雲竜渓谷雲竜瀑アイス

日程: 2022年02月23日(水)
エリア: 雲竜渓谷 雲竜瀑
参加者: 江戸(L)・大江

19日にパートナーと日光の月山雌滝に行った流れで、今回は同じく日光の雲竜瀑を狙うことにした。冬型が数日続いており氷のコンディションは悪くない筈で、日光でのアイス自体が恐らく今季最後のチャンスかと思われた。アイスクライミングのトポを参照するとPグレードはV-で、自分にはちょうどいい難度かと考えていたのだが…

錦糸町で朝5時にパートナーと合流後、東北道日光道を経て2時間半ほどで稲荷川沿いの林道へ。ゲート手前は凍結がキツかったので、500mほど手前の駐車スペースに車を止め、行動開始。

林道を歩いてゲートを通過した後は稲荷川の左岸へ渡り、しばらくして巨大な堰堤の上に出てからは河原を歩いて右岸へと戻る。再び林道に入り、30分くらい歩くと雲竜渓谷の入口に着いた。

渓谷ではゴルジュの至る所から氷柱が掛かり中々に神秘的で、その奥に聳える雲竜瀑の威容も素晴らしく、これを見るために人が大勢訪れる理由が理解できた。

雲竜瀑を正面から見て、左寄りのラインは途中でほぼ垂直になりながらも凹角や足の置き場が比較的多かったが、ちょうど先行パーティーが取り付くタイミングだった。正面右寄りのラインを見ると、基部から15m程上がった辺りからは完全にバーティカルで、弱点が少なく難儀なルートに思えた。垂直部を10m程登ると若干角度が緩むがそれでもV-はあろうという傾斜が更に5m続いていた。その後は60-70度程の部分を進んでピッチを切り、2ピッチ目の滝に繋ぐものと思われた。

10時前に登攀の準備が完了したが、ここで氷瀑の右側のラインを行くか、先行パーティーの通過を待って左側を行くかで一瞬思案する。結局、左側が空くのを待っていると日当たりの問題も出てくるので、右側のラインに挑戦してみることに。
登り始めは特に問題なく、スクリュー2本程度で垂直部の直下まで到着した。しかし、そこから見上げた氷壁は今にも覆い被さってくるかのような威容で、一瞬私は気圧されてしまった。

これまでの経験で、氷が均質で締まっている限り、打ち込んだピックやアイゼンの角度を変化させなければそうそう外れたりはしないと分かっていたし、実際に垂直部に突入しても安定して登っていくことができた。しかし、この安定を保つためにかなり体力を使った。5mも登ると手足のレストを交互に繰り返す状態でペースが落ち、苦しい登攀が続いた。撤退の考えも浮かんだが、こまめにレストする限りは回復が追い付いていたので問題なかろうと登攀を継続した。

いつしか慰め程度に傾斜が緩むが、疲労感から厳しさは依然として変わらなかった。更に5mほど直上し、右脇に見てきた氷柱の上に出てしまえば核心部は終了…というところで、微妙に足の力が緩み両足が外れてしまう。この時は、アックスを離さなかったので事なきを得た。

核心を超え、後は傾斜が落ち着いた所をひたすら登るのみと思っていたが、上部は気泡だらけの氷とそれを覆い隠すように新雪が積もった斜面であまり気持ち良くない。何よりも、確保に使えそうな氷が全く見つけられず、右往左往する羽目になり焦りが募った。最終的に雪を払った下の氷にV字スレッドの支点を2つ作り、ピッチを切る。滝を登り始めてから一時間以上は経ってしまっていた。

セカンドも垂直部でかなり苦戦しているようで何度かテンションが掛かったが、V字スレッドの支点はビクともせず頼もしかった。30分程でパートナーが滝の上に姿を見せ、互いに喜びを分かちあった。既に正午を回り、日当たりが良くなり氷雪が緩んで行く中2ピッチ目をやる気にはならず、今回はここで登攀を終了した。

