船窪小屋に泊まって

日時: 2009年10月10日(土) – 12日(月)
山域: 船窪岳(北アルプス)
参加者:掛川・URAN(会友)・他
行程: 本文参照

私は、昨年から南アルプスの聖岳にある聖平小屋で夏の間働いている。
その縁で、同じ山系にある茶臼小屋の管理人高橋さんのお誘いで、北アルプスの船窪小屋の小屋閉めの日に泊まる事になった。
船窪小屋は以前鵬翔の清水さん、塩足さんらとうちの家内は来た事があるそうでとてもいい小屋らしい。ファンの多い、人気の小屋である。私も山小屋関係者のはしくれとしてどんな小屋なのかなと興味があった。
金曜日夕食を食べてから静岡を出て、七倉の駐車場でテントを張り仮眠する。
土曜日七倉から予約していたタクシーで、高瀬ダムの登山口まで移動する。
濁沢を横切りブナ立尾根登山口に入るのだが、手元の2009年度版の山と高原地図には吊橋と書いてあるが、流失したのか陰も形もなく、この渡渉は苦労した。けっこう水量もあり、流されておぼれることはないと思うが、濡れるのはいやなもの。丸太を渡してなんとか通過した。
ブナ立尾根は、燕岳合戦尾根、剣岳早月尾根と共に北アルプス3大急登の一つ。
だが、思ったより順調に高度を稼いでいく。コースタイムよりもいくらか早いようだ。
途中ナナカマド、ブナ、ハウチワカエデ、ヤマモミジなどの紅葉がきれいだった。
足元に目をやると、ゴゼンタチバナが紅葉し、赤い実をつけていた。このあたりのゴゼンタチバナは南アルプスのものと比べて葉が大きいようだ。マイヅルソウもガラスのような透明感のある赤い実をつけている。
烏帽子小屋の手前から雪がちらちら舞ってきた。小屋に着き、テントを張る。
翌日は一面銀世界。積雪は3センチぐらいか。
不動岳より先の鎖場の通過が心配だ。稜線は多少風がある。
条件がよければ行きたかったが、烏帽子は岩場なので、ピークはパスする。
その先の烏帽子田圃と呼ばれる高層湿原、池塘は見事だった。北であのような池塘があるとは思っていなかった。
不動岳を通過するころには天気も回復し、朝積もった雪も溶けていた。
それでも船窪岳に至るまでの道はワイヤーやロープなど危険箇所が多く、今回ロープは出さなかったが、最低2ヶ所出すべきところがあった。
途中ガイドツアーのグループにあったが、各自スリング、カラビナを持ち、ハーネスまではわからなかったが、間違いなくガイドはそれらを使い通過させていたと思う。
その通過に時間がかかり、夕方4時半ごろ船窪小屋に着く。
食事は手がかかっており、小屋番のご夫婦の暖かい人柄がにじみ出ていた。
写真は載せたいが、興味がある方は是非来年行ってみてください。
夜は小屋閉めのイベントということでアコーディオンコンサートが開かれた。
生の演奏を聴くのは初めてで、しかも2500メートルの山小屋だったので素晴らしい体験だった。
コンサートの後、小屋の方々に振舞い酒をいただき、いろりを囲んで山小屋のことなど話す。
まるで自分の家に帰ってきたような、そんなやすらぎがあの小屋に泊まる人を魅了するのだろう。
翌日着たときと同じように、鐘の音に送られて小屋を後にする。
快晴で、青空のなか、すっきりと、とがった槍が印象的だった。

(記: 掛川)

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