日程: 2026/9/5.6
山域: 明星山 P6南壁 「フリースピリッツ」
参加者: 斎木・石井
行程:
9/5 7:00駐車場-8:00取付き-18:00ビバーク
9/6 6:00下降-8:40駐車場
(記録:石井)
当初は剱岳で定着クライミングの予定だったが、災害級の大雨予報で天気が不安定だったため、アプローチの遠い剱岳は諦めることに。天気予報とにらめっこした結果、新潟県糸魚川市にある明星山へ転戦。
シーズンとしてはまだ少し早いが、他は登れるか怪しかったので、以前から行きたい候補の1つだったマルチのフリールート、明星山P6南壁フリースピリッツへ行くことにした。
展望台から眺めると、前日は少し雨が降ったようで、下部には若干の染み出しがあった。
前日2時入り、車中泊、6時起床。ゆっくり準備して7時発。アプローチで若干迷い、8時に取付きへ。
我々1パーティーのみで貸切!
岩が脆いとのことだったので、貸切はありがたい。
アプローチ
展望台近くの駐車場前にある売店?の左から、踏み跡らしき箇所を下降。この時期は人が入っていないのか、踏み跡は薄い。
急な斜面を右下側へ降りていくと、明瞭なザレた踏み跡にぶつかる。そのまま下降すると、10分くらいで小滝川に降り立つ。
下流方面へ大岩まで進む。大岩を飛び移って渡るようだが、フィックスロープは奥の岩にしかなく困難だった。
渡渉で水量が多くて撤退している記録もあったが、そんなに多くない?のか、大岩のすぐ上流にある流れの強くない箇所から問題なく渡渉。
対岸に渡って河原を右へ少し進み、左上しているバンドの基部に、1本だけリングボルトが打ってある。そこがフリースピリッツの取付き。
迷いはしたが、迷わなければアプローチ激近で良い。

準備して、すぐさま登攀開始。じゃんけんで勝った斎木さんから、つるべで登った。ロープアップを減らすため、50mダブルロープを使用。
1P Ⅲ 草付き左上バンドを左上
斎木さんリード。
リングボルトのある箇所を直上し、バンドに乗る。そのままバンドを左上。残置プロテクションはなかったと思うので、カムや藪で支点を取った。
2P Ⅲ 1段上のバンドに乗り左へトラバース
石井リード。
1段上のバンドに2~3m直上して乗る。難しくはないが、これ以外は簡単。バンド上を左へトラバース。スリングのかかった終了点でピッチを切った。
あまりにも短いので、さらに左へ進んでしまうパーティーもいるみたい。
3P 5.7 フレーク沿い右上
斎木さんリード。
剥がれないか確認しながら進む。ハーケンもあるし、カムも有効。1箇所悪かった。

4P 5.7 ハング下まで右上
石井リード。
最後が少し悪い。終了点は小さいレッジだが、ピカピカのペツルボルトが3つもあり安心。
ここらへんから高度感を感じる。
5P 5.9 ハング下を左上
斎木さんリード。
細かいスタンスは豊富。ハング下のクラックに支点を取りながら進む。乗越すところはガバだが、スリリングで面白い。
凹角下のリングボルトかハーケンの終了点だったと思う。

6P 5.9 ウメボシ岩を左から超え、クライムダウンし右へトラバース
石井リード。
ウメボシ岩を1つ上の岩と間違え、左から登って巻いて行こうとしたが、5.9にしては残置もなく、難しい。
おかしいと思い、当初ウメボシ岩だと思っていた1つ上の岩の下をトラバースする方へ。
大きい岩のアンダーのクラックに手を突っ込み、ジャミングすれば進めなくはないが、びしょ濡れで苦労する。そのままトラバースして、見えている終了点に向かうんじゃないかと思った。
傾斜を感じながらアンダーのクラックを繋ぎ、レッジに乗るが、手が外傾した小さなカチのみ。さらに右に良さそうなホールドはあるが、カチをマッチする必要があり、いけなくはなさそう。
1トライしてみるも明らかに悪くて、落ちるかと思った。なんとか耐えて、さすがに5.9にしては悪すぎると思い、考え直す。
ウメボシ岩を間違えたことに気付いた。その1つ上の岩の方が顕著ではあったので、騙された。
そこから、乗っているレッジをホールドにしてクライムダウン。下のスラブをスタンスとして、右へトラバース。
1箇所、染み出しで濡れているスラブに足を置かないといけなく、緊張したが、ルートミスで探った箇所よりは簡単で、明らかにルートミスだったと気づいた。
無事、終了点までテンションをかけずに来れて良かった。
ルートミスからの立て直しができたので、大きな声が出た。めちゃくちゃ痺れた。
ルートがわかりにくいアルパイン的なマルチでのリードメンタルが、今日はここで死んだ笑。
間違えずに進めたら、個人的にはそんなに難しくなく感じた。