山行の反省
・今回の登攀は、今の自分の登攀力と道具の熟練度で登れる上限ギリギリになってしまったと思う。いずれかを向上させないと先がなさそう
・ピックやアイゼンの打ち直しが多い
・ピックを深く入れ過ぎて抜くまでに余計な体力を使った
・無駄な力を使い過ぎて結果的に両手足のレストに随分時間を使った。登攀が遅い
・満足に支点探しが出来ていない中安易にロープを伸ばした結果、最後に短い距離クライムダウンする羽目になってしまったので要反省。そもそも支点が取れるか疑わしい時はハーケンも持って登るべきだった

(記: 江戸)

大武川 一ノ沢大滝

日程: 2022年1月29日(土) – 30日(日)
参加者: 国府谷(L)・林
行程:
第1日目: 駐車場 – 1393mピーク – 一ノ沢へ下降 – 下の大滝のちょっと上でBC
第2日目: 大滝登攀(登攀開始(6:30頃) – 大滝上(10:00頃) – 大滝基部まで下降(12:00頃)) – 往路を戻る

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まずは林道から大武川を渡渉して離山北稜の1393mピークを目指す。そこから東の尾根-ルンゼ状を下降して一ノ沢に降りる。そこから下の大滝までは意外と近かった。下の大滝は左岸から巻いて、その先少し上がったところで幕営。

幕営後、大滝の偵察に向かう。BCから10-15分程行くと大滝に着く。トポによると170m。でかい。ただ下から見る限りはそれなりに弱点はあるように見えた。下から見る限りは。一週間前からビビっていたけれど、ちょっとだけイケそうな気がしてきた。

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シュラフの中でイメトレを済ませて、明るくなりだした6:30頃に登攀開始。
荷物はまとめて国府谷さんに持ってもらい、ありがたいことに私は空身。

1P: 国府谷さんリードでスタート。基部の左寄りから。傾斜はゆるいけど朝一で体は硬い。一段上がって左側の氷で支点をつくりピッチを切る。

2P: 林
トポだと2Pの終わりはテラス右の残置支点でピッチを切れるとあるけど、遠目には残置が見当たらない。また右寄りは氷も薄そうに見え支点を取るのもどうかと思ったので、そのまま左寄りを直上気味にあがりテラス左寄りで終了。

3P: 林
3Pめの中間部の左-中央は繋がってなかったりつららだったりなので右寄へ向かう。前半の傾斜は緩めで、後半は傾斜が強くなっているが段状な感じ。50mロープいっぱい伸ばしたいのでスクリューは節約したいピッチ。少しあがりつつ右にトラバース。2Pめをトポ通りテラス右で切っておけばこのトラバースはしなくて済んだのかと後で気が付く。滝の右寄りに抜けてからが傾斜がやや強くなるが段々なのでレストしながら登れた。ロープほぼいっぱいに伸ばしてピッチを切る。

4P: 国府谷
出だしはやや傾斜が強いが後半の傾斜はゆるくなってくる。

5P: 林
4Pで終わりかなと思ってたらもう1Pあった。トポあんまり見てなかった。傾斜もなくやさしい。登り終わって充実感に浸る。

大滝を抜けると先にはさらに迫力満天の中滝がそびえてたけどそこまでやる余裕はなし。
この日は大滝貸し切りだったこともあり先行者の残置アバラコフと国府谷さんが登攀中に作成していてくれていたアバラコフで滝をそのまま降りる。懸垂4P。

帰りは往路を戻り車まで。

滝のスケール・登攀はもちろん、ちょっとアプローチがあって奥まったところにある大滝を登るという行程を含めて充実感のある山行でした。アイスタノシイ。

(記: 林)

