土日にて甲斐駒黒戸尾根・三ツ峠

日時: 2012年8月25日(土) – 26日(日)
参加者: 久世(L)・平井(26日、和樹君と)・松林(26日)・廣岡
山域: 甲斐駒ヶ岳黒戸尾根(南アルプス)・三ツ峠屏風岩
行程:
第1日目: 竹宇駐車場 – 黒戸尾根 – 甲斐駒ケ岳頂上 – 黒戸尾根 – 竹宇駐車場
第2日目: 裏三ツ峠駐車場 – 屏風岩(登攀) – 三ツ峠山 – 裏三ツ峠駐車場

写真は(こちら)

9月に穂高屏風岩を登る予定を春に決めたが、今年の春・夏は土日に雨が降る事が多く、人工登攀の練習が全く出来ずにいた。そこで8月25-26日にて土曜日は体力強化の甲斐駒黒戸尾根往復、日曜日は登攀訓練を三ツ峠でと計画した。甲斐駒黒戸尾根日帰り往復は、体力強化には関東近郊でも適した山の一つであり、トレランの選手のトレーニングや、登山者の間でも自分の体力の再確認として、日帰り往復は多いと聞いている。

当会では、安達会員がモンブランに行く前のトレーニングとして登っており、会員にもその体験が如何に良かったかを、常日頃語っており、それに応える山行でもあったと思う。今回、甲斐駒黒戸尾根は久世・廣岡さんにて、翌日の三ツ峠には、松林さん・平井さん・平井和樹君(平井さん息子)も加わって登る事となった。

8月24日夜9時過ぎに廣岡さん宅に着くものの、久世が登山靴を忘れる大失態。すぐさま自宅に戻り、錦糸町から首都高速に乗るが、15分以上のロスが生じてしまった。首都高速も三宅坂から高井戸まで、断続的に混んでいて、久世にしては早い出発であったが、甲斐駒の登山口の竹宇駐車場には12時過ぎの到着となってしまった。
車中で仮眠をとり、朝は4時起床・5時出発のつもりが、いきなりの寝坊で5時起床となる、急いで5時40分に出発するが、日帰り往復は出だしから、不安な感じである。しかしながら日帰り登山は、水・雨具・食糧など必要最低限の装備で良いので、ほぼ空身状態で登れる利点がある。

駐車場より竹宇駒ケ岳神社を通り過ぎ、尾白川の吊り橋を渡れば、すぐ急登の始まりである。寝惚けた体には、いきなり辛いものである。とはいえ、笹平をワンピッチちょっとで通過出来、まあまあのペースで進む。綺麗な林の中を、更に暫く登ると、刃渡りが現れる。両側の切れた岩稜帯であるが、展望が良く、危険な場所であることを忘れ、しばし景色に見とれる。

刃渡りを越え、しばらく行くと、ハシゴ登りが待ち構えている。何箇所かの、かなり急なハシゴを登ると、8時30分刃利天狗に到着する。小休止の後、ひと登りで5合目到着だが、昔の小屋は完全に取り壊され、礎石のみが残っていて、ただの平たい空き地と化していた。

さらに数箇所のハシゴを乗り越え、急登を進むと、7合目の小屋が見えてきて、9時40分七丈小屋に着く。小屋で水を補給することなく先に進み、7合目のテント場を通過すると、テントは前日からのものと思われるテントが、1張あるのみであった。この先は樹林も少なくなってきて、稜線歩きとなるが、この日の天気は曇りがちであり、暑さが凌げて非常に楽であった。10時40分、8合目の鳥居を潜ると、甲斐駒らしい景色が広がってきた。

目の前には奥壁が迫力をもって迫り、見上げると剣が刺さった岩が聳え立ち、その背後に青い空と白い雲が見事に広がり、これぞ夏の山といったところである。

素晴らしい景色を見ながら最後のひと踏ん張りをすると、頂上が目の前に見えてきた。しかしながら「人・人・人」で、頂上は人でごった返している。最近の山ブームなのか、お手軽な100名山のという事もあるのか、北沢峠側からは、本当に沢山の人達が登ってきていた。頂上直下の登山道は渋滞しており、さらに頂上もバーゲン会場さながらで、休める場所も限られてしまう。当然ながら、頂上の標識で記念撮影するのも順番待ちで、頂上には30分程いたが、休めた感じもなく、すごすご下山となる。雲がかかったり、晴れたりと、景色はあまり良くなかったが、涼しかったので良しとする。下りは頂上であまり休めなかった事と、9-8合目までの岩稜帯を慎重かつ
ゆっくり下ったせいか、7合目まで1時間半弱かかった。7合目のテント場は狭い事もあるが、今日登った人達のテントで一杯になっていて、黒戸尾根を登る人達がいる事に、何故かほっとする。おそらく頂上での北沢峠から来た人達の、異様なくらいの人混みを見た後だからであろう。

