丹沢にて単独トレーニング

日程: 2010年3月22日(月祝)
山域: 丹沢
参加者: 志村
行程: 大倉 – 塔の岳 – ヤビツ峠

2010年初の登山である。あまりにも久しぶりなので、とりあえず今の自分を把握する為、1人で体力測定することにした。当初の計画は東野-蛭ヶ岳-丹沢山-塔の岳-ヤビツ峠を1泊で行うつもりだったのだけど、折角の三連休の中日は嵐だった。家は出たのだが、あまりの暴風雨に恐れをなして計画変更とした。単独なので臆病だ。
最終日は絶好の登山日和、渋沢駅からのバスにも沢山の登山者が乗っている。「大倉尾根はトレーニング用だから…。今歩いておかないと夏に歩けなくなっちゃうわ。」なんて周りのおばさま方が話している。皆考える事は一緒ね。
それにしても大倉尾根は苦手だ。殆どが階段なのだ。たまに開けた場所から富士山の雄姿が拝めるのがせめてもの救い。久しぶりの登山で、足が早々に痛みだしてきた。膝の裏から腿、ふくらはぎ、と筋肉のパーツパーツが順々に悲鳴を上げている。山頂に着く頃には筋肉痛でヨロヨロになってしまった。登っている最中にこんなに足が痛むとは…。
そして寒い!風と雲が出てきた。震えつつ急いで昼食を取る。
このまま大倉尾根を下ってしまおうか…という悪魔の囁きを振り払って計画通りヤビツ峠方面に下りる。大賑わいの大倉尾根とは別の山域かと思う位人は居ないし、アップダウンがあるし、こちらに下りたのは大失敗だった。ここにマラソンのピックアップ用バスが通ったら確実に乗るな。と愚痴りつつ下りた。こんな状態で登山に復帰出来るのか?と不安だけが残った。

(記: 志村)

残雪の山

日程: 2010年3月27日(土) – 28日(日)
山域: 霞沢岳西尾根(北アルプス)
参加者: 国府谷(L)・廣岡
行程: 本文参照

201003kasumi4_2 アイスだとかフリーだとかごちゃごちゃしたけど結局は霞沢岳西尾根となった。
北アルプスの山である。実は以前からちょっと気になるところであった。
金曜夜出、途中に夜間通行止めがあり、道の駅で足止め。車中泊。
27日に坂巻温泉に駐車。ここから釜トンネルまで20分程歩くことになるが沢渡からタクシーやバスに乗ることと比較して、下山時のことを考えても得策と思った。
7時半くらいに上高地方面へ向けて徒歩。釜トンネルを過ぎて土木事務所まで1時間ちょい。
ルートは土木事務所の裏手の笹の斜面から始まる。初めからワカンでのラッセルを覚悟していたが
ツボ足でもぜんぜんOK。この時点ですでに「もらった!」って感じで。
尾根まで20分位でそこからもサクサク進み、順調にジャンクションに到着。12時前くらい。
幕場にはよいところだが、もうちょっと行っておきたいところ。
と思ったが、この先はあんまりいいところが無くて2100mくらいのところで斜面を削って幕営した。
さてどうしよう。201003kasumi1
計画では明日山頂往復して下山となっている。でも明日の天気は良くはなさそう。
山頂まで多めに見積もっても往復5時間。天気は朝から曇り時々晴れたり雪降ったり。風時々強い。
でもそれほど悪くない。
じゃあこれから行っちゃいましょう。
13時前に必要な装備だけ持って山頂へ向かって出発。
この先も雪はバッチリ締まっており快調に高度を稼ぐ。
唯一の難所の岩稜も特に苦もなく過ごして頂上直下まで。
この辺から風雪が強くホワイトアウト気味。
201003kasumi2 尾根が広くなって暫く行くと山頂と思しき場所に着いた。
看板みたいなものは一切無い。(そんなにマイナーな山だったのか??)
でも北に向かって尾根が続いていて、東側は絶壁になっているので間違いないでしょう。
急いで写真を撮ったら、一目散に下山。でもちょっと降りたら直ぐに風も弱くなってホットした。
例の岩稜はめんどくさいから南側から巻いた。下山は1時間ちょいであった。
16時前には幕場到着。やれやれ、疲れたなあ。
今回は殊勝にもアルコールはナシ。やっぱりこういう心がけが成功に結びつくのか?
複雑な心境だ。
やることやっても19時就寝。明朝5時の起床まで10時間。寒気が入って来ているのか結構寒い。
軽量化の為、テントのフライとシュラフカバーを省略してしまっている。
普段はしないけどザックに足を突っ込んでみた。(案外よかったカモ)
樹林帯なので風がほとんど無いのがとっても嬉しいが。