岳沢アイス

日程: 2022年1月30日(日)
山域: 岳沢(仙丈ヶ岳三峰川流域)
参加者: 江戸・他1名
行程:
杉島駐車場(前夜23:10) – 杉島ゲート(23:15) – 丸山谷出合(0:00) – 北沢南沢分岐(0:30) – 営林小屋跡 – 岳沢越(4:30) – 岳沢出合(5:10) – F1(7:15) – F3(7:45) – F4(8:50) – F5(10:10) – F6(10:20) – )F7(10:30) – F8ソーメン流し – F9(14:20) – 大仙丈ヶ岳(16:50) – 仙丈ヶ岳(17:30) – 柏木登山口(翌0:10) – 杉島駐車場(1:20)

今回のパートナーに岳沢山行の話を持ち掛けられた時は、すぐに返答することができなかった。ワンデイを視野に入れた速攻登山という条件が付いていた為だ。
廣川健太郎氏の新版アイスクライミング(以後トポ)やその他の記録を参照すると、スタートの杉島ゲートから仙丈ヶ岳までで大体14時間の行程らしく、更に地蔵尾根の下りで+数時間は掛かる。2泊3日程度の行程であれば岳沢は体力的にも技術的にも手頃な課題かなと考えていたが、長時間行動が前提となると経験がなく、決断が鈍った。せめて、技術的核心で足を引っ張らぬようアイスのIV+リードやV-フォローで絶対に落ちない自信が付かない限りは断ろうと思っていた。
が、事前のトレーニング山行で踏ん切りが付き、パートナーにOKと返答。大変な山行になることは分かっていたが、自分の力を試す機会を前にやや興奮しながら当日を迎えた。

山行前日の17時過ぎにパートナーのI氏と新宿にて合流後、伊那まで5時間弱のドライブ。三峰川林道の杉島ゲート手前の駐車場に着いたのが22時前で、30分程度の仮眠と荷物のパッキングの後、23時過ぎに行動開始した。
林道はわずかな積雪と所々に凍った水溜りがあるのみだった。丸山谷の分岐から南沢に進むと林道が途切れて雪道になるが、今回は一週間前に入ったと思われるパーティのトレースが残っていた。この時点で積雪は膝下-膝くらい。少なくとも一週間以上は降雪がない。幾度かの渡渉や堰堤超えを経て、1400m付近の分岐で左俣へ。しばらく進むと滝に当たるため右岸側から高巻きするが、ここは傾斜が有るうえガレているため慎重に登る。巻いてからしばらくすると営林小屋跡に到着。
小休止の後、岳沢越まで沢筋をひたすら登っていくが、やがて傾斜が付いてくるとガレて悪くなるので左岸側の藪に入る。ちょっとした急登を経て4時半頃に岳沢越に到着。東側に斜面を下り、三峰川本流に突き当たったら沢沿いにやや南下すると岳沢出合に到着。時間は5時を過ぎたが、まだ真っ暗だった。スタートからの所要時間は6時間で、大方予定通り。
小休止の後、岳沢に入りF1を目指す。トレースは沢に入ると殆ど消えており、ここからはラッセルになる。雪の深さは膝程度だったが、表面がクラストしたモナカ状のため非常に歩きにくく、また時折吹き溜まりで腰までハマることもあり体力と時間を奪われた。F1に到着した頃には7時を過ぎており、周囲はとっくに明るくなっていた。日が登ることで寒さは和らぎ楽になったが、この頃から眠気を感じるようになる。とはいえ仮眠を取る時間の猶予もないので先へ進む。
遅くとも14時頃にはF8ソーメン流しを通過し、日暮れ前には仙丈ヶ岳を超え地蔵尾根に入りたかった。間に合いそうになければビバーク場所を探すか、途中で引き返すことも視野に入れなければならない。

F1は傾斜の緩い6-7m程度の氷瀑。釜は完全に雪で埋まっていた。ここはフリーで通過し、左へ進路を取ると遠くの側壁に30-40mはあろうかという見事な大氷柱が掛かっているのが見えた。氷柱は下部までしっかり凍り付いており、V+以上はありそうだった。
F2は大氷柱の右脇にあると思われたが殆ど埋まっておりよく分からなかった。すぐ先にF3が見える。


