たくさん収穫した

日程: 2007年12月23日(日) – 24日(月) 前夜発
山域: 甲斐駒ヶ岳黒戸尾根(南アルプス)
参加者: 坂田(L)・鈴木(泰)・他1名(サブ)
行程:
第1日目: 駒ヶ岳神社(8:12) – 刃渡り(12:05) – 五合目(13:38) – 七合目(15:22)
第2日目: 七合目(6:42) – 八合目(7:29) – 山頂(9:05) – 七合目(10:25) – 五合目(12:09) – 駒ヶ岳神社(14:45)

本来であればこの週末、こーやさんと中央アルプスの奧三ノ沢でアイスをやる予定だったが、南岸低気圧の通過で土曜日の夕方から悪天候が予想されたのでキャンセルとなった。代替で八ツでのアイスを検討してもらったが、気合いを入れて望んできた反動か、すっかりテンションが落ちてしまった様子でボツとなってしまった(前もって代替案を検討していなかったのがまずかった…)。
ちょうどその時、日・月に秩父縦走を計画していた泰と筋トレ用のバーの話題で盛り上がっていたとこだったので、すかさず「一緒にいこ」と送信。既に同期の友達と一緒に登ることが決まっていたのだが、割り込ませてもらった。アイスはダメになったが、こうしてまた山へ行ける仲間に感謝!!
泰の友達(サブ)は夏山ピストンの経験はあるものの雪山は初めてということだが、泰と同等の体力の持ち主だということで、泰が計画していた秩父縦走から黒戸尾根へと変更した。ピークがカッコイイ甲斐駒であること、体力的に登りごたえのあること、雪があればちょっとだけスパイスが効いていること、冬山らしい稜線を味わえることなどなど、完璧な条件だ。標高差があるので奥多摩レベルから徐々に慣らしていけるのも大きな決め手。きっと満足してもらえるだろうと、気持ち良くふとんにもぐった。

Img_1010sサブは土曜日が仕事で時間的にかなりハードだったようだが、無事に新宿駅で落ち合うことが出来、あずさへ乗り込む。小淵沢からタクシーで駒ヶ岳神社へと向かった。天気は雨。標高700m台、さすがに雪は期待出来ないか…。駐車場に設置したゴアライトテントはあっという間にベチョベチョになり、不快だ(床面)。のんびりと朝を過ごして出発。90リッターザックが意外にでかく膨らんでしまったので、大してペースを上げられないだろうと思っていたが、落としすぎないように気をつける。サブとは初めてだったことや体力が期待出来そうなので、ちょっと足を速めてみる。おっと、なかなかやるやん、二人ともしっかりくらいついて離れない。こうなるとペースがどんどん上がってくる。この間に雨は上がったが、気温が高く汗だく。これが悪かったのか、サブの慣れない雪が出てくる頃、足に来てしまったようだ。ペースを大幅に落とす。泰の様子もおかしい。すっかりバテてグロッキー状態。

減量のために二人して摂取カロリーをコントロールしているのだが、体力が落ちてしまったのはこのせいなのか――?少なくとも前日はしっかり食べてカーボローディングに努めた方が良さそうだ、というのが今のところの結論である。正月合宿へフィードバックだ。ちなみに減量自体はパワー(筋肉)維持で体脂肪を効果的に落とせているので、数字上は問題ないはずなのだが…。まだ始めたばかり。いろいろ探っていきたい。

こうなると五合目までが長い。ここまで特に悪場もないように感じたが、トレのためにアイゼンを装着することにした。これが正解で、五合目以降はハシゴだの鎖だのが出てきてアイゼンが活躍した。五合目以降はトレースがなかった。今日はまだ誰も入ってないようだ。黄蓮谷から戻ってきたいくつかのパーティとすれ違った。時間を考えると敗退したようだ。話を聞くと、氷結悪いけど雪が多くて雪崩てもいるとのこと。七合目までも長い。いい時間だ。さすがの泰も辛かったようで疲労が色濃い。けれどこれがこれからの糧となるのだ。

小屋は超快適な暖かさ。500円/人のテン場代を払う。けどテン場は小屋から離れていて水なんかも結局は自給自足となった。

いよいよ待ち侘びた夕飯!!メニューは十穀米牛肉コロッケカレー。コロッケは泰が気を利かせてくれた思わぬトッピングだ。今日一日、歩きながら何度夢見たことか!(これを書きながら腹が鳴ってしまった)。どうやら泰も同じだったらしい。カレーも揚げ物も久々。口にすると想像を裏切らぬうまさ!忘れられない食事になりそうだ。

