日程: 2025年8月14日~8月16日
山域: 北アルプス
参加者: 酒入
行程:
1日目: 折立(7:20)→太郎平→黒部五郎小屋(17:30)
2日目: 黒部五郎小屋(5:00)→三俣蓮華岳→鷲羽岳→水晶岳→温泉沢ノ頭→高天原温泉(15:45)
3日目: 高天原山荘(5:50)→大東新道→薬師沢→太郎平→折立(15:30)
(記:酒入)
お盆休み後半、高天原山荘の予約がとれたので、折立からぐるりと2泊3日のテント縦走。
新宿から夜行バスで折立へ。太郎平までは登山道が渋滞する程賑やかだったが、その先はぐっと人が減り、静かで緩やかな道が続いた。

黒部五郎の山頂ピストンして、カールに下りる。ギザギザした稜線を見上げながら、カールを歩き小屋まで。きれいな沢が流れ、巨岩があちこちに転がっていて、まさに大自然の庭園だった。ここの景色は3日間で一番心に残った。
こじんまりした黒部五郎小屋のテンバはいっぱいだったが、おっとりした空気感が心地よく、また訪れたいところになった。
2日目の朝、室内は10度。シングルウォールのテントはびしょ濡れだった。日の出とともに、黒部五郎のカールが染まるのを見ながら三俣蓮華へ。

ところが鷲羽岳に登りはじめたとたん、ガスが出て真っ白になってしまった。時間稼ぎにゆっくり登ると、山頂手前でガスが一瞬とれ、鷲羽池が姿を見せてくれた。鷲羽池を楽しみにしていたので、とても嬉しかった。その後もすっきりせず眺望はいまひとつだったが、涼しく歩けたのでむしろよかった。

岩苔乗越から高天原温泉に向かうか、温泉沢ノ頭から下るか、計画時から迷っていた。前日の夜まで、高天原温泉に最短ルートで行き、のんびり温泉三昧のつもりだったが、歩き始めると欲が出る。水晶岳からの読売新道が見たいし、劇下りと渡渉のある温泉沢ノ頭のルートも気になり、先に進むことにした。

急坂を下り、沢に出ると、かなり増水していた。クロックスに履き替えて水に入った。流れが速いところがあったらどうしよう…急に不安に襲われる。
思いがけず、黒部源流で沢歩きをしている。岩にはコケがついてないので全く滑らない。一番深いところで膝くらい、流れは速くなかった。渡渉場所を示す目印がたくさんあり、迷う心配はない。
最初は水を避けていたけど、そのうち積極的に沢に入り、水の冷たさを楽しんだ。今年何度か沢に連れていってもらっていたので、気持ちに余裕がもてたのがよかった。とはいえ、人声が聞こえて、温泉が見えたときは心底ほっとした。
高天原温泉は白濁したぬるめのお湯で、最高に気持ちよい。川沿いの混浴風呂に入るつもりで水着を持っていっていたけど、長い下山に疲れてしまい、女性風呂だけで満足した。

温泉から20分ほど登り、こじんまりした小屋に着いた。受付で翌日の予定をきかれる。12:10折立発のバスに乗る必要があるため、3時前に出発するつもりだったが、暗い中大東新道の通過はすすめられないとのことで、3時半に変更した。
夕ごはんをご一緒したソロのお二人と、これまでの行程も似ていて、楽しくお話させてもらった。ありがたいことに折立から車に乗せていただけることになり、おかげで安心してゆっくり眠れた。
最終日も晴れ。朝ごはんを食べて、即席三人パーティーで下山。大東新道は変化に富み、黒部川沿いに岩をぴょんぴょんと歩くのはとても楽しかった。こちらは水量は落ち着いており、渡渉はなし。太郎小屋で行者ニンニク入りの太郎ラーメンを食べ、折立へ下山。
サンダーバードという不思議なコンビニと温泉に立ち寄り、富山駅まで送っていただいた。もうお会いすることはないだろうから、わたしもできるときに出来ることをして、誰かにお返しができたらいいな。
景色にも出会いにも恵まれた、最高の夏山縦走ができたことに感謝です。
*下山の3日後に太郎平キャンプ場で熊の被害があり、テント場が閉鎖になってしまった。これから熊と共存しながらの登山はどうなっていくのだろう。