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2511 剱岳早月尾根

日程:2025年11月22日(土)-11月23日(日)
山域:北アルプス
参加者:国府谷・齋木・加藤

行程:
1日目:新座駅(前夜23:00)-馬場島駐車場・仮眠(5:30/8:10.)-早月小屋(13:40) BC設置
2日目:BC(6:00)-剱岳(9:10)-BC(13:30) 撤収後往路下降(14:30)-馬場島駐車場(18:00)-入善PA・仮眠(21:45/0:00)-新座駅(5:30)

(記:加藤)

 かねてから憧れであり、目標でもあった「岩と雪の殿堂」剱岳に登りたいというリクエストに応えていただき、条例前の11月末に行ってきました!

22日(土)

 前夜23時に新座を出発、朝方馬場島駐車場に到着。車内で少し仮眠。まだ寝ていたいのに外の賑やかな声に起こされた。駐車場は顔見知り同士の挨拶で賑わっていた。快晴の三連休とはいえ、この時期の剱岳に登る人の多さに驚く。私たちはアウェイ感満載。

 8:10出発。登山口へ向かう途中に有名な「試練と憧れ」の石碑があった。(本物だー!♪)と記念写真を撮る気満々でいたら「写真は帰りに撮りましょ。」と齋木さん。(暗くなる前に降りれる…?)と不安が過ったけれども、確かに登った後の方がこの言葉の重みがわかる様な気がするしね!と自分に言い聞かせ、静かにスルーした。

 登山口からしばらくは落ち葉の登山道で一気に標高を上げていく。ベース1枚でも汗だくになった。1,600mあたりから完全な雪道となるが、しっかりトレースがついている。まともな山歩きは8月の米子沢以来で、体力に自信がなかったのでトレース有難いと思ってしまった。情け無い。他の登山者と抜きつ抜かれつ登っていく。みんな大きなザックを背負っていた。前を歩く齋木さんも私には持ち上げることすらできない重量のザックを背負っていて頼もしかった。

 13:40早月小屋到着。既に6、7張りテントがあった。トイレはまだ開放されていて、ケータイの電波も入った。雪山テン泊とは思えない快適さ?だった。日の入り写真を撮りにいくという齋木さんに便乗して外に出ると、雲海と夕陽と北アルプスの真っ白な山々が素晴らしくて言葉にならなかった。

夕食はいつも通り国府谷さんが準備してくださったキムチ鍋をお腹が破裂しそうになるくらい食べた。いつも感謝です。「今回うまくいったら結構嬉しい。」という国府谷さんのレアな発言にこちらのテンションも爆上がった。

23日(日)

 6:00出発。尾根の上部を登る人たちの明かりの列が見える。インサレーションを着て登っていると少し暑いくらい。2,600m辺りから尾根が狭まり傾斜も急になる。トレースがあるけれど、少しでもミスったら只では済まないので常に気を張って消耗する。2,800m付近の尾根を下降してトラバースするところはかなり緊張した。

アイゼンの爪を岩に引っ掛けて慎重に足を運ぶ。足元を確認する度に真下が見えて高度感と踏み外したらアウトな状況に戦慄した。この辺りがカニのハサミと言われる核心部であったことは後で知った。早月尾根にもカニルートがあるとは。ルンゼの急登を登ると別山尾根との分岐に出て、あとはビクトリーロード。と思ったら、祠が埋まっていて気づかず山頂を通り過ぎた。笑

 9:10初の剱岳登頂。嬉しいというよりほっとした。何とか無事着いた。360度の展望は壮観で、剱岳から伸びる源次郎尾根と別山尾根が龍の背の様でかっこいい。ギザギザな八ツ峰はゴジラみたい。いつか行ける日が来るのだろうか。国府谷さんは珍しく写真を撮りまくっていた。

