日時 2006年3月11日(土)~3月12日(日)
山域 谷川岳天神尾根
行程
1日目・・・上野7:20発、水上1号—水上着9:41-バス–谷川岳ロープウェイ着11:22出発—天神平–
熊穴沢小屋付近で雪洞構築
2日目・・・4:30起床-6:32雪洞出発–肩ノ広場-8:02トマの耳–雪洞–天神尾根-11:20ロープウェイ 着
参加者 (L)清水清二、飯田平八郎、塩足京子、志村由美子、清水幸代(記)
昨年末の雪上訓練に続き二度目の天神平。前回同様1日目は太陽に恵まれ、心地良い山行の始まりでした。天神平スキー場には、まばらな人。シーズンも終わりなのでしょうか?前回のサラサラとした雪は湿り気を帯びてジャリジャリとした固い雪に姿を変え、見渡す山々の景観も、ほんの少しだけ変化したように感じました。
11:22ロープウェイから出発し天神尾根を歩く。前回と同じルートを歩いているのに、私には全く別のものに思えました。清水さんに前回の幕営地を示されてもイマイチぴんとこず。
きっと、この白くて広い雪の下のどこかに、私達が過ごしたテントの横の木が眠っていて、きっと、その近くのどこかに私達が頂いた温かい鍋のフタが春の来るのを待ちわびているのでしょうか?(いや、夏かも)・・・そんな事を考えながら熊穴沢小屋付近へ進む。
途中、暑く息苦しく何度もゴーグルを付けたり外したり。 サングラスを用意すれば良かった。
気温も高く、日差しも強く、動いているとダラダラと汗!汗!汗!それなのにゴーグル!「雪目」という症状がよくわからなくて、とりあえずゴーグル!「痛くなってからでは遅いよ」と志村さんに教えてもらい、それならば!と思い、何としても外すまいとゴーグル!・・・が、結局、前後ろ右左、振り返り見える山・空・太陽、すべてを直接感じたくて帽子に固定しましたゴーグル。
うっとうしいフィルターを外すと新鮮な空気と本当の色が見える。
眩しい太陽の陽射しが山肌に反射しキラキラ光る。
私は、この、光が反射して「キラキラヒカル」のが大好きだ。 神様が空の向こうで魔法をかけてる瞬間。その一瞬に心を奪われながら天神尾根を進む。
西に俎嵓山稜と幕岩。かつて鵬翔の先輩方が初登・開拓されたルートを遠くに見つめ、いつか私も!と熱く想う。ヘナチョコな私に、いつかそんな日が来たら、きっと今この時を思い出すのだろうなぁ・・・。
何だか谷川にロマンスの予感!・・・と、ウットリしたのも熊穴沢小屋付近まで。
さてさて今回の核心、雪洞地到着。
到着した瞬間、ザックの中の荷物の一部が滑落!危うく果てまで行く前に突っ走り確保する塩足さん。
何が起こるか分からない。
今夜の食事が行方不明にならなくて良かった!!そしてここからは、ガッチリ肉体労働者!ガテン!12:30今夜の我が家の着工!三月は雪洞山行の方々が多いようで、私達の他にも7名のパーティ、9名のパーティなど各々の「家」をワッサワッサと建築中。
早速、私達も雪洞掘り開始!清水さん、塩足さん、志村さん、私の四人で雪洞、飯田さんは一人でトイレ造りを。
最初は、何とも構造??全体のイメージがつかめず、がむしゃらにスコップやスノーソーを振り回す(笑)とにかく雪が固くて固くて、コツもつかめず、ポロポロ細かく雪を削り取る事しか出来ず。
それでも少しずつ形になってゆく我が家、「疲れる前に交代ねぇ」と清水さん。
そして遠く隣を見ると飯田さんの姿は見えず。建設中のトイレの中に隠れてしまった。
もはや、トイレにするにはもったいない程の掘り具合。
徐々に天井が高くなり三人入って作業できるくらいのスペースが出来た時には三時間半経過の16:00。相変わらずコツはつかめぬまま、スコップを振り回す。 スノーソーガリガリ。
だんだん外の声も聞こえぬほど夢中になり、固い氷の様な雪の壁にヒステリックにスコップを物蹴る。
取り憑かれた様に掘る!というか・・・もうケンカ(笑)。
トイレを完成させた飯田さんも加わり最後の一踏ん張り。
「タイムリミットまであと1時間ねー!」とピッケル片手に塩足さん。 せっせと中の雪を外に出す。
その掻き出された雪を飯田さんが放り出し、そのまた雪を志村さんと私で放り出す。
普段ダラーンと横になってる筋肉達が一斉に駆り出され悲鳴を上げる。 特に肘下。
中腰での作業が続き背中も腰も。
「雪洞」という言葉の響きから連想されるクールで繊細なイメージというより、汗だく・ハチマキ・現場工事!の様な5時間でした。
17:00スウィートルーム完成!トイレも完成!みんなで歓声!!(いずれもデラックスマウンテンビュー!)
