日程: 2023年1月29日(日)
山域: 上タケ沢(奥鬼怒)
参加者: 林(L)・齊木・江戸
一週間前に背の高いお兄さんが上タケ沢へ入った話を聞き付け、我もと奥鬼怒へ駆け付け。齊木さんは一年越しのアイス復帰戦。
8時半に歩き出し、30分で川沿いへ。徒渉点は悪そうだったが、徒渉大臣が弱点を突き無事突破。深沢出合からは急登の高巻き。やや悪い所もありガッツリ山登り。その後は沢沿いを左へ右へと移りながら進む。
我々はアプローチの長さを見誤っていたらしく、上タケ沢・下タケ沢の出合へ10時半着、上タケ沢の氷瀑へ11時半着と余裕の出勤となってしまった。完全に出遅れた。
最初に目に飛び込んできたのは、50mのホワイトスペシャル、90mの神々の業など凄まじいスケールの氷瀑群。
この時間のため、残念(当然?)ながらどちらも他パーティが登攀中。今回は更に奥右俣の暗黒峡方面へと進む。
小滝を2つ超えると暗黒峡。周囲一面が切り立った崖に囲まれ、50m規模の氷瀑や氷壁が至る所に聳えている。これまた凄まじい威容。他パーティが登攀中・下降中の氷瀑からは時折数cm~数十cmの氷塊が降ってきて恐ろしい。
さてどこを登ろうかという話になったが、一番手頃な奥の氷壁にはロープが掛かっている。空いているのは、暗黒峡で最も手前にかかる氷瀑のみ(WILL、VI-)。
来た道を戻りホワイトスペシャル・神々の業空きを待つ案も出ていたが、折角だからとWILLをやるよう進言。リードも譲ってもらえた。アクションカムも搭載して気合の登攀開始。
氷瀑は3段になっており、1段目が40-50m程、2・3段目がそれぞれ5m程。1段目下部は70-80度くらいで、中間部で左右から落ちる氷柱のどちらかへ進む(今回は右は繋がっていなかった)。左は85-90度くらい。
実際に取り付くと下部は濡れ氷でピックを刺した感触が気持ち悪かったが、ここは問題なく通過。
中間部では左側の氷柱と右側の氷瀑の間をステミングしたりキョンしながら登る。右側は脆いキノコ状の氷塊が散在したため、足の置き場に困った。また、常に水滴が降り注ぎサングラスが使い物にならなくなる罠も。どうにかこうにか10m程上がった後、左側の氷柱へ身体を移す。
左の氷柱では、足元の不安定さやランニングを取れる箇所の少なさから怖いクライミングになる。抜け口直下は氷が狭くなり角度も垂直、直前に打ったスクリューはスカスカと、最高の条件に呻きながら駆け抜けた。
その後の2・3段目はそこまで難しくはなかったが、スクリューを1本ずつしか残していなかったのでやや緊張。
3段目を超えた後、奥の壁から滲み出した氷柱に支点を取り登攀終了。スタートから70分が過ぎていた。下降の時も、この氷柱から。
・参考
WILL(VI-,岩雪88号より)
スクリューは氷瀑1段目で10本、2,3段目で1本ずつ、計12本+α。60mロープで終了点でちょうどいっぱい。
・所感
初・上タケ沢。
同じく日光エリアの月山西面夫婦滝、雲竜渓谷雲竜瀑もそうだったように、関東圏とは思えないくらいに氷のスケールが壮大でありました。
徒渉用に袋を用意したものの、結局ノーガードで突破。踝以下の深さの沢は走って渡れることを徒渉大臣(林さん)が教えてくれました。
今回登ったWILLは、体力的な辛さよりは氷の悪さに苦しむ登攀でした。核心でミスったら一本抜けて10mくらい落ちていたかも。
氷柱をやる時は、氷が悪い箇所を事前に見定め、その手前でスクリューを固め打ちする等リスク管理が大事なのかも。そもそも登らないと判断することも含め。
帰りのお風呂は川治温泉の薬師の湯。時間ギリギリに関わらず有り難くも入れて頂きました。
ゴハンは鬼怒川沿いの一心亭。砂肝うまい。焼肉定食うまい。ビールが欲しくなった。
(記: 江戸)