編笠山・権現岳縦走(八ヶ岳)

日程: 2008年2月9日(土) – 11日(月)
山域: 編笠山・権現岳(八ヶ岳)
参加者: S(L)・I・芳野
行程:
第1日目: 県道11号・観音平口発(7:20) – 登山口(8:50) – 押手川(11:20) – 編笠山(15:20) – 青年小屋(16:10)
第2日目: 出発(7:40) – 稜線(11:30) – 始めのクサリ場(12:00) – 権現小屋(15:20)
第3日目: 出発(7:50) – 権現岳(8:10) – 木戸口(12:00) – 横断道(15:30) – 観音平(16:20) – 駐車場(17:20)

2月9日

S女史は前の会の仲間であり、彼女の新しい仲間Iさんとの女3人山行になった。
昨年より雪は多いのにトレースはない。初めてのIさんはしっかりついてくるので、ひとまず安心する。体力があれば、何とかなることは多い。脛あたりの雪・赤テープもはっきり確認できるので彼女に先頭をお願いすると、どこを歩くか考える事、ラッセル、何もかもが楽しくて仕方がないという。交替は自己申告だが、個人の電池切れはパーティにも影響が出るため、余裕をもって交替するように伝える。

傾斜は急になり、頂上付近は普通に吹雪いている。バニラアイスクリームをディッシャーでポンと乗せたような雪の丘を、直線ラインで腿までのワカンラッセルするのが、ナンだか楽しい。頂上から小屋への下りは、腰までの雪を体重で押し分け泳ぐように進み、また楽しくなる。でもIさんは、振り向くたびに埋まってもがいている。楽しそうだが、遊んでいるのではなさそうだ。なんであんなに埋まってしまうんだろう・・ナゾだ。

小屋では冬期小屋を使用する事とし、宴会モード。突然現れたご年配パーティのうるささに閉口しつつ、夜も更ける。

2月10日

ご年配パーティは下山のようだ。また静かな山に戻った。
天気は晴れ!風強し。小屋前の樹林入り口は、風の影響で肩まで雪の壁がある。オイオイ、本気か、と突っ込みたくなる凄まじさだ。手で掻き下ろしてスタートを切る。昨年は1時間少々で抜けた樹林帯も、3時間以上掛かる。岩稜帯はアイゼンを利かせジグザグ、あとは締まった雪面を蹴りこんで10mで鞍部に乗り、紺碧の空に向かってGO!って気分。でもIさんは、"蹴り込む"動作がしっかり出来ず私のトレースを壊し続け、後ろにいるS女史の指導の声。目の前で次々とトレースが壊されると、辛いのよね。がんばれ!若葉マーク。学ばなければいけない事は多いぞ。また10mの雪壁で主稜線に出た。

これこそまさしく自然の「美」。ため息が出る。青い空、白い雪の風紋、何物の跡もない稜線。そこに自分のトレースを作ることは光栄であり、心の高揚を覚える。2番目のクサリ場・トラバースはクサリが雪に埋もれていたのでザイルを出す。斜度がきついので何度もステップを切り息が上がる。斜面を直上するとかなり細いリッジ、これまたすばらしいの一言に尽きる。が、これでもか!の終日ラッセルにお疲れぎみ。小屋が目の前にあるのに、ちっとも近づかない。肩で息をしながら、やっとのことで権現の小屋にたどり着く。
小屋は屋根まで埋もれ、裏手を凹ませテントを張る。1日の終わりに見せた、権現岳稜線が赤く染まるアーベントロード、その真っ只中に私達だけが居る。キリっと冷えた空気に明日の晴れを期待して、早々にテントでの宴が始まった。

2月11日

権現の頂上はすぐそこ。しばらくの間の稜線は雪が飛ばされて快適だったが、左に大きく回りこむところが吹き溜まりで、ザイルを3ピッチ伸ばす。そしてまた、樹林のラッセルが始まった。三ツ頭からの下りはダラダラで、表面が硬いモナカ。しかも雪は腿まで有り、しっかり踏み込まねばならない。それが遥か先まで見えるので、イヤ気が刺す。モナカから重い脛までの雪に変わり、今度はワカンごとダンゴになる。もうどうでも良くなるが、山は「や~めた」と、途中で終われないのから大変なのだ。延々と下り、延々とワカンダンゴに付き合わされる。本当に延々と。日が傾く頃、観音平に到着。やっとザックを下ろし「わぁぁぁ」「あぁ~」「ぎぇぇ~」と3人で声をあげる。ラッセルからの開放、疲れ、歩ききった満足感。そして、笑いがでる。 ・・・お疲れ様でした。

(記: 芳野)

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