2312 前穂高岳 北尾根(敗退)

日程:2023年12月31(日)-2024年1月1日(月)

エリア:前穂高岳 北尾根

参加者:林・江戸

行程:上高地〜慶応尾根〜前穂高岳北尾根8峰手前(敗退)

○行程の詳細

・12/31:0610釜トンネル〜0740上高地バスターミナル〜0845明神館〜0950徳沢ロッジ〜1040奥又白谷登山口〜1110慶応尾根取付き〜1550北尾根8峰手前(幕営)

・1/1:0810幕営地〜1030奥又白谷登山口〜1250上高地バスターミナル〜1420釜トンネル

○山行の概要と敗退要因

・当初の計画は、前穂高岳を北尾根から登り、涸沢岳西尾根から降りるというもの(3泊4日)。結果は、前穂北尾根8峰手前にて敗退(北尾根に取付いてさえもいない)。主要因は、初日(12/31)の雨天下行動による靴の浸水。

・12/31は降雪予報(1800m以下は降雨予報)だったため、慶応尾根に雪が積もり切る前にと入山したものの、結果的にこの判断が仇となった。釜トンネルから慶応尾根中腹までの区間で降雨に見舞われ、特に慶応尾根取付きの藪漕ぎでハードシェルパンツをびしょ濡れにした際、下に着ていたインサレーションとベースレイヤーまで水を吸ってしまったことが致命傷に。インサレーションから水が伝って靴下に至り、行動終了時には靴の中が浸水していた。夜はテント内でガス缶大1個を丸々使って乾燥祭りを開いたものの靴・インサレーションパンツ共に手に負えず、特に完全に浸水した私の靴はどうしようもなく、リタイアを決断。初日敗退の虚無感に打ちのめされ、全身に湿り気を帯びたまま吹雪の夜を越すことに不安を感じながら、一晩中震えて初日の出を待つハメになった。

○反省

・今回の山行の失敗は、降雨の影響を過小評価したこと。雨天下行動は避け、入山日をズラすべきだった。ただ、積雪後の1/1に入山しても北尾根8峰に至るには丸2日近い時間とかなりの労力を要したハズなので、当初計画通りに涸沢岳西尾根まで抜けるつもりなら、当初予定よりも1日早めて12/30の内に入山してしまうのがベストだったと思う。あるいは、入山を1/1に遅らせて、前穂北尾根までと割り切るか。

実は、下山日を当初よりも遅らせたくないという自身の都合が、入山前日の私やリーダーの判断に影響を与えてしまった感が、言い換えれば負い目があり。入山前に、前穂北尾根のみと割り切る判断1つで避けられた敗退と考えると、どうしようもなくくだらなく思え、リーダーへの申し訳なさに加えてヤマヤの端くれとして歯痒いような恥ずかしいような。

○濡れ対策について

・長期山行の途中で雨や霙雪に降られることは今後無いとも言えないので、教訓としなければ。大前提として、食料や燃料に余裕がある限り、雨や霙雪が降っている時は行動しない(停滞)。ある程度積雪がある場合は雪崩の危険が増すので、今回のように行動するケースは非常時を除けば稀な気もするけど。その上で濡れ対策を考えるとしたら、

 靴の浸水防止→ネオプレンソックスの使用orインサレーションパンツの末端を靴の中に入れない

 インサレーション濡れ防止→日頃のシェルの手入れを真面目にやる(洗浄&撥水処理の徹底)

くらい?ネオプレンソックスについては未使用のため要検証。濡れた装備をテントで乾かすことを真面目に考えるなら、ガソリンを使うコンロが必要になりそうだけど、非常時の備えとしては重過ぎ。

○靴について

・G5でまたしても靴擦れ。登攀やラッセル等ではあまり問題ないが、積雪が少ない道の長距離歩行で歩数が嵩むと一気に靴擦れが悪化するよう。下山後2日はマトモに歩けないくらいだったので、何とかしないと。

一方で、ゲイターブーツの保温性(気密性?)が非常に高いことも体感できた。靴が浸水した状態でも、行動終了までは足の冷えを殆ど感じずに済んだのは驚き。テント内で靴を脱ぐまでは、「もしかしたらまだ進めるか?」などと希望を持っていた程。

○装備重量について

・入山時の装備重量は、靴・シェル類・ストックを除いて17.5kgほど(行動用水1.4L・4日分の行動食に加え、共同装備で2日分の共同食・50mロープ・ガス缶大1個等含み)。慶応尾根ではわずかに残っていたトレースを追えたこともあり、ラッセルらしいラッセルは特にしていないが、それでも少し重さを感じた。行動食を変更したり寝袋・ザックを更新すれば減量の余地はありそうだけど、それでも現状では16kg切りがやっとだろうか。3泊4日+予備1日の装備の目方にしては、思っていたよりも重いなあという印象。

・軽量化に関しては、燃料やロープ長などまだ手を付けられる所も一応ある。ただ、生存に直結する装備をギリギリまで取捨選択する判断力は実践無しには身に付かず、その力に乏しい今の自分ではバッファの大小もあやふやなまま安全側の選択肢を取ることしかできていない。特に、積雪期アルパインではそれが顕著だなという自覚がある。事前のリサーチの方法や量にも、問題があるかも。

何にせよ、今回の山行について思案した末に残ったものを、少しでも多く次の機会に活かしたいもの。

(記:江戸)

↓初日の出

↓前穂高岳の北尾根を振り返り(1枚目:1~7峰 2枚目:1~5峰?)

↓猿の楽園と化していた元日の上高地(50匹くらい?もっといたかも)

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