201003kasumi3 翌朝起きるとちょびっと雪が積もっているが、下山だけなので問題ない。
7時前に出発して9時過ぎに坂巻温泉に着いてしまった。
今日も気温が結構低いのか、水筒の水が2時間経たずに氷でシャカシャカになっている。
坂巻温泉の入浴は11時からとのことなので乗鞍まで行って入浴し(ここはお気に入り)、渋滞前に高速で帰宅した。
うまくコトが済んでしまうとあんまり印象に残らないこともある、というのが今回の感想かな。
ま、贅沢は言えませんけど。

(記: 国府谷)

初雪洞泊

日程: 2010年2月27日(土) – 28日(日)
山域: タカマタギ(上越)
参加者: 国府谷(L)・後藤・廣岡・土井

201002_takamatagi1 2月最終週は上越タカマタギで雪上訓練。
今回はクルマじゃなくてスキー列車(シーハイル上越)を利用した。
先週は関越が大渋滞だったから、今回は気が楽である。
後藤君は車内でも語学の勉強をしている。将来が楽しみな青年である。
大宮から乗車して越後中里で乗り換えて土樽まで。
途中に越後中里駅で無料のお風呂を見つけて勝ったも同然気分である。
最後に土樽駅で準備を整えてから出発。15分ほど歩いて平標山登山口からすぐに右にそれて送電線の鉄塔のある尾根を登るだけ。ワカンは付けているが最初はうっすらトレースも残っていてラッセルもたいしたことない。でもずっと小雨が降っていてしばらくするとびしょ濡れ濡れで不快感マックス。
201002_takamatagi2 2ピッチ登って、標高1100m弱くらいの広い尾根を泊まり場と決定。
後藤君がプローブで確認してくれて積雪はじゅうぶんありそう。
さっそく雪洞を掘り始めるが、これが結構たいへんで結局4時間以上掛かってしまった。
普通はこんなに時間掛からないと思うけど。雪は結構堅かったかもしれない。
腰痛い。ますますびちょ濡れ。
中はというと、テントより広いがチト寒いし、そんなに快適じゃないかも、といった印象。
でも外が吹雪きなら相対的にテントよりいいかも。
今晩のディナーは廣岡さんが張り切ってくれて洋風鍋のご馳走。エビスビールの後になんとワインまで登場。
夜は結構積雪があったようだけど全く気にならなかったから寝心地はきっと良いのだろう。衣類は全然乾かないけど。

201002_takamatagi3 さて翌日はタカマタギまで行くはずが、朝から豪華な食事ということもあり、また、風雪もまだ強かったので早く起きた割には7時過ぎの出発。
膝くらいまでのラッセルを2時間弱で棒立山着。
ここで、多少視界が晴れてタカマタギ方面が見えてきたが、往復で2時間は掛かりそうなので、この後のことも考えて引き返した。幕場まで戻るのは1時間も掛からない。
さて、これから雪洞掘りと並んで今回のメインイベントのビーコンの使い方教室。
講師は後藤先生。ビーコンはおととい買ったばかりのARVA EVO3。
201002_takamatagi4 ビーコンを隠したり、プローブ使ったりしていろいろなパターンを練習。
そうこうしてるうちに雪も止んできて、早めに下山。
土樽駅からまた越後中里に戻って、風呂飯ビール。でもやっぱりスキー場のレストランはよろしくないな。
帰りもシーハイルでビール飲んで帰京。
天気良ければもっと良かったけど、それなりの成果もあったのでよしとしましょう。