F3はやや傾斜があり扇状に広がる30mの氷瀑。氷瀑の左寄りは立っており氷柱状の部分もあるなど少し悪く、右に寄る程傾斜が緩く登りやすそうに思えた。右端部から左上すれば楽に抜けられそうに見えたのでフリーで取り付いたが、これは失敗で、落ちることのできない高さでガレた草付きの登攀やナメ滝でのトラバースをするハメに。ここは慎重にロープを出すべきだった。F3最後のナメ部分を通過すると、直後にF4。


F4は序盤が垂直に近い15m程度の氷瀑(IV+程度)。ここでロープを出し、パートナーがリードで先行する。本人のコンディションはあまり良くなさそうだったが、凹角を突きながら危なげなく上まで抜けていった。自分もフォローで登ってみると、思ったより氷が硬くやや苦労させられた。
F5はF4の先で見える筈だったが、雪に埋もれていた。先の分岐の右俣にF6。


F6は傾斜の緩い10m程の氷瀑になっており、その他大部分は埋まっていた。フリーでさっさと抜ける。


F7は傾斜の緩い20m程度の氷瀑で、左から巻くことができた。氷の合間から水を汲み、小休止を取る。ここで水分補給できたのはとても有り難かった(この山行での最後の給水ポイントになった)。F7を通過すると、すぐ左側に見事なソーメン流しの滝が見えた。この時点で11時。ここから3時間でF9まで抜けられれば、ラッセルの調子次第では当日中の下山も十分可能と思われた。


F8は全長80 – 100m程度の氷瀑。下部は緩傾斜で所々が立っている程度で簡単そうだが、上部30mはほぼ垂直になっていた。ここは有り難くもリードを譲って貰う。この時には高揚感で眠気など忘れてしまっていた。
垂直部の手前まで進んでピッチを切り、パートナーを引き上げた後、核心へ挑む。一度右側のテラスに向かった方が楽そうには見えたが、なるべく垂直部を楽しみたかったので直上へ進む。氷は立っているものの、やや段状になっており足の置き場は豊富で、ピックさえ決まればレストは容易だった。上部では氷が薄く脆くなり、ランナーも取りにくくやや気持ち悪かったが何とか突破。最後に乗っ越し、しばらく(60mロープが心許なくなる程度に)歩いた先の灌木で支点を作り、パートナーが上がってくるのを待つ。技術的な難所は終わったのでかなり気が楽になった。


F9は緩傾斜の10m程度の氷瀑。ここはフリーで抜け、ロープをザックに戻した。この時点で14時半。仙丈ヶ岳までの標高差は500m程度。日暮れまで時間の余裕は無いが、ラッセルが絶望的という様子でもないので予定通り大仙丈ヶ岳目指して進む。

F9からしばらく進み、ルンゼ状の地形を抜けて多少開けた辺りで分岐を左俣に進む。傾斜があり表面はクラストしてるうえ吹き溜まりも多いため辛いラッセルになるが、パートナーと時折交代しつつ辛抱強くペースを維持。しばらく小沢を詰めた後、向かって右の尾根に入る。後は大仙丈ヶ岳の西稜に乗るまでひたすら登るのみ。やがて大仙丈ヶ岳のピークが視界に入りやや気が逸るが、高度と疲労の為に心拍数を上げきれず、思いとは裏腹に遅々としたペースで確実に標高を稼いでいった。


大仙丈ヶ岳に到着したのは17時前で、既に日が傾いていた。更に先へ進み、仙丈ヶ岳に着いたのは17時半。日は暮れかかっていたが、山頂からは下界へ伸びる地蔵尾根とそこへ続くトレースが確認できた。後はひたすら降りるだけ…。
下山時は寝不足や疲労、寒さが合わさりとにかく苦しかった。地蔵尾根では何度となく登り返す場面があり、精神的に消耗した。途中、私は水分不足気味になっており、パートナーのジェットボイルで沸かしたお湯がとても身体に染みた。
柏木登山口に到着する頃には日を跨いでいた。更に杉島ゲートの駐車場まで1時間掛けて歩き抜き、山行は無事終了。行動時間は26時間にもなった。達成感は大きかったが、とにかく疲れた。

