同角沢遡行記

2005年5月29日

掛川(L)・国府谷

今年は、体重が軽くなりやけに調子がいい。中毒のように沢に行っている。ろうそくが燃え尽きる前はひときわ明るく燃え上がるというが、会社に勤めていたときのように「燃え尽き症候群」にならないよう祈るばかりだ。

4月、初級の沢から始めて、この山行の前の週に坂田君と丹沢のキュウハ沢をやり、中級の沢の手ごたえを感じた。高さはなかったが、部分的に難しいところがあった。今回中級の沢の仕上げとして、同角沢に行った。

今までの滝と異なり、ここには高さのある滝もある。7~8月の大きな谷の滝の高さにびびらないようにするためにも、行かねばならないと思っていた。

土曜日の夜に山北の駅で、国府谷・坂田両君と合流する。坂田君は金曜日の夜から丹沢に入り、一人で山を歩いていてトレーニングをしていたそうだ。ところが、本人いわく、途中で体長3メートルの熊と出会い、格闘した結果、なんとか倒したがその後3つの目を持つ大蛇と戦った際、ひざを痛めたそうで、「残念ですが、辞退します。帰京して渋谷で後藤とナンパでもします、、、」ということになった。

国府谷君と二人、夜の道をぶっとばして小川谷の終了点にテントを張る。翌朝4時起床。5時出発。

ユーシンへの林道を歩く。10年ぶりぐらいだ。トンネルをいくつか過ぎて6時45分なつかしの出合に着く。F1(2段20メートル)は国府谷君がひとりでするすると登って行ったのだが、いきなり「あれ、ここ登ったの?」と思った。足慣らしにしては難しすぎると思っていたら、もっとやさしいルートを見つけた。

沢に入ってすぐ気づいたのは、水量の少なさだった。異常に少ない。普段の状態から言えば涸れかかっているといっても良かった。続くF3(2段20メートル)は右のくさりをつかんでゴボウで登る。腕力がちょい必要。

F4(30メートル 不動滝)は、左壁にシュリンゲがあり、2段ぐらいのハングを越えるか、右の草付混じりのところを行くかだったが、支点およびシュリンゲの信頼度0%なので、迷わず右へ。ここは、上部の潅木で支点を取り、そこからトラバースするのがポイント。ここを越えるまで約1時間。水が少ないので快調なペースだ。これからしばらくはのんびりとした所が続く。うれしかったのはちょっとした流れや渕に岩魚がいたこと。けっこうでかいのもいた。一渕1匹で、水が少ないせいか、浅瀬でのんびり日なたぼっこをしていたら、いきなり四角い顔が現れておどかしてしまったというところか。写真に撮ろうと手づかみでつかまえたら、撮影にこうちゃんが手間取り、岩魚が弱ってしまった。「掛川さん、逃がしてあげないと死んじゃいますよ」と言われつつも、写真にしっかり撮った。きれいな岩魚だった。同角沢の遡行の厳しさが釣り人から岩魚を守っている。しかし、サイズといい、数といい、魚の豊かな谷をしっている僕にはさみしい限りだった。稚魚もいたので、この記録を読む人はくれぐれも釣ろうなんて考えないで欲しい。彼らが回復するまで見守ってやって欲しい。何年かかるかわからないが。いつか丹沢に岩魚くさい谷が戻ることを夢見ようではありませんか。

いよいよ、F6(無名の滝)である。ここはトップで行かせてもらう。流心のトラバースは、水量が少なく問題なかった。前回は、息ができなかった。水中眼鏡も用無しだ。渡ってからの10メートル程のルンゼが悪かった。しばらくあれこれ試して、うーんギブアップしようかなと思いもしたが、ずりずりと這い上がり突破した。厳しかった。こうちゃんも「沢登りでこんな悪い所もあるなんて、本ちゃん行けるかな?」と言っていた。

大丈夫、君なら行ける。そして最後のF7(50メートル)遺言の棚。ここはこうちゃんトップ。滝は涸れていて、左の草付を登る。下から見ていたら楽勝っぽいので、やけに時間がかかるなあとおもっていたが、登ってみるとホールド、スタンスに乏しい。当然支点も取れない。石の上にへばりついてる草を慎重につかみ登る。ここを抜けるとすぐ、稜線。東沢乗越は近い。10時半終了。3時間20分なのでかなり早い。二人でペースよく、足が揃っていたのは間違いないが、でも、沢は普通の状態ではなかったから、そこは考慮しないといけない。東沢を下っていたら、釣り人が上がってきた。魚はいましたか?と聞いたが、いなかったらしい。同角沢に行くんですかと尋ねたら、あそこはロープが必要なんでしょ。だから行きませんとのことだった。近くて簡単に入れるところには魚たちはもういないのだ。小川谷終了点に着き、のんびりと日なたぼっこする。穴の平橋までまでの下山道は行くたびに荒れていくようだ。崩壊が進んでいる。12時45分到着。

帰りは山北のさくらの湯で汗を流した。また、水が豊かな時にもう一度来たいなと思った。

コースタイム

穴ノ平橋5:00~同角沢出合6:45 7:10発~F4上7:55~F6上9:25~登山道10:30~小川谷終了点11:35~穴ノ平橋12:45

(記: 掛川)

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