丸山中央山稜 – 雄山東尾根

日程: 2008年5月3日(土) – 5日(月)
参加者: Y(L)・他1名
行程:
第1日目: 扇沢(6:30) – 黒部ダム(6:45/7:10) – 南稜(10:40) – 丸山(11:00) – 内蔵助峰(13:00) – 内蔵助コル(13:15)
第2日目: 出発(4:50) – ジャンクションピーク(7:10) – 富士の折立(9:50/10:15) – 雄山(10:50) – テント場(13:45)
第3日目: 出発(7:10) – 黒部ダム(7:40/8:10) – 扇沢(8:25)

5月3日

人であふれる黒部ダム駅から静かな外に出ると、黒部川を隔てた真正面に、これから登る丸山の南峰(1981m)がそびえる。どうやって登るの?「?」が無数につくほど険しそう。人が登れる傾斜に見えないのだが・・・

黒部川(1282m)へ一旦下り、対岸へ。崩壊したガレを攀じ登り、鉄塔の横から雪が繋がっているルンゼを詰める。岩に阻まれ左のルンゼに移ったあと、だんだん傾斜は強まり雪も怪しくなるため、木登り状態になる。子供の頃から得意で楽しくなるが、そんな木登りとは比べものなら無いほど、長くて危険だ。必死で上を目指していると、斜度が落ち、雪壁となる。落ちる危険からは脱し、日があたる雪面に安堵して、笑いが出る。人間は緊張から解放されると、笑いたくなるようだ。すぐそこが南峰(1981m)だ。

南峰から伸びる尾根は戸惑うほど広い尾根で、天気も良いし、鼻歌交じりで歩きたい気分になる。内蔵助峰(2279m)までの登りもきつかった。もうココでテント張っちゃおうか、の誘惑に何度もかられるが、時間があるし、頑張んなきゃぁ、ポテ、ポテ。と真っ白な雪面に足を出す。やっとのことで内蔵助のコルにつく。

誰もいない。青い空に横たわる白馬 – 鹿島槍の稜線を見渡してぼぉーと過ごしていたら、内蔵助峰で人影が動く。まさかの来客に驚いた。内蔵助平からとのこと。少し賑やかになったと思ったら、また次・次と到着するパーティ。お互いの距離を保って、静かな夜が過ぎた。

5月4日

日が出ると雪も緩くなるだろうから、早めに出発した。どのテントも動く気配は無い。静寂と清々しさが覆い、冷気に気も引き締まる。

まず正前の緩やかな尾根を、アイゼンを効かせて登る。尾根は、右に左にうねりながら高度を上げ、次第に急勾配となる。キレイなリッジから時折岩峰が現れ、30mの雪壁、少々の岩場を登りきるとジャンクションピークに立つ。遮るものがない、広い空に渡る風。正面には、真砂岳の真っ白で伸びやかなカールが広がり、後ろを振り向くと堂々と鹿島槍がそびえる。いい景色だ。その先も尾根を忠実に辿り高度を上げる。岩稜帯では、右から回り込んで雪を詰めるルートをとり、II級壁をよじると雪の尾根、そして岩峰に突き当たる。ルンゼを1P登り、細いリッジを渡ると、富士の折立(2999m)だった。

室堂の雪のカールが広がり、その中でテントが色鮮やかに散らばり、人がおもちゃのように動く。最初から最後まで自分達が先頭でトレースしたことに多少の満足感に浸りつつ、そんな光景を眺めていた。雄山までは、大渋滞だった。

雄山の神社で手を合わせていると、ボーダーが神社横から東のカールに向かって滑り出した。早いなぁ、と羨ましい光景を横目で見つつ、方位盤の横から雄山の東尾根を下り始める。トレースは、無い。締まっていれば快調に飛ばせる尾根だが、重いクサレ雪に足の運びが悪い。ダンゴもひどいので後ろ向きになることもあった。2450mで東南東に伸びる尾根に入ると、立山ロープウェイのカラカラというのん気な音が近くで聞こえた。

尾根はかなり斜度を落とし、下に近づいているのがわかる。時間は早いが泊まることにし、黒部平近くで木に隠れてテントを張った。昨日に続き、暖かい紅茶を飲みながら日向ぼっこ。と、また、上から人が降りてきたのでまたビックリ。「トレースありがとうございます」と陽気に走り下っていった。そのパーティも下の台地にテントを張ったのには、笑えた。

5月5日

出発の際雨を感じたが、10分で黒部平駅につき、南に延びる尾根からルンゼを下って、湖面を回る遊歩道に出た。黒部ダムでは黒部氷筍ビールで乾杯し、一番バスを待つ。上原の湯(\500)で汗を流して、渋滞の帰路に着く。

(記: Y)

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