウズラ石沢出合に戻り、ウズラ石沢を溯る。9:20出合着。ここの沢も30分程行くと、幕場に良い台地が多くある。10:20ウズラ石沢中間の滝で、カメラを濡らすまいと小さく高巻くも、登るも降るもならず行き詰まり、思い切り釜にダイビング。今回は幸にカメラは無事(さすが生活防水)。結局、胸まで水に浸かって左から突破する。黒い壁S字ゴルジュを抜けたところで11:00。11:35発、12:00ブナ段丘通過。12:20上部の二俣着。右に行くか、左に行くか考える。日程も余裕があるし、取り敢えず右の沢筋を行って、駄目ならば帰ればいいさと考え、そのまま登る。果たして翌日、ここに戻って来ることになるのだが‥‥。12:40発、14:00沢が涸れたところでお昼。涸れ沢も極めて明瞭で、水が取れる内にと、のんびりと1時間掛けて「冷し中華」を戴く。15:00発、フキ・根曲り竹の藪コギで、16:30左程の苦労も無く稜線に抜けるが、稜線は背丈を上回る藪に覆われていた。南西に稜線を辿れば白神岳にいけるかなと思いつつ藪コギにトライしてみるが、これが大変。上越国境並みの極上の藪で苦戦。根曲り竹と潅木の猛藪に、2時間かかっても500m進めたかどうかという凄まじい戦いが始まることになる。18:30まで粘ったところでツエルトドームがギリギリ張れるスペースを見つけることが出来、幕営とする。藪の中で満月と星と小さな焚き火の、四日目の夜であった。1150m地点。

8月18日(木)(晴れ)
5:00起床。7:30発。白神岳の非難小屋を遠くに見ながら(道があれば訳無い距離であるのだが)藪の稜線を辿るが、猛暑の中での猛烈な藪コギで脱水がひどく、軽度の熱中症となる。この調子では、まだ何時間かかるかわからない。水も乏しくなってきたので「これはやってられない」と判断。9:30コルに到達したところで沢筋に下降を開始する。途中、オーバーヒートした身体を休ませながら11:30ようやく水が流れているところに辿り着く。身体が冷えれば調子は戻る。まるで白熊かペンギンだ。ここで再度、沢靴に履き替え12:20発。大きな滝も無く快調な下降を続け13:00昨日の沢の分岐に降り立つ。ここから左の沢を再度、登り直す。左の沢を詰めるも、水線を辿って行けばいいものではないことに苦労する。結果的には、最後の沢の詰めで以前の掛川チームの登ったルートより1本右の枝沢を登ったようで、急なブッシュ帯に行き詰まる。17:00もう悩んでいる時間は無い。上に抜ける事は間違い無いので、強引にザイルを張りプルージックで藪の壁を突破することにする。ザックが無ければ抜けるのも易いが、そうはいかない。1時間の傾斜の強い猛薮帯との戦いであった。まだ薄っすらと明るい18:00稜線着となる。しかし、ガスがかかり視界は全く無い。18:30今日も暗くなる前に、ツエルトは被っただけとなるが、平らなところに根曲り竹のクッションの具合が良い快適なベッドを作ることが出来た。ホッとした思いで早々に、五日目の夢路を辿る。1200m地点。

8月19日(金)(曇りのち晴れ)
6:30藪コギ開始。今日もガスで視界が全く無い中(ガスが無くても背丈をとうに越えるブッシュ帯に視界は無い)ひたすら上部に向かう。7:30突然、藪が無くなり視界が開けた。目の前に白神岳非難小屋手前の、立派なトイレの建物があった。トイレの前で、マテ山経由で来た1人の登山者に会う。やっと人のエリアに戻って来た。20
非難小屋で小休止し8:20新たに整備された白神川二股に下る登山道を下降することにする。目と鼻の先の山頂までの途中で、正しく沢を詰めた時の正解ルートを確認する。二股に下る登山道は、急な降りだが太い固定ロープが満遍なく張られている。白神岳山頂では視界は全く無く、晴れていたら日本海が見えるのであろうと残念に思うばかりであったが、1時間も下降すると空は晴天になり、熱中症気味の身体にはこたえる。暑くてまいる。10:30二股の水場でしばらく涼み、その後も30分毎に休憩を繰り返し、12:30登山口の駐車場に着く。ここからの林道歩きは、思わぬ海風を受け、山行を終えた安堵感を伴ってなんとも気持ちが良いものであった。14:00過ぎに白神岳登山口駅に辿り着く。2時間半程電車待ちとなるが、無人駅のここにはヨロズ屋がちょっと離れて一軒有るだけだ。ザックの整理をしながら電車を待つ。この時、塩足嬢の足に5㎜大のダニが喰らい付いているのを発見。血を目いっぱい吸っているためか赤く脹らんでおり、引っ張るも取れない。煙草の火を押し付ける。お嬢にはお灸状態となり、かなり熱そうであるが我慢してもらう。果たして火傷の跡も無く、引っ張り取ることができた。今回、四六時中、目白アブと蚊に纏わり付かれ、全身隈なく刺されて掻きむしった後が無残だ。マムシは見ただけであるが、ダニにも喰い付かれ、実に虫との触れ合いが多い山行であった。虫除けにはもっぱらキンカンを愛用している。白神岳登山口駅16:21発で能代に移動。能代で銭湯「住吉湯」を紹介してもらい、やっと人心地をつける。夕飯は、能代バスステーション隣接のコンビニで調達。予約した夜行バス20:30発で、無事帰京となる。

元々、ゆったり日程の、行き当たりばったりの計画でしたが、その通りになってしましました。日程的に余裕があった事、天気が良かった事(お陰様で、小生は軽度ではあるが熱中症気味に。後半2日間は塩足譲にしごかれっぱなし)、食料もたっぷりあった事が、行き当たりばったりの山行も、結果的には実に充実した感じで終わりました。天気が悪ければ、とっくに中止して帰っていた筈でした。東北に来て、温泉にも下山後のご馳走にも縁がありませんでしたが、それでも満足な山行でした。全てに余裕があった為、沢旅をすっかり楽しむことができたようです。それにしても、一昨年に登った掛川君のRoute Findingは「おみごと!」。

◎交通費
池袋 - 能代バスステーション 秋北バス往復¥18540
能代駅 - 陸奥岩崎駅 @¥950 × 2 = ¥1900
                          計 ¥20440

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