(記: 国府谷)

上越シリーズ第1弾

日程: 2010年2月20日(土) – 21日(日)
山域: クロガネの頭北尾根上越
参加者: 国府谷(L)・平井・坂田

201002_kurogane1 上越の雪稜でラッセルじゃー、ということで行ってきましたクロガネの頭北尾根。
クロガネの頭、荒沢山、足拍子岳周辺は以前から興味があって、今回は昨夏から計画していたものだった。
上越の裏山(ヤブ山)で気楽にラッセル&雪稜を楽しもう、とい目論見であった。
坂田さんを池袋で拾ったあと、いつも通り、真っ暗なところ平井家近くをウロウロ。
平井さんが通りまで出てきてくれてやっと合流。
とりあえず、ステーションビバークする為土樽駅へ向かう。湯沢周辺は思ったほどは積雪は多くない。駅にはすでに3名が就寝中の為、無言でシュラフを広げて寝た。

201002_kurogane2 いつも通り、翌朝はゆっくり起床。先に寝ていた3名はとっくに出発している。
旭原に駐車して、準備して、さて出発。天気は快晴。
旭原からテクテクと取り付きまで。何度かスノーブリッジを渡るが困難は無い。所々に見える水面からは岩魚が泳いでいる様子も見える。いいところだなぁ。
いつも通り、取り付き周辺で間違えてウロウロ。ムダなラッセルを1時間。
やっと通り過ぎていたことに気付いたサ。
ここまで先頭で歩いてきたけどすっかりヘコんで後はダラダラ。
でも気を取り直して、暗くなる頃まで頑張ったヨ。2回ほどロープを出したり。
良かった天気がこの頃から風雪気味。

201002_kurogane3 狭いけどなんとか3人用なら幕営可能のところ見つけて入り口がこっちとかあっちとか、あーだこーだ言いながら、とりあえず落ち着く。

ここで初めて気が付いた。3本持ってきたビールのうち1本をザックの中にぶちまけてしまってた。側面に大きな穴が空いている。
寒いからそんなにビール臭くないけどシュラフも濡れてしまった。
パッキングが悪かったのかな。どうりで、ザックをおいた跡の雪が黄色くなってたのか。
その晩は一晩中湿った雪が降っていた。

さて翌朝。珍しく最初に起きてコンタクトも装着して準備万端。皆を起こしてしまった。
外はというと雪が降り続き、30cm以上積もってしまった。トレースも消えているし。
様子見てても変わりないので出発したら結構怖い。実はワタシはあんまりこういうの経験ないんだよね。壁の方が得意かな。
201002_kurogane4 最後のナイフリッジはセッピも張り出してて、その上の雪壁も雪崩れそうだったから(言い訳)クロガネの頭を拝んで引き返しました。
実際、リッジの左右の壁は規模は小さいものの表層雪崩が頻繁に起きているし。
コンディションが悪いのか、下手っぴなのか、、、
敗退はしょっちゅうだけどやはり気まずいな。仕方ないからまた行こう。
でも他に誰もいないし面白かった気がする。
雪の処理はクライミング能力以外の力も必要でなかなか奧が深い。

(記: 国府谷)

毎年恒例尾白川アイスクライミングトレ

日程: 2010年2月6日(土) – 7日(日)
山域: 尾白川下流域(南アルプス)
参加者: 国府谷(L)・坂田・廣岡

今年最初(で最後)のアイスは尾白川下流お手軽アイス。
土曜日朝6時に新宿を出て中央道で白州へ向かう。林道は結構雪がのっていて民家が途切れるあたりで車がのぼらなくなる。慌ててチェーン装着。