山行の所感

・体力的には自身の限界に近い山行だった。行動食は計4000kcal分と普段より多めに持っていったがこれでも十分とはいえなかった。水分補給の方が疎かになってしまったのは失敗(摂取量は3L弱くらい?)。

・アイスの核心部分はトポ通りのIV+くらいだったと思うが、10kg程度の装備で臨んだからこその体感であり、連泊装備で挑んでいたら今回ほど楽に登攀することはできなかった筈。40km弱の水平移動と累計で2500m以上の登りを消化しきれたことも含め、軽量化による登攀難度や機動力への影響の大きさを身をもって知った。

・今回の山行は、基礎体力と登攀技量の錬成や達成感の獲得のみに留まらず、長時間行動に臨んだ際の自身の身体や精神の挙動への理解を深め、また装備の選択や軽量化に対する考え方を変える契機となった。多くの気付きを得る切っ掛けを与えてくれたI君に感謝です。

(記: 江戸)

太田切川本谷・野猿の岩場アイス

日程: 2022年1月22日(土) – 22日(日)
山域: 大田切川本谷・野猿の岩場(中央アルプス)
参加者: 国府谷(L)・坂田・林・江戸
行程:
第1日目: 悪沢右岸ゲレンデ: 菅の台バスセンター(8:30) – (バス) – 檜尾橋バス停(8:50) – 取水口着・設営(10:30/11:00) – 悪沢右岸ゲレンデ(11:30) – 取水口(16:00)
第2日目: 糸ダル沢(撤退)、野猿の岩場C・D沢: 取水口(6:30) – 魚止の滝?(7:00/8:00) -取水口(8:20/テント撤収 9:00) – 檜尾橋バス停(9:50) – 野猿の岩場C沢(11:00/16:00) – 菅の台バスセンター

1/22 悪沢右岸ゲレンデ

前夜22時に国府谷さん宅発、現着は翌1時過ぎ。バスの始発が8時過ぎだったので、この晩はそれなりに寝られた。

檜尾橋バス停から取水口へ続く管理通路は整備されており、歩きやすい。この日は取水口で幕営し、手前の吊り橋を一つ戻って悪樽沢のゲレンデへ。ゲレンデは悪沢沿いに進んで10分程の所で右岸側からの滲み出しが凍り付いたもので、これが高さ15m程度の氷壁を作っていた。
氷壁は傾斜の緩い易しめなラインや氷柱混じりの少し面白いラインを取ることができたため、午後はここにトップロープを張って遊んで過ごした。
ちなみに、さらなる氷を求めてゲレンデから更に30分以上沢をラッセル&渡渉し遡上してみたが、興味を引く氷瀑や氷壁は見つからなかった。

夕飯はα米と国府谷さん作キムチ鍋。お米2合頂きました

1/23 糸ダル沢(アプローチ撤退)・野猿の岩場C沢、D沢

空が明るみ始めたタイミングで糸ダル沢目指して出発。取水口を高巻きし、やや緊張感のある渡渉をクリアし、大岩を左巻きし…と順調に歩き出すが、その直後のゴルジュ帯で滝壺に当たり完全に行き詰まってしまった。右岸側からの高巻きを考え、少し後退して手前の沢を登っていくが、巻ける気配のないまま100mは標高を上げてしまう。結局、トポ通りに糸ダル沢へ向かうにはゴルジュ帯の滝壺が凍っていなければならず、そうでなければ往路復路共にかなり気合を入れて高巻きしなければならないことが分かった。あるいは、腰下の浸水を完全ガードした上で滝壺に入り滝に付いた薄氷に取り付くか?何にせよ、我々は途方に暮れた。
高巻きの為に遡った右岸側の沢の上部に氷が見えたので、あわよくばと近付いてみるが、これはただの滲み出しで登れたものではなくまたも撃沈。最終的に、この日は糸ダル沢を諦めて野猿の岩場への転進を決め、撤退。