翌日、アイゼンを装着している横を2人のパーティが横切っていった。低気圧一過の晴天を期待していたが、ちょっとどんよりしている。泰もサブもすっかり調子を取り戻したようだ。空身なので足取りも軽い。昨日の1ピッチ目のように離されまいぞと追ってくることもなく、マイペースだ。時折ガスが取れ、朝日が顔を出す。振り返ると甲府盆地が一望出来る。天候も我々の味方となった。さっきの2人パーティ、トップはだいぶ年配のように感じられたがなかなかのペース。セカンドはバテてるので、抜かせてもらってトップを交代。腰までのラッセルがしばらく続くこともあるくらいで、なかなか楽めた。トップの人は今年だけで既に7回目とのこと。通常の年末年始よりも雪が多いらしい。ラッキー!?八合目にはあっさりついた。
Img_1036s ここから風が強まり、痩せた尾根やアイゼンが岩をこする雪壁が、泰とサブにとって快いスパイスとなったのではないだろうか。頂上までは大して悪場もなく、安心した。事件を挙げるとすれば、泰のシステム手袋のファスナーが破損してしまったこと。冬山とファスナー、やはり相性が悪い。手袋としては良く出来ていて、今のアウターが破れたら欲しいな、と思っていたのだが…。ピッケル面側はしっかりカバーされているので、破損が凍傷に結びつくような構造ではなかったのだが、正月合宿前で良かった。道のりが長くて思いの外時間が掛かったが、順調に登頂出来た。このメンバーでの成功が嬉しい。やったぜ!
Img_1039s 視界のなかったのが残念。下山が長く、風が強いので早々に頂上を後にする。風が強いのであっという間にトレースが消されていた。時々踏み抜いてしまうので、初雪山のサブはうんざりしたかも。しばしば足がつってしまうくらいの疲労が蓄積されてしまっているので尚更に。けど下りは早い。途中、泰たちが雷鳥を見付けた。
小さく、真っ白でかわいい。冬の雷鳥は今シーズン初。今年、南アルプスでの雷鳥の減少が著しい、という記事を読んでいたこともあって、ちょっとした驚きの出会いだった。日本でも相当に崩れてしまった生態系のバランスを、今取り戻さなければすっかり手遅れになってしまう。テン場に到着して焦った。テントがない!?竹ペグで固定したのにまさか…、と風下を覗いてみる。やっぱりない。改めて全体を見回すと少し広さが足りないように思ったところで、自分達のテン場がもっと下だということに気付いた。やれやれ。Img_1040

天気は回復傾向のようでテントに日が当たる。ぽかぽかと快適だ。行動食で腹を満たす。五合目までは気を引き締めねば、とハーネスなどはそのままに出発。けれど小屋からの下山者で不動のトレースが引かれていて、拍子抜けした。けど二人には良いアイゼントレになったと思う。コースタイムを考えると16時頃になってしまいそうだが、気分的には15時までに下山したいところだ。けれど五合目以降はかったるいほどになかなか標高が落ちない。雪が少ないところではアイゼンを外したい衝動にかられるが、すっかり氷化していて滑るのが目に見えてるので我慢。粘りに粘ってアイゼンを外す。もう14:15。足が軽くなったので、15時目指してちょっと早足で歩き出すが、サブが食いついてくる。「お?」と思って速度を上げるがまだまだ食いついてくる。どこにそんな体力が残っていたのかと驚きつつ、気付けば走っていた。標高差、700mくらいは残っていたと思うが、30分で駆け抜けてしまった。やっぱり下山はさっさと済ませてしまうに限る。ザックに身体が振られつつも足が軽く感じられたので、(一番後ろにいた)泰と勝負出来なかったのがちょっと残念かも?

徒歩圏に温泉があるのをチェックしておいたので直行する(新しくて快適)。すっかり晴れ上がり、八ヶ岳が手に取るようにはっきり見える。丸ごと日が当たっていてこれからでも登れてしまいそうな気さえしてしまう。さあ、次はバリエーションへステップアップだ!

温泉で体重計に乗ってビックリ。今回は行動食をたっぷり食べてむしろ太った気がしたのに、2kgくらい落ちて10年ぶりくらいの値をゲット!小淵沢駅前の入船で久々に大盛のとろろ月見定を食べ(これがうまかった!)、帰りの電車ではプリンやらあんころ餅やらスナックやらを平らげた。それでも、帰宅して体脂肪計に乗ったらちゃんと筋肉率&基礎代謝は維持しつつ体脂肪率が激減していたので、泰にまいったか!とメールしたら撃沈されてしまった。バテたにも関わらず筋肉率をキープ出来てたのだ。

今回、アイスが流れたことにかなりダメージを喰らったが、それを上回る山行が出来て満足だ。まだ雪山に足を踏み入れたばかりの二人に、きっとプラスになったと思いたい。これでサブもますます山にはまってくれれば申し分なし!今回も楽しませてもらって、サンキュ~!

(今回の収穫)
1. 新しい仲間に巡り会えた(これからがますます楽しみ!)
2. どうやら、山行前はカーボローディングが必要そうだ
3. 泰のファスナー付き手袋の破損(合宿前でラッキー)
4. 合宿前のトレーニング(体力出し切る)
5. 雪山のグレードアップ
6. 体脂肪率減
まだまだあるけどこの辺で。

(記: 坂田)

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