その後も、5合目までハシゴがあった為か、ペースが上がらない。5合目での休憩中に、廣岡さんに「登りに6時間、下りも6時間かかりますかねー。」と言ったら、廣岡さんの馬力が唸りを上げ、一般コースタイムで50分かかる刃利天狗までを、半分の25分で下ってしまった。その後も廣岡さんのペースは衰えることなく、また登山道がカーブする所では、遠心力を使った見事なコーナーワークを披露し、快調に下る。途中、刃渡りでは富士山・八ヶ岳を見ることが出来、見事なブナ林に心を洗われながら、16時40分竹宇駐車場に戻り、登り6時間、頂上で30分、下り4時間30分の計11時間の山行を無事終えた。

駐車場もすぐそばのキャンプ場の客も多い事もあるが、こんなに一杯になるものだと感心した。駐車場手前の吊り橋より、今回も尾白川で川遊びをする子供たちを見ることが出来、とてもうらやましく思いつつ、こちらも風呂へ向かった。下山のお風呂は、初見の尾白の湯(尾白の森名水公園べるが内)。竹宇駐車場から、車ですぐの場所で、新しいゆえに混んではいましたが、露天風呂もあり、なかなかの湯でした。

少しのんびりしてしまい、三ツ峠に向かっている平井さんとの合流の為、須玉ICより一宮御坂ICまで中央高速で移動する。周りがすっかり暗くなった頃、無事一宮御坂にて平井さん親子と合流し、バーミヤンで夕食をとり三ツ峠に移動し、裏三ツ峠の駐車場に幕営する。その後松林さんも合流し、遅くまで夜更かしとなってしまった。

翌朝、朝食後屏風岩へ向かう。天気は今日は良く晴れているが、昨日の疲れもあり、和樹君の方が、我々より足どりが軽いくらいだ。屏風岩に着き、まずは奥の一般ルートの方に向うと、ルート前の広場で、静岡山岳会の前田さんより声を掛けられる。なんでも静岡市岳連のアルパイン講習会の実地訓練との事、10人くらい講習生がいて、皆さん上手に登っている。ヤル気の高い人達で羨ましい。

我々も一般ルートにてアップをし、その後羽鳥カンテの1P目にて、人工登攀の練習を始める。まずは久世が登り、トップロープをセットし、人工登攀が初めての廣岡さん・松林さんにトライしてもらう。当たり前の事だが、普通のクライミングとは異なる為、両人とも悪戦苦闘している。アブミに慣れてない為、どうしても腕力に頼ってしまいがちとなり、アブミの一つ上の段に登ったり、一つ先のボルトにアブミを掛ける前に、握力が尽きてしまっているようだ。それでも、二人とも年齢の割には(?)コツをつかむのが早く、まずはトップロープを登りきった。

続けて練習しているうちに、平井さんと和樹君が一般ルートを何本か登って、こちらに合流してきた。和樹君は普通の運動靴で、去年は小川山・今回は一般ルートとはいえ、上手に登っていて将来有望である。

となりの四段ハングの1P目に場所を移し、引き続き人工登攀の練習。久世が登りまたトップロープをセットして、平井さんも含め3人に登ってもらう。しかしながら今回のルートは1-2箇所、アブミの最上段に乗らなくてはならない場所があり、練習初回にしては、ちょっと厳しいトライであった。まずは松林さんが登り、問題の箇所で相当手こずったがクリア、続く廣岡さん・そして平井さんまでが不本意な形でフィニッシュとなってしまった。

最上段を使用する事は、本番でもやさしいルートでは、そんなに多くないと思われるが、屏風岩への練習としては、嫌なイメージが残ったまま、人工登攀の練習を終える事になってしまった。どうも手首の大怪我以来、何かから遠ざかっている気がする。最後に一般ルートに残してあったトップロープを片付け、撤収する事にしたら、ちょうど前田さんが上から懸垂下降にて下ってきたので、「今度一緒にクライミングをしたいね」と約束して屏風岩を後にする。

和樹君も来たことだし、せっかくなので皆で三ツ峠山の頂上まで登り、記念撮影をして、裏三ツ峠まで下りました。下山後は、2日続けて初見のお湯となり、一宮御坂ICに行く途中の「ももの里温泉」に行く。これが当たりのお風呂で、特に露天風呂から眺める甲府盆地や南アルプスの景色が最高で、こじんまりしているので、特別広くはないですが、なかなかです。休憩室にて夕食を食べ、温泉の駐車場で解散し、渋滞の中央道で帰京しましたが、中々充実した2日間でした。

同行いただいた、廣岡さん・松林さん・平井さん親子に感謝いたします。

(記: 久世)

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