日程: 2007年11月23日(金)~25日(日) 前夜発
山域: 宝剣岳 – 檜尾岳(中央アルプス)
参加者: 清水(L)・塩足・斎藤・鈴木(泰)
行程:
第1日目: 千畳敷(9:55) – 浄土乗越(11:06) – 宝剣岳(12:00) – 遭難の碑(14:00) – 極楽平(14:30) – 濁沢大峰(15:30) – 檜尾岳中間コル手前(16:00/幕営)
第2日目: 檜尾岳中間コル手前(7:00) – 檜尾岳(8:00) – 引き返し地点(10:00) – 檜尾岳(11:40) – 赤沢の頭(15:30/幕営)
第3日目: 赤沢の頭(7:00) – 檜尾橋(8:15)
木曽駒と言えば千畳敷!雑誌などで見るたびに行きたくなる場所であったため、行く前から楽しみになり、家でも雑誌を広げて千畳敷を眺めていた。
前の晩は新宿から高速バスに乗り、駒ヶ根駅前にある立体駐車場の中にテントを張った。近くにはトイレがあり、0時まで開いているスーパーがありで非常に快適だった。
そして当日はロープウェーで一気に千畳敷まで上がり、建物の中でゆっくりと身支度が出来、少々違和感があった。千畳敷を見ようと外に出ると、雲も風も無く、目の前には見たくてしょうがなかった光景が広がっていた。やはり本物は期待を裏切らずきれいだった。青い空をバックに何枚も写真を撮った。
アイゼンを履くのに手間取ったが、清水さんと齋藤さんに助けてもらい、いざ出発!!
歩き始めてすぐに暑くなりだし、すぐに一回目の着替え休憩になった。ここから僕が一番目になり、清水さんに言われた通り、前を歩く人のトレースを追いながら後ろが離れてないか確認しながら歩いた。
すでに多くの人が先に入っていたため、乗越浄土までは快適な道が出来ていた。途中で一度休憩を取った時に、清水さんから雪山で休憩をするさいの場所の選び方を教えてもらい勉強になった。
この先も夏道が見えていたので、ジグザグしながら乗越浄土へ到着した。前方には木曽駒ヶ岳が見えた。
左側には宝剣小屋と本日のメインイベントの宝剣岳が見える。宝剣岳は岩という印象だったが、見たかんじでは困難さはそれほどないような気がして、生意気ながらも大丈夫だという確信を持っていた。
小屋の前で休憩をしながら、ザイルをザックから出して肩にかけた。何だか格好よくなれた気がして気分がよかった。宝剣に取り付くと、陽が遮られているために少し寒かった。あれだけいた人間も、宝剣を登る人はとなると、ほんの一握りのようである。そのため少しラッセルがあり、休憩で冷えた体もすぐに暖まった。雪が降ると岩が目には見えないため、たまに岩が邪魔で足の置き場を何度も探したりして体力を削られた。しかし、そんなことも初めての経験なので、どうすれば足場が一発で決まるだろうかなどを考えたりしながら歩いていた。そうしたらいつの間にか頂上付近にいたため、あっという間に宝剣の頂上に着いてしまった。なのでこの間の記憶がほとんど無いため、書きようがありませんでした。
宝剣からは御嶽山がよく見えた。御嶽山は僕が山を好きになるきっかけを与えてくれた所なので、その時を思い出しながらシャッターボタンを押した。そして頂上で記念写真を撮った。寒さの影響で、清水さんのカメラが少し体調不良気味だったが、なんとか持ちこたえたようだった。
下山は慎重に足を運んだ。一ヶ所だけ少し危なそうな所があったが、みんなザイルをだす必要も無く通過したので、ザイルはもう必要ないなと思っていたら、塩足さんが左側が1~2メートル切れ落ちている所でザイルを出してほしいという。そこで清水さんと僕が先に行き、清水さんがロープをFIXしようとしていたと思われるが、結局のところいい支点が見つからなかったために、スタンディング・アックスビレイを清水さんが行った。初めて見るスタンディング・アックスビレイは非常に興味深かった。そしてロープを操作する清水さんが格好よかった。