野猿の岩場は一週間前に坂田氏と日帰りで訪れていた(D沢を探して2時間近く山中を彷徨う羽目になり、諦めてC沢に行くとそのすぐ脇にD沢があり拍子抜けした苦い記憶…)。野猿到着後、江戸・林はC沢に、国府谷・坂田はD沢に着手。
C沢F1は垂直に近い10m程度の氷瀑。中央付近には先行者が刻んだらしいステップが残っており足元は良かったが、傾斜が垂直寄りということもあり時折腕を休めないとすぐにパンプしてしまった。F2は筋が3本に別れ落ちる5m程度の小滝。こちらは落口の凍り付きが甘く乗越す時に少し嫌らしかった。F3は6~7mの小滝で、傾斜は強くないがF2同様に落口が悪かった。
C沢は1週間前よりも全体的に氷の厚みが増しているように感じられた。F1下部右側の氷柱群もだいぶ育っており、トップロープを張ればバーティカルアイスの練習ができたため、この日は夕方までF1で遊んだ。

ちなみに国府谷さん・坂田さん曰く、D沢の方は氷が痩せていたり薄かったりであまり面白くは無かった様子。

(記: 江戸)

3連休は戸台でアイス その2

1/8

自宅出発は4時半頃だったが現着は9時過ぎ。幕営予定地は歌宿沢出合の近辺だったが、上ニゴリ沢着が正午になったため予定を変更し、その場で幕営して上ニゴリ沢F1へ向かう。

上ニゴリ沢F1はスーパー林道下に伸びる40m程度の易しめなナメ滝の中に時折3m程度の小滝が聳えていた。今回はトップを譲って貰い、練習のつもりで小滝にガンガン挑んでF1を通過。林道に上がると傾斜のある7,8m程度の滝F2が見えたが、先行パーティも取り付いており時間切れ撤退。出合までの道程は浮石だらけだったため帰り道は実に疲れた。

1/9

寝坊してしまい朝7時発。天気良し。舞姫の滝到着は8時半になってしまったが、先行パーティは一組のみだった。
F1はやや傾斜のある6 – 7m程度の小滝の上に30m程度のナメ滝といった感じ。ここは私がリードし、F2直下で切る。F2は60度前後10m弱の小滝で、林氏リードで通過。その後100m弱歩いて本丸のF3へ到着(この時私がスクリューを一本落としていたため、後々探し回るハメに…汗)。
F3は20m以上はあるほぼ垂直な氷瀑で、直下に来るとかなりの威圧感があった。所々凹角はあるが、上部には弱点になりそうな部分が少なく苦労しそう…。自分には安全に登れる自信があまり無かったので、林氏に先行して貰った。
前半部分を終え、バーティカルな後半部分に差し掛かった所で、林氏から歓喜の声が。氏曰く、前半部分は氷が濡れ気味で緩く、スクリューが信用できなかったとのこと。なんてこと。その後も林氏が漢パワーを発揮し続け、危なげなく上部まで突破した。流石にお強い。
セカンドで登ってみると、序盤は確かに氷が軟らかかった。上部に差し掛かると、氷はほぼ垂直な氷柱状になり、足元が心許なくなった。途中で半身が壁から引き離される場面もあり冷や汗を掻いたが、微妙な凹部を攻め何とか突破。トップで引っ張ってくれた林氏に感謝。