7P 5.8(体感は5.9?)
斎木さんリード。
基本ホールドが右向き。なのに右のカンテを越えるために右に行かないといけなく、ホールドの向きが嫌らしい。
つるっとして足も少ない。カンテ抜けはガバがある。カンテを抜けた後の右上も悪かった。
1本ロープがスタックしてしまい、時間がかかってしまった。ピンクロープだけでフォローは登った。
個人的にこのピッチが一番難しく感じた。
8P 5.8 ハング凹角から緩傾斜
石井リード。
ハングの間の凹角を直上。スタンス、ホールド豊富。凹角を上手く使い、足を突っ張るなど面白かった。
凹角を抜けると、簡単なブッシュ混じりの緩い傾斜を進む。小ハング前に、たしかペツルボルトの終了点。
9P 5.8 小ハングの間を走るクラックを抜け右上してかわし直上
斎木さんリード。
カムが有効。クラック内に草が生えている。クラック周囲のホールドとスタンスを使って登った。足ジャムも効く。
終了点はペツルボルト。

10P Ⅱ ガレた中央バンドを左上し1段上のバンドへ上がる。
ロープを繋いだまま歩き。斎木さんが先行したため、ここで順番が変わった。
かなり浮いたガレなので気を使う。ここは気をつけていても落石を起こしてしまうと思う。

11P Ⅳ 右上する階段上のランペ沿いに進む
石井リード。
トポにはⅢ級と書いてあった。2本の階段状のルートが見えた。上の方はペツルボルト2本、下はリングボルトが打ってあったので、ペツルボルトに導かれた結果、正規ルートだったのかは微妙。
新しいトポだとⅣ級との記録もあり、Ⅳ級なら納得する。
ただ、ペツルボルト以降はしばらく残置がなく、不安になるが、方向的には合っていることはわかっていたため進むと、終了点手前10mくらいからハーケンなどが出てくる。
50mロープでピッタリ。ペツルボルトの終了点。ラペルリング付き。JADEやマニフェストの同ルート下降用だろう。
下の階段状のバンドならⅢ級なのかな。そっちの方が簡単そうには見えた。
12P 5.7 カンテ右の凹角を抜け、直上し左上。
斎木さんリード。
凹角を抜けるところが5.7という感じ。
凹角を抜けた後、トポには右に抜けてから左に行くような点線が書かれていたが、凹角を出てから直上すると出てくる岩を左上すると終了点がある。
この岩を右に行ってしまい、岩を越えてから左上するものだと思った。その先に行くと、おそらく同じように間違えた人の残置ハーケンとスリングがあったようだ。
念のためダブルロープ1本を残置ビナに通した状態でクライムダウンし、左へ進んだ末、終了点を発見。
アルパインのルーファイは難しい。ルートミスした時の対処を学んだ。
13P Ⅳ パノラマバンドを左へトラバース
石井リード。
トポ的には、終了点から右に一度出て上に上がってから左へトラバースするように書いてある。
それ通り進むと、明らかにⅣ級ではなかったので、潔く戻り、左から快適な垂壁を1段上がり、パノラマバンドへ。
パノラマバンドは、若干の窮屈さからくる高度感を楽しみながら快適に進める。楽しい。
終了点はペツルボルトと、近くにハーケン、リングボルトが連打されている。
上を見ると凹状のフェース。顕著でわかりやすい。

14P 5.9 凹状のフェースを直上。
斎木さんリード。
使うホールド、スタンスが限られていて、一番「いつものフリークライミング」だという感じ。
わかりやすく、ムーブがある。面白い!
有笠の5.9とかよりは普通に難しく思う。河又の10aよりは難しくない。
このあと藪・ブッシュ混じりのスラブがあり、ロープの流れ的にもクラックの入った岩で終了点とした。

