秩父(夜間山行)

日程: 2007年11月16日(金) – 17日(土)
山域: 武甲山 – 蕨山(秩父)
参加者: 芳野
行程: 秩父鉄道・浦山口駅(22:20) – 登山口(23:10) – 武甲山(13:10) – 蕨山(4:00) – 名栗・さわらびの湯バス停(5:45)

11月16日(金)

以前トレーニングで良く夜の山を歩いていたが、最近その感覚を忘れている。この週末にある富士山の耐寒訓練に参加できないため、久しぶりに夜の山を歩くことにした。夜に山を歩けるかどうかは、経験が左右する。朝早い出発・下山が遅れて暗くなった場合、いつも通りに歩けることは強みであり安心でもあり、山の夜は魔物が潜むのだ。
山の夜は、当たり前だが真っ暗だ。闇である。闇が怖い、と正直に思う。でもその闇も15分も歩けば慣れてくる。が、登山口で『人を探しています』の顔写真付きチラシをラテが照らし出した時にはあまりいい気分ではなかった・・。初めこそ、闇の中で動物がガサゴソと走り去る音が気になって立ち止まっていたが、そのうち’お休みのところお騒がせしてスミマセ~ン’とのん気に歩くようになる。でも、十数m先に10程の目がコチラを見ていた時には、ギクリとした。闇の中では身体は見えずオレンジ色の目だけが光る。お互いの動きは止まり、やがて動物は走り去った。山は本来動物の棲家であり、餌場であり、生きていくフィールドなのであって、人はその中で遊ばせてもらっているイチ小動物に過ぎない。しかも夜の闇の中で人という動物は、あまりにも弱い。山に行くという事は、こういう世界に入る事だ、と改めて思い知らされる。結局、止ると寒いため、地図の確認・水を飲む・ラテの電池交換の時に立ち止まるだけで、歩ききってしまった。

夜に山を歩くための所感として

○闇を照らす光源・ラテだけが動くための生命線。そこでラテの性能が問われる訳だが、テントの中で使うのであれば何だって良い。本当に必要な場面で、必要とする明るさをもたらしてくれるか、である。月明かりの届かない林の中であれば尚更のこと。白色LEDは、蛍光灯のように全体を白っぽく明るくして良さそうだが焦点が定まらず、道を探す事には向かない、と私は思う。歩く時は足元だけを見ているのではない。これは先頭を歩く者にしか判らないかもしれないが、先にある道を確認出来て初めて安心した一歩が出せるのだ。ピンスポットの様に照らし出すミニチュア球使用のラテを持っていって正解だった(以前、ダメだ!と記録に書いた代物だが、電池容量不足だったか?)。

○一番気をつけなければならないのが`道迷い`である。思いのほか落ち葉により道は隠れ、何度も周りを見渡して探した。ラテが照らし出す範囲は狭く、見通しが利かない闇に目を凝らした。ラテが照らした所全てが道に見えて仕方が無い。柔らかい地面を踏むと「道を外した!」という警報が鳴るようになった。登山道は踏み固められているので固い。ひたすら忠実に道をたどり慎重過ぎる歩きのためゆっくりで、笑いが出るほどだ。迷ったと思ったらビバークすれば良い。明るくなるまで待てば良いのだ。ビバークというとなぜか悲壮感が漂うが、前進するための有効な手段であって、特別なことではない。

○夜の山の怖さは、本当は「闇」にあるのだと思う。明かりを消すと闇に押しつぶされそうになる。明かりを点けていても背中を意識すると怖い。闇というだけで恐怖なのだ。太古の昔より人間が恐れたもの・・・それとどう向き合えるか。そう、勝つのではない、慣れればいいのだ。
山に対する`畏怖`を感じ、山を謙虚に受け止めるいい機会となった。

【今回の装備】ツエルト・防寒着・雨具・非常装備<メタ・針金・裁縫道具・絆創膏・テーピングテープ・湿布・ライター・ろうそく・予備電池等>・非常食(火を使わず食べられカロリーの高いもの、ex.チョコ・ナッツ類)・ラテ(今回は2ヶ。1人だと電池交換も出来ない)★以上6点はどの山行にも必携。シュラフカバー・EPIヘッド&本体(暖まるならメタで十分、お湯も沸くが時間が掛かる)・行動食(ポケットに入れて随時食べられる乾燥フルーツにした(平野さんが良く持っていたので買ってみた。Goo!))

(記: 芳野)

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