1/10

朝6時発。天気良し。歌宿沢に入り、しばらくしてから現れた分岐の左俣を進むと間もなく歌姫の宿のF1らしきものが見えた。
F1は5,6mの小滝で、その先に30m程のナメ滝。F2は下部が5m程度のナメ滝で、そこから10m強の垂直に近いパートに入り、上部は20m程度のナメ滝となっていた。
林氏に拝み倒してトップを譲って貰い、スクリューをキメながら登っていく。氷は舞姫の滝よりもやや硬めで割れやすく感じた。スクリューを落としてしまうアクシデントはあったものの、このセクションも無事突破し、上部の林道まで登り詰めて終了・撤退とした。
F1まで下降し、満足した気分で帰路に就こうとした時、我々が降りてきた滝とは別方向から人の声が聞こえた。どこを登っているのかと見てみると、なんとそこには30m以上はあろうかという大滝が聳え、そこを豆粒大の人が登攀している…

結論から言うと、我々が挑んだ沢は歌姫の宿ではなくその支流だった。歌宿沢の左俣に入った時に最初に目に入った滝をトポに記載されたそれと認識してしまい、実際のスケールと記述との違いによる小さな違和感を無視してしまったが故の悲劇。今後の教訓にしなければならぬ。
※ちなみに今回登った滝には残置物があったので、他にも迷い込んだ方はいらっしゃるよう。F2自体はまずまずのスケールがあるので、歌姫の宿が満員の時はこちらに転進してみるのも良いかも?

(記: 江戸)

3連休は戸台でアイス

日程: 2022年1月8日(土) – 9日(月)
山域: 戸台(南アルプス)
参加者: 林・江戸
行程:
第1日目: 上ニゴリ沢
第2日目: 舞姫ノ滝
第3日目: 歌姫の宿(の左俣)

1/8 上ニゴリ沢

当日朝発で気が付けばゆっくりめのスタート。
昼頃に上ニゴリ沢出合到着。思ってたより長い出合からのアプローチをこなしてF1まで。
しっかり出遅れたからF1には先行2パーティーがいたため、しばらく待ってから江戸君リードで取り付く。F1は寝ているところを繋いでいけばやさしい、けどリードが立ってるところに行きがち。落ち口のスーパー林道に上って終了。時間切れで今日はここまで。
下りが歩きずらくて足首がグキグキってなった。F2以降を残してしまったけど下りを考えるともう行かないかも。

1/9 舞姫ノ滝

この日は舞姫ノ滝。名前が素敵だ。
丹沢山荘から踏み痕をたどって10分くらいで対岸にF1。わかりやすいしアプローチが楽で嬉しい。F1-F2を2ピッチで抜ける。その先すぐがメインデッシュのF3。下部は所々段々になっているもののしっかりバーチカル。しっかりビビりながらアックステンションかける気満々で取り付く。氷がやわらかくアックスは決まりやすかったのでレストしながら登れた。その分中段は氷がスカスカで、スクリューの効きが怪しかったので騙しだまし。なんとかノーテンションで抜けられてホッとした。
午後になると日が当たって氷が緩んでしまうのと、上部で雪が緩むせいか脇の斜面から落石がぽろぽろくるので、登るなら午前中が良さそう。
下降後にわけあってF3基部までもう一往復して終了。

1/10 歌姫の宿

最終日は歌姫の宿。こっちも良い名前だ。
のはずだったのだけれど、隣の沢を登っていた。。。
沢を詰めて奥に見えた滝に喜んで取り付いたものの、下降後にふと振り返るとすぐ隣に立派な大滝が見えた。なんで気が付かなかったんだろ。F1すぐ下の左俣に入ってしまっていた。トポの記述っぽいんだけど、ちょっとずつ違うなとは思いつつ降りてくるまで気が付かなかった。
歌姫の宿左俣(と呼ぶ)は、F1が垂直3mくらいでその先がナメ。ちょっと進むと結構立派な滝があり、下部15mくらいは立っている。その先のナメ滝を抜けて100m程歩くとスーパー林道に出た。負け惜しみだけどこっちだってそこそこ楽しめると思いたい。

今度は上流部にも行きたいです。

(記: 林)