 9:50核心の下山。最初のルンゼが怖すぎた。さらさら雪を蹴り込んでも崩れるのでなかなか降り進められない。国府谷さんに「足の先1/3入ってれば大丈夫」とアドバイスを受けても、爪が効いてる気がしなくてひよった。そんなルンゼの急登を登ってくる人とのすれ違いもまたストレスで、待機中に齋木さんの横を登ってきた人は「当たるかもー!」と言いながら思い切り齋木さんの足にアックスをぶっ刺していた。「当たってます。」と静かに齋木さん。優しいなー。なんとかルンゼを降りた後もずっと気が抜けず、ずっと緊張の連続で、早月小屋に戻った時には体力というより精神的な疲労でヘロヘロだった。(もう動きたくないな。もう一泊したいな。)と思いつつ、せっせと下山の支度をする国府谷さんを見て気力を振り絞った。

 14:30早月小屋からの下山開始。わかっちゃいたけど長かったー。途中から靴擦れの激痛で思う様に歩けずペースダウン。アドベンチャーレーサーの鬼軍曹田中さんの名言「痛みは戦っちゃだめなんだよ。痛みはね、受け入れないと。」を思い出して(戦っちゃダメだ、戦っちゃダメだ、戦っちゃダメだ!)と碇シンジの様に心の中で唱えたけどダメだった。登山口まで残り500mくらいのところで暗くなりヘッデン下山となった。暗闇の中「試練と憧れ」の石碑で記念写真を撮り、18:00駐車場に着いた時にようやく心底ほっとした。

 みのわ温泉に入り、有磯海SAで食事をした。有磯海SAの食堂は24時間営業でメニューも豊富な上にとても美味しかった。国府谷さんはSA内のローソンで大きなシュークリームを買って車の中でばくばく食べていた。今回はレアな国府谷さん満載。ひとつ先の入善PAへ移動し、少し仮眠をとってから帰路に着いた。

 初めての剱岳は想像していたよりも難しくて怖かった。自分の技量不足や豆腐のメンタルを痛感した。鵬翔に出会う前の自分だったら、この時期の剱岳に挑戦することすら考えられなかった。1年前に鵬翔と出会い、クライミング、雪山、アルパイン、沢登りと沢山の経験をさせていただけたからこそ、今回助けられながらも憧れの剱岳に登頂し、無事下山することができたのだと思う。強強で優しい国府谷さん、齋木さんはじめ、鵬翔山岳会のメンバーの方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。私自身ももっともっと強くなって鵬翔山岳会の発展に貢献できるように頑張ります!

遠くに富士山が見えるほどの快晴

最アンド高 剱岳

(記: 国府谷)

11月は条例前の時期に雪の剱岳に比較的易しくいけるということで実は以前にも計画したことがあったのですが、行けずじまいのままのところに今回機会を得て行ってみることになりました。
当初は加藤さんと2人の計画でしたが、齋木さんが参加してくれることになりいろいろと、とっても助かりました。
今年はこの時期としては雪が多めながらも、計画当日の天候は良好との予報であり、左程の心配もなく向かいました。
東京を22時に出発し、翌日4時頃番場島着。順調でした。
仮眠後、8時頃出発し、多少バテ気味で早月小屋に14時前頃到着。
小屋付近は連休ということもあって賑わっていました。
翌日は、なぜかゆっくり6時出発。前日以前からトレースがばっちり付いているのでルートファインディングもなく、前のパーティを追うのみで面白味はないかもですが、楽できてしまうので良しとします。
概ね順調に登り切り、風も弱く快適な頂上で珍しく写真を多めに撮ったりしました。
下降は一箇所ラペルしただけで済んだのですが、渋滞もあったりして登りと同じくらい時間が掛かりました。
予定では2泊でしたが、早めに帰った方が良いかなということで、テントを撤収して暗くなってから番場島まで下山。試練でした。
終わってみるとあっさりですが、労力に見合った内容のある山行だったのではないでしょうか(と思いたい)。

合計距離: 21049 m
累積標高(上り): 3216 m

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