谷川岳登攀報告

(画像入りはこちら)
日時: 2011年9月24日(土)-25日(日)
山域: 谷川岳(一の倉沢2ルンゼ・Bルンゼ)
メンバー: 久世(L),松林
行程:
前夜: 荻窪駅南口集合(22:00) – 練馬IC- 水上IC – 谷川岳(23:00) – ロープウェー駐車場(テント泊)
第1日目: 起床(3:30) – 駐車場出発(4:40) 一の倉沢出合(5:30) – 夏路 – テールリッジ – 南稜テラス – 本谷バンド – 2ルンゼ – ザッテル – Bルンゼ゙~国境稜線(17:00) – 頂上 – 西黒尾根 – 谷川岳ロープウェー駐車場(21:30)
第2日目: 南稜登攀中止し、湯テルメ谷川経由帰京 – 荻窪駅南口解散
この山行の1週間前から動きの遅い大型台風の影響で長雨が続いていた。21日には台風が上陸し、暴風雨のため集会も急きょ中止になった。その直後の山行だったので、谷川岳山岳警備隊や登山センターにコース状況を確認しながらも一抹の不安を抱えての出発になった。
西黒尾根から平標を目指す土井さんが車に同乗することになり、荻窪駅南口より3人で谷川岳ロープウェーに向かう。当初、ロープウェー駅ロビーでいつものように仮眠する予定だったが、震災後、夜間のロビーは閉鎖となっており、駐車場からのエレベーターもストップ。真っ暗だ。しかたなく駐車場の車の横にテントを張って仮眠。他の登山者も同様にテントを張るか車で寝ていたようだ。駐車する車の台数は少ないのでテントスペースは十分にある。が、深夜から早朝にかけて入ってくる車の音がうるさくて眠れない。以前はロビーの床暖房が効いて暖かだったが、冬季は寒さと車の音の対策をたてないと睡眠不足で登ることになりそうだ。
9月24日 早朝小雨、午後曇り、夕方晴れ
4:30駐車場発。雨具を出すほどではないが、霧雨で出合までの路は濡れていた。夏路をたどりヒョングリの滝へ懸垂下降し、テールリッジ下部樹林をぬけた所でクライミングシューズに履き替えハーネスをセットした。岩のくぼみにはまだ雨水がたまっていたが雨もあがり岩の表面も乾きだした。日はささず、国境稜線はずっと雲の中で見えない。
 
南稜テラスでロープを出し、テラスから懸垂で本谷バンドに降りる。
南稜テラスからの2ルンゼ
いよいよ2ルンゼだ。ここ2週間の長雨でルンゼは沢登り状態で水量もかなりあった。普段から湿ったルンゼとのことだが、ルンゼの中はコケが繁茂し、両側からも水がにじみでてくる。滝はシャワー状態で登攀中はエリ、ソデ口から体の中に水が流れ込んでくる。
濡れてぬめった岩はごまかしが効かない。技術力の低下と体力の無さを痛感する。
リードで小さな滝ですべり落ちてからは急速に自信喪失になってしまった。いたるところ滑りそうな気がする。濡れた体も冷えて力が入らない。ルンゼの先は相変わらずガスの中。
ザッテルを超え懸垂下降した当りから晴れ間が出てきた。2ルンゼの薄暗い谷底から明るいルンゼに出て視界も広がりほっとする。ルンゼ内は水の流れはあるが岩は乾いていてマッターホルン状岩峰までは気持ちよく登れた。が、Bルンゼに入ってからが緊張の連続だった。草付きは、しみ出た水で粘土状になっていて、つかんだ草は根こそぎ簡単に抜けてしまう。足元はズルズル滑り、滑ったらアウト。疲労感が大きくなり、踏ん張りが利かなくなってきた。
粘土壁にクライミングシューズを何度もけり込んで足場を作ってからゆっくり体を立ち上げる。スピードが落ちると体力は消耗する。靴もズボンも泥だらけになってしまった。
最後の草付きもガスで方向を見失い、本来のルートとは違うルンゼ北側を登ってしまった。
泥足で滑りながら急峻な熊笹のヤブコキをがむしゃらに続け、やっと国境稜線に出た。時間は既に17:30。稜線から西側はうそのような晴天。沈み行く夕日に痛むヒザをかばいながらヘッドランプをつけ西黒尾根を下り、谷川岳ロープウェー駐車場に着いた時は21:30になっていた。
9月25日 晴れ
今回の登攀では体力・技術の低下を思い知らされた。長雨後の悪条件も言い訳にしかならないほど登り切れなかった。体力の無さが自信のなさになり、思いっきりの悪さにつながった。体を引き上げる脚力・腕力・指の力の不足。バランス感覚の低下。ヒザの痛み。
どれをとっても「こんなはずではなかった・・」の思いをしながらの登攀、下山だった。
最後に。こんな状態にもかかわらず最後まで引き上げ、つきあってくれた久世さん。ありがとうございました。
(記: 松林)

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