残秋 – 爺が岳~鹿島槍ヶ岳

日時: 2009年10月10日(土)~12日(月)
山域: 爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳(後立山)
参加者: 志村・他

200910ziigatake 今回のコンセプトは爽やかな秋山を堪能するだけの「頑張らないのんびりまったり山行」と勝手に設定し、友達にも言い含めた。心配していた台風も過ぎ去り、安定した晴れの予報が続いたので目標が達成できそうな予感。

9時。扇沢の登山口から歩き始めると彩りは緑々~赤や黄色~茶と驚く程あっという間で枯れた残秋に姿を変えた。

その頃、ポツポツと雨が降り出した。降ったり止んだりを繰り返し、雨は霙に雪に季節を早送りしたように移り変わる。快適性を重視し軽量化を図っていない為(トレーニングも兼ねて)、段々ザックが肩に食い込んでくる。つらい…。この時点で、「頑張らないと」テン場に辿り着けない状況になっていた。

13時。幕営地の種池山荘に着く頃にはしっかりとした雪、というか吹雪?になった。

寒くてテントの中から出る気にならない。あまりの天気予報の外れっぷりに気象庁への八つ当たりとして悪口を考えるが、思いつかない為「も~」とか「ブー」とか動物的言語を発しただけで、さっさと就寝。明日は晴れると信じて。

6時出発。夜中降り続いた雪は止んでいるが、まだ薄暗く、強風が吹きつけている。爺ヶ岳に続く登山道は姿を消し一面は雪に覆われていた。そして誰も居ない。

北アルプスは、自然の掟で定められた通り生真面目に季節を移り、冬への準備を始めていた。私の最後の秋を堪能したいという要望は勿論聞いてくれない。一方から吹き付ける冷気に片腕がしびれてきた。心細いが、午後からは晴れるという予報を頼りにして突き進む。一瞬の晴れ間に劔岳が朝日に照らされた。澄み切った冷たい空気の中で輝くその急峻な岩山は下界の諸々の上に堂々と聳えていた。どんな高名なカメラマンをもってしてもこの景色は映し撮る事は出来ないだろう。思いっきりテンションの上がる私たち。しかし、すぐにまた姿を消し、その日は二度と現れてはくれなかった。なんだよー、一瞬かよー、現れろーと野次を飛ばしてみる。あ~~~ガッカリ・・・。

鹿島槍も山頂に雲を漂わせたまま、強風と雪に阻まれた(そんなに酷くはない)私たちは布引山で撤退を決断した。無理して山頂に着いても眺望なかったらツマンナイし~。いいもん!また来年来るもんね!と捨て台詞(?)を残し退散した。

帰りに向かう爺ヶ岳は・・・格好良かった!ゴメン!爺ヶ岳よ!すっかり鹿島槍へ続く通過点位に見ていたよ。3峰連なる岩山はとても雄大に見えた。大反省。とても格好いい山でした。超・素敵!

爺ヶ岳の下りは全く様相を変えていた。道がある!雪がない!?こんなにあっという間に?
なんだか季節に翻弄された山行になった。私の予感も当たらないなー。

3日目の下山日はド・ピーカン。雲一つない青空の下、360度の大パノラマを恨めしく見つつ、とっとと下山。

帰りに寄った『薬師の湯』はとても良かった。

(記: 志村)

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