夕食は石狩鍋。 桜飯。 そして食前食中食後「酒」。 塩足さん持参の干物が美味しかった。
大根の味噌漬けも。 そして何よりも雪洞の快適な事といったら!!火を使っているにもかかわらず、暑苦しさや息苦しさは皆無。 風も当たらないし天井も高い。 雪洞サイコー!テントの様に一瞬で設営できる便利さは無いが、快適極まりない。 肉体労働の後の素敵なご褒美。 ロマンティックなロウソクの光に、またしてもウットリ。 そのロウソクの熱で彫られてゆくユニークな形。 自然が造り出すアートに勝るもの無し。 一生の想い出に残るヨル。
00:00就寝。
二日目。4:30起床。温かいロウソクの明かりで目覚める。優しい朝。
朝食には、うどん。 夕べの石狩鍋とミックスされて絶妙な味。 美味しかった!温かい朝食とお茶を済ませ、荷物をデポし6:32谷川岳目指し出発。下山するまで好天でありますように!という祈りが通じたかのように、ブルースカーイ!!風は稜線を登ってゆくに従って強くはなったが、視界良好。
開けて解放!頂上から滑り降りて来るスノーボーター&スキーヤー達。気持ち良さそう。
けれど板を背負って登る勇気も体力も根性も何もかもない私。
その上、ボーゲンしか出来ないけれど、山スキーに憧れる。 気持ち良いのだろうなぁ。と、すれ違うエクストリーマー達を横目に、それ程重いはずも無いザックにゼエゼエしながら猫背気味で上へ上へ。
30分程したところで荷物を交代してもらう。 もう少しで頂!と思っていた所が、実は違っていてショック。まだ登るのかぁ!!それもそのはずで、まだ30分しかたっていなかった。
それなのに向こうには何も見えなく、見える所がトマの耳だと思っていた。 が、本当のトマの耳は、ずっとその先。
背後から聞こえるヘリコプターの音に一同振り返りつつ登ること50分。
肩ノ広場。オジカ沢方向へ続く稜線が美しい。 振り返り今来た方向を見ると、吸い込まれてゆきそうだ。もう少しでトマの耳。
傾斜も緩くなり気持ちも和らぐ。 昨年の初めての雪山で、今、自分が歩いている巨大なアイスクリームのような塊を見た時、谷川岳って登れるんだろうか??と本気で思った。
8:02出発してから1時間30分後にトマの耳到着。大展望に酔いしれること数分。
この先のオキノ耳って、ここから行けるんだろうか・・・。 だって先が切れてて何も続く様子が見当たらない。 想像してるだけで足元がサワサワしてくるので、回れ右して下山。
陽射しが強く白銀に輝く谷川岳を背に、ヘッピリ腰で下る。下る。登るのも辛いけど、下るのは恐怖が伴うから精神的に疲れが倍増する気がする。
アイゼンが絡み合わない様に歩く方法を清水さんに教わり、その通り下る。でも、怖い。「歩く技術」というのが山では必要なのだなぁと改めて痛感。
雪洞まで戻り、温かいワカメスープを頂きロープウェイへ向かう。途中からパラパラを小雨が降り出すがギリギリセーフでロープウェイ着。11:20 24時間タップリ中身の濃い〜山行でした。
帰りの電車の中での一時も。 美味しいビールと飯田さんから聞いた昔の山岳会の話も。
次回は、オキノ耳まで行ってみたいです。 その向こうは、どうなっているんだろう・・・謎。(笑)