日程: 2021年5月3日(月) – 5日(水) 前夜発
山域: 鹿島槍ヶ岳(北アルプス)
参加者: 江戸(L)・塩田(SL)・坂田
行程:
第1日目: 大谷原駐車場(9:20) – 西俣出合(10:30) – 高千穂平(13:30) – 赤岩乗越(16:00) – 冷池山荘(16:30)
第2日目: 冷池山荘(5:20) – 布引山(7:20) – 鹿島槍ヶ岳(8:05) – 布引山(8:35) – 冷池山荘(9:15-10:00) – 高千穂平(12:00)
第3日目: 高千穂平(5:10) – 西俣出合(6:20) – 大谷原駐車場(7:00)
3日(月)
前夜は21時に新宿を出発し、大谷原駐車場に着いたのが翌1時半頃だった。7時頃に坂田さんと合流した後は、下山後の交通の便を考え江戸車を八方駐車場までデポしに行くことに。入山が予定より1時間程遅くなるが、初日の行程であれば大きな問題はないと考えた。
9時を過ぎて入山し、西俣出合へ向かう。歩き出して早々に雪がちらついてくる。気温は予報通り低かったが、登りメインとなる我々には有難かった。
西俣出合から赤岩尾根に取り付く際、夏道を見失って藪に入ったり雪を踏み抜いたりと少々苦労した。尾根の登り始めでは所々に残雪が見られる程度だったが、標高を上げるにつれて前日までに積もった新雪が目立ってきた。先行パーティーのトレースの深さや踏み抜きから、苦労が伺えた。
高千穂平で先行パーティーは幕営しており、そこから先は時折膝程度のラッセルを伴う行軍となった。以降、前進するにつれガスは濃くなり、風は粒状の雪を伴い我々を打ち付けるようになった。
赤岩乗越手前の急登はかなりの斜度があった。夏道は雪で消えており、またガスが濃くて視界が殆ど効かないことや雪崩の懸念等から、トラバースするのではなく斜面を直登する進路を取った。雪は脆く、眼前の雪壁を崩しては固め崩しては固めでようやく進めるような有様でペースが上がらない。塩田・江戸で30分程度雪と格闘した末に、ようやく稜線に乗り上げた。
稜線に上がると、今度は風速20mはあろうかという風が粒雪を伴って全身に打ち付けた。風下以外に顔を向けることが困難で、時にはザックごと持っていかれそうになる。懸命に稜線を下っていく中、曇ったサングラスを外そうとしたら、次の瞬間には私の手を離れ谷底まで吹っ飛ばされてしまった。ショック。
赤岩乗越を過ぎ、樹林帯に入ると風はいくらか和らいだが、新雪の吹き溜まりになっておりそれなりのラッセルを伴った。体温と体力を一気に奪われ疲労を感じる中、16時半頃にようやく山荘まで到着。行程的には2日目からが本番となる筈が、初日からかなりのエネルギーを使ってしまった。
4日(火)
2日目の方針については、昨夜夕飯の際に3人で話し合った。元々の計画では冷池山荘から五竜山荘または唐松頂上山荘まで進むというものだったが、入山前の数日間でかなりの積雪があったことから行程の余裕はないかもしれない。核心となるキレット部の積雪量も不明で、前日までの冷え込みが一気に緩む為に状態が不安定になるという気持ち悪さもあった。
結局、8時には引き返すという制限付きで鹿島槍ヶ岳へ向かい、11時迄には赤岩尾根の最初の急坂を下降することを念頭に行動を開始した。
テン場を出て鹿島槍方面へ向かうと、しばらくの間は吹き溜まりの中で膝上程度のラッセルとなった。風が昨日よりも弱まっており、日も差しているために大汗をかく。布引山が近付くと風が強まり、表面がクラストした部分や岩の露出が増えて歩きやすくなる。傾斜は増えたが、むしろペースは上がった。
布引山着は7時過ぎで、鹿島槍までは時間ギリギリ。荷物をデポして空身で鹿島槍を目指す。道程は変わらず歩きやすく、鹿島槍には40分程で到着。一息つきたいところだったが、数枚写真を撮って早々に帰路についた。
冷池山荘に到着し、テントを撤収し出発したのは10時頃だった。雪の湿り気が増す前にと急いで赤岩尾根の急斜面を下る。流石に斜度がキツく、30分程クライムダウンで降りる羽目になったが、ようやく緊張する場面は終わった。
あとは下るのみだったが、この日は高千穂平で幕営。穏やかな陽光の中で午睡を貪りながら、たまに鹿島槍の東尾根等を観察し、今季の冬山の見納めとした。
(記: 江戸)
ゴールデンウィーク、最後の残雪を満喫すべく鹿島槍ヶ岳を行く。急登赤岩尾根を江戸さんが先陣をきっていく。心強い。
標高2000mくらいで雪が降る。小粒の氷まじりの雪だ。先行パーティのトレースはここで終わり、ラッセルが始まる。ここから私もラッセルに加わる。稜線手前の急登に差し掛かる。寒波直撃による風雪で視界はゼロ。新雪でザラザラの雪に体が埋まっていく。おまけに氷交じりの雪が滝のように上から降りそそぐ。全然残雪期ではない…。
稜線に出る頃には心身疲れ果てていた。稜線は暴風であった。前に進むことができない。一瞬の風が弱まるタイミングで動き、すぐに風雪にじっと耐えるを繰り返す。雪庇に注意しながら最後の力を振り絞りラッセルをしていると冷池山荘に着いた。
山荘には管理人がおり、しっかりテン場代一人1000円を徴収された。4/26から小屋を開けているが、我々が初めての登山者だそうだ。
二日目、風はまだ強いが快晴だ。テントに荷物をデポして鹿島槍山頂を目指す。私は前日の疲労が残り、ペースが上がらず遅れをとる。布引岳で荷物をすべて置いて空身で鹿島槍を往復する。すると江戸さんのギアがまた上がり、まるでトレランをしているかの如く駆け上がっていく。坂田さんもそれに続く。圧倒的な力の差に愕然とするも、私も必死で追いかけるしかなかった。
ようやく鹿島槍山頂で二人に追いつくと、そこには360°の大パノラマが待っていた。5月とは思えない雪に覆われた北アルプスを一望できた。余韻に浸る間もなく帰路に就く。またしても二人に遅れをとる。
二日目は昼過ぎには高千穂平に着き、気温が暖かかったので、日向ごっこをして過ごした。強い日差しに当たり続け、顔は真っ黒になり翌日下山した。もっとトレーニングをしなければならないと感じた山行であった。
(記: 塩田)
4月前半に白馬方面へ登に行ったときには、もうGWかというくらい暑くて雪が少なく、こりゃGWを迎えたらつまんないだろうなと思っていた。
いざGWが近づいても(コロナでなかなか思うような山へ行けないこともあり)テンション上がらなかったが、えど君・塩田君が計画してくれ、ようやく重い腰が上がった。
お気楽山行気分で、すべて2人にお任せ(申し訳ない)。
荷物も2人が上げてくれるだろうからと、体力作りもサボった(申し訳ない)。
ところがふたを開けてみると、GW期間を通してツイてない天候で、山を舐めちゃいかんなと(反省)。
テントの中を含めて2人がどんどん進めてくれるので、成長を頼もしく思いながらも、自分がこんな有様じゃもう連れっててもらえないカモ(ヤバい)。
肝心の稜線を歩けず残念だったが、冬山と春山の両方を味わえて思いの外楽しかった。
次の冬はやる気出すので、またよろしく!
(記: 坂田)