スタカット・ビレイをしている間に、単独者が先に行ったため、この先はずっとこの単独者のトレースを追うことになる。極楽平では、大パーティー(15~20人)が千畳敷から直接登ってきていた。このパーティーに追いつかれると面倒だということになり、濁沢大峰のキツイ登りも休憩をしないで一気に登った。ここの登りはラッセルと傾斜のせいで、すぐに息があがり苦しかった。しかし後ろの塩足さんはもっと苦しそうだったので、少し気休めになった。濁沢大峰から後ろをみると大パーティーがどんどん近づいてきていた。そのせいで疲れが抜けきらない内に早々と出発することになった。この時点で随分と時間が経っていたため、テントを張れる場所を探しながら歩いた。最終的には登山道の上にテントを張ったが、面積が少し足りなかった為にテントの一部が下に落ちていた。僕がそこに寝ることになったが、よく眠れなかった。初日の晩御飯は噂に名高い塩足さんのキムチ鍋が登場した。
キムチをそのまま担ぎ上げただけあって、とてもおいしかったです。
寝る前に外に出てみると少し欠けた満月が浮いていた。その明るさはヘッドライトがいらないほどで、周りの山すらよく見えた。一通り夜の山を見終わり、名古屋と思われる街の明かりに目をやった。平地に広がり続ける街の明かりを見ながら人間の力は凄いなーと関心しながらも、それらによる温暖化の問題が頭をよぎった。
翌日の天気も良好で、この日も単独者のトレースを利用するが、この日はスノーシューにしたらしく、アイゼンで踏み込むとズボズボと膝下くらいまで雪に埋まり、ちょっと辛かった。
桧尾岳に着く頃には風が吹き始めていた。休憩するときには風の無い所が必ずあり、そういった場所はポカポカとしていて気持ちよかった。桧尾岳から空木岳が見えたが、まだまだ遥か遠くのように感じられた。清水さんも今日中には予定していた所までは行けないだろうと言っていたが、この先で雪の状態が変われば大丈夫だということで空木岳を目指すことにした。単独者は桧尾尾根を降りて行ったので、ここからは白い雪面に一番最初に足型スタンプをつけられて、ちょっとドキドキしながらも嬉しかった。
カモシカの足跡を辿りながら歩いていたが、道は一向に良くならず、桧尾岳から1時間~1時間半程行った所で引き返して桧尾尾根を降りることにした。自分の作ったトレースだが、有ると無いとでは、かなり違った。途中で勝手に一部道を変えたが何も言われなかったので良かった。
桧尾岳から改めて予定していたコースを目で辿ってみたが、やはり長いな~と感じた。避難小屋の前でアイゼンを脱ぎ、小屋を覗いてみたが、シュラフが7つくらいあり、畳もあって快適そうであったが、ネズミに注意と書かれていた。
下山を開始してからすぐにラッセルになった。上から見ている分には、ほとんど雪が無かったように見えていたが、桧尾尾根の下山が一番深く潜り、意外に時間がかかってしまった。ここを降るからいいものの、もし登りだったら間違いなく途中で心が折れていたと思う。しかも距離がながい。こんな長い時間がかかる下山は初めてで、飽きるし眠いし完全に気が抜けていた。
この日のテント場は赤沢の頭で、またしても道にテントを設営した。水が無かったので雪を集めに行ったが、枝やら葉っぱやらの不純物が多く、塩足さんと清水さんが何度もタオルで濾して頑張っていた。
二日目の鍋は何鍋か忘れたが、とにかく痛い鍋だった。僕の口の荒れが尋常じゃなく、口の中はもちろんのこと、舌まで切れていて、熱さで痛くて、おまけに塩足さんおすすめのゆず胡椒が言葉すら失わせるほどに痛かった。あまりの痛さに涙が止まらず、僕は子供の頃に親に叱られて泣きながら食べたことを思い出した。食欲は完全に失せ、早くこの時間を終わらせたかったが、痛さでそれすらできず、久々にこんな最悪な晩御飯をむかえた。
下山後はこまくさの湯に入った。露天風呂から千畳敷を眺めることができ、気持ちよかったので、一人で長湯をしてしまった。
PS. 下山途中にムササビを発見したので、次回はカモシカとムササビを追いかけ回すのに来たいと思います。
(記: 鈴木(泰))