編笠山・権現岳~白銀の世界~

日時:2007年1月20日(土)~21日(日)
山域:八ヶ岳(編笠山・権現岳)
参加者:芳野菜実(L)・達郎・志村(記)
行程:1/20 6:48国立駅集合
        9:15 登山開始
      15:00頃 編笠山登頂
              16:00 青年小屋テント場到着
   1/21 5:00過ぎ 起床
                 6:50 登山開始(権現岳へピストン)
                 8:20頃 権現岳山頂目前に断念
                 9:10 テント場に帰着 
                9:45 撤収完了下山開始
              10:30頃 編笠山下山開始
              12:25 終了

天気は両日共晴れ。風も無く絶好の登山日和なり。

今回、芳野夫妻の山行に急遽参加させて頂ける事になった。
観音平に続く林道は冬期閉鎖されている。手前の駐車場で準備を済ませると林道を歩き始めた。暑い。汗が滝のように流れ、気持ちまで流れていくようだ。登山は自分には無理なんだ。…といつもながらに後悔を始める。

遠くに輝く山頂を望みながら、私の登山は泣きの30分から始まる。

ようやく林道を終え、富士見展望台より登山道へ入る。
鹿が運動会をしている。数が多い!鹿害が噂される昨今だが、こんなに居たら、それもあろう。と納得する。
雲海展望台を経由し、押手川へ。途中で出会った2人組より「編笠山山頂まではトレース付けておきましたから」との事。
本日入山しているのは4パーティ位か。
「後30分位?」との場所からが長かった…。永遠にこの樹林帯から抜け出せない、と魔の錯覚に陥るも、いやいやそんな訳ない!と数少ない登山経験を無理やり思い起す。亀の歩みでも赤ちゃんの散歩でもとにかく前に進めば、目的地には到達するのだ!
樹林帯を抜け出し、眩いばかりの雪に覆われた山頂に近づく。
見えた!しかし、山頂の目印までの水平移動さえままならない程ヨレヨレだ。
編笠山を人気のない山と聞いていた。しかし、そこにあったのは、何物も遮るもののない360度の大パノラマ。先日登った甲斐駒・仙丈や南北へ続くアルプス・富士山、目前に八ヶ岳の雄姿が迫っている。すごいすごーい!なんて綺麗なんでしょう!
ここで、今まで辛かった歩みの記憶が全てリセットされてしまう。
このリセットボタンがなければ私は山に登れないだろう。
今回の目的のもう一つ、権現岳は威張ったように猛々しく構えている。
あそこまで行けるのだろうか???

そこからは雪が深い。あっという間に腿まで埋まって身動きがとれなくなる。
芳野夫妻が丁寧にトレースを付けて下さる。
ワカンを付け、本日の幕営地である青年小屋に向かう。
誰も居ない誰も来ない。

テントはあっという間に設営され、ようやく落ち着いた。
長い1日が終わった気分。もう気持ちを緩めてもいいんだ。
菜実さんと達郎さんが阿吽の呼吸でテキパキとお茶から夕飯の支度から進めて下さるのを、見つめるだけの私。すみません。
夕食はカレー+サラダ。夫婦漫才を見ているようなテンポの良い掛け合いに楽しく食が進む。寒いと噂の八ヶ岳も今日は寒くない。安心して夢の中へ。

5時起床。心配されていた天気も大丈夫そうだ。
朝食の雑炊を頂きながら、空身で様子を見ながら権現を目指し、9時頃には戻って来ようと方針が決定する。幕営地の正面に聳える権現岳に不安が一杯だ。
今日も芳野夫妻が交代でラッセルして下さる後を、黙々と着いていく私。

樹林帯を抜け出し、ワカンからアイゼンに取り替えると、雪の中に岩が混じってきた。
山頂は目の前だ。しかし、今まで歩いて来た山から別の山に来てしまったような、岩稜の壁が立ちはだかっている。「志村さん、あれ登れる?」と達郎さん。
「・・・」
結局、ザイル無しでの下山が危険である為、今回はここで撤退。
本当に申し訳なく思う。「課題が一つ残ったね」「はい。今度はあれを越える為に又来たいです」と答える。「岩場に雪が付いている所は難しいんだよ。とくに下山が。
練習したらね」と教えて頂く。成る程。練習せねば!

撤収もテキパキとあっという間だ。
編笠山までの登り返しを恨めしく思いながら、歩き出す。
晴天に広がる最後の眺めを楽しみながら下山開始。
下山が苦手な私も雪山は歩きやすい。あっという間に駐車場へ戻って来て登山終了。
「延命の湯」に入り、腹ごしらえをして、帰京。

今回もまた、先輩方に多くの事を教わり、励まされ、山を楽しむ事が出来ました。
天気と自然と仲間に感謝です。有難うございました。

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