15P
石井リード。
ブッシュ混じりの階段状の岩は、10m進むとおそらく14Pの本来の終了点である、安心できる太さの灌木にスリングがあった。
一旦ここでピッチを切る。
安定していたのと、暗くなり始めたので休憩。下降は下降で迷いやすいとのことだったので、安全のためにビバークすることにした。
16P
ビバーク地を探しに終了点から左上。
クラックの入った支点の取れる岩の下に、人2人くらいが座れるくらいのスペースがあり、ピッチを切って、ここでビバークすることにした。
ビバーク
下には藪もあり、囲まれていて居心地は悪くない。
カムで支点を取って、セルフをお互いロープ2つとPASで取り、ロープでクッションを作成。
俺は藪を背もたれにしてビーチチェアスタイル。斎木さんは足を伸ばしながら斜面に寝ていた。
かなり疲れていたので、意外と体勢が決まるとすぐ軽く寝られた。
少し寝て、寒くなってきて目が覚める。上下長袖長ズボンで、上は3枚着込んでツェルトを被ったが、深夜には風も吹き始め、身体が震えるほど寒かった。
疲れ、焦り、水の少なさ、下降路に対する不安などで、個人的にメンタルは消耗していた。
ましてや、安定はしているがロープは外せない斜面の中でのビバークで、はじめは落ち着かなかった。
ただ、斎木さんが落ち着いているのと、弱音とかとか吐いていたら、気持ちが楽になった。
真っ暗の壁の中、星も見えてきて、斎木さんと話していると次第に落ち着いて、この状況を楽しく感じるようになった。
「これは良い経験だね」とか、「どうやったらもっと早く抜けられるか」とか、「日常の布団で寝られるありがたみ」とか、「降ったら美味いもん食べよう」とか話して、楽しかった。
たいしたことじゃないんだけど、忘れられないだろうな。
割とすぐに落ち着けたので、寒さで目を覚ます以外は、思っている以上にゆっくり休めた。

下降
トポだと「ブッシュ混じりのスラブを左上で肩に出る」とあったが、他の方の記録だと「14P目終了点から左上トラバースすると南稜に出る」とあった。
朝になって明るくなり、ビバーク地から見渡すと、踏み跡らしきガレと、その先に松の木が見えたので、一度そちらを目指してみる。
松の木でピッチを切り、さらに少し左へトラバースし、下降するとオレンジテープを発見。
斎木さんから「帰れるぅ!」との合図。
最後のビレイを終了し、そこからオレンジテープに沿って下降。
踏み跡らしきザレ場に進むとロープが垂れていて、ロープを登ると、オレンジと赤テープの巻いてある目印の松の木。
そこから西面へ下降する踏み跡があるので、そこを下降。
そこからは親切にしっかりとロープが張られている。また、テープ間隔も短く親切。見失ったら、まずテープを探すと迷わない。
テープに導かれ進むと小沢にぶつかり、水道管のようなものが出てくるとテープがなくなる。
水道管に沿って進むと小滝川にぶつかり、渡渉するか、水道管を進む。
渡った先の水道管左の階段を進み、踏み跡に沿うと道路まで出られる。

全体を通して
- 400mの規模の壁を登り切る爽快感と達成感が良い。特に14Pからも、初めに渡った川が見えるほどの高度感。こんなにも登ったんだと感じることができる。ただ、個人的には1Pが短くないし、簡単ではないため、体力とある程度早く登る必要がある。
- 明星山はそれなりにルートが引かれていて、フリースピリッツは大きく左右に移動するので、他ルートの支点に騙されて迷い込むことがあった。バットレスの反省を生かして、毎回しっかりトポを確認してルーファイしたが、トポに騙されたこともあった。同じような間違いをしている人も多いみたいで、残置の捨てビナ、スリング、ハーケンなどが散見された。
- 脆いとのことだったが、ホールドを確認すれば問題ない。ただ、落石は発生しやすい。特に10P目の歩きはガレていて、一番浮石に注意が必要。今日は貸切だったが、慎重に行っても落石してしまうと思う。
- 石灰岩は個人的には河又しか行ったことがなく、河又は磨かれてつるつるだったが、明星はフリクションを感じられた。
- ザックを背負いながらの5.9~5.8あたりは、個人的に気が抜けない。難しいピッチは結果的に斎木さんが多かったが、俺だったら行けてたかな……。フォローだから行けた気もしたり。6P目のリードでルートミスして、落ちそうになってかなり怖く、メンタルが負けた。悔しい。
- プロテクションは、14P目は残置が豊富。それ以外はハーケン、リングボルト、カム、ナチュプロが主体。カムは1セットと、0.75、0.5が2つあると安心かも。2、3番は出番がほとんどないので、軽量化を考えるといらないかな。終了点は5P目以降、ほとんどにピカピカのペツルボルトがあり安心。整備されていて感謝です。
- 長いピッチのマルチは早くスタートする。