身動き出来なくなると困るので更に坂が急になる手前で車を停めて、尾白川林道をガンガノ沢出合まで徒歩で進む。1時間弱のほぼ平坦な道のり。
橋を渡ってすぐの所に幕営。他には天幕1張りだけ。八ヶ岳に比べてもアプローチが短いから日帰りでくるひとが多いのでしょう。
今回はここにベースを作ってのんびり登る作戦である。

初日は刃渡り沢。
テクテク歩いてトンネルを3つ過ぎると林道終点。フィックスのある下降路を降りて尾白川へ。昨年も来ているので気が楽だ。
しかし尾白川を対岸に渡るのがちょっと怖い。落ちたらシャレにならない。
河原に出たらすぐに渡るのが良いようで、帰りはこっちで渡った。
坂田さんはさかんに不調を訴えているが、ほうっておく。

201002_hawatari1
一応F2からロープを出して、F3は左寄りの傾斜が強いほうを登ってみた。
F3まで登って15時過ぎになってしまい時間切れ。
201002_hawatari2 F4が登りたかったのにー
仕方ないので、取り付きからぱっと見上げて、アックスの刺さり具合を確かめて「うん、これなら登れる 」とか言って下降開始。
夜は質素な鍋宴会。ビール飲んだらすぐ眠くなった。
夜も風弱く安眠した。ここは山じゃない(?)から。

201002_hawatari3 さて、翌日はガンマルンゼ取り付きは幕場からすぐ。
F1からF5?までリードさせてもらいました。最後だけ廣岡さんにお願いした。
左岸の尾根の下降も多少残っている雪のせいでトレースも外さず、懸垂せずに降りてこられた。絶妙のルートファインディングだった。(トレースが)
もどったら、まだ少し時間が余ってたのでガンガノ沢F2だけ練習しにいくことにした。
30m位で傾斜はそんなでもない。廣岡さんにリードしてもらおうかと思ったが、とりあえず私がリードしてスクリューをセットしてからフォーローでリハーサルした後にピンクポイント で登ってもらうことになった。
201002_hawatari4 しかし、途中でテントで休んでたはずのS田さんが登場して3人で登ったので時間が無くなってしまった。仕方なく3人で懸垂下降したところで終了とした。
急いで撤収して暗くなる前に車に戻った。
帰りは、白州の温泉→PA飯で渋滞もなく21時半ころ新宿着。
まあまあ遊べたかな。良い練習になりました。
今年は結氷は良いようです。
でも今年はもうアイス終わりかも。

(記: 国府谷)

白毛門から谷川連峰を望む

日時: 2009年12月20日(日)前夜発
山域:白毛門
形態:登山
参加者:土井(L)・平井・志村
行程:土合駅集合(7:15) – 出発(8:00) – (13:20/14:10) – 下山(16:00)

(写真はこちら)

先週の雪訓時には殆んどなかった雪が突然の寒波で記録的な降雪となった。折角冬登山なのだから、行くなら雪山がいいなーとは思っていたけど、降り過ぎる雪も怖い。天気予報のあまり当たらない谷川連峰。現地で状況を判断する事にして谷川岳ロープウェー乗り場に向かうと、大勢の登山者が集結していた。

当日は朝から綺麗に晴れていた。無風快晴。これ以上ないと思われる程の好天気の中、遠くに輝く白毛門が見える。

平井さんと合流し、出発。その頃には既に立派なトレースが出来ていた。「こんなに楽しちゃいかんよ」との平井さんの言葉に、楽々で嬉しいな~と思いながら、快調に進む。この分だと早い時間に山頂に着けるかもしれない。

しか~し!そうは問屋が卸さない!幾つかパーティを追い越していくと、先頭に追いついてしまったのだ…。「途中まではトレースがあったんですけど、なくなってから大変で…」と苦労している。我らが土井さん、平井さん、後から来た地元有力山岳会の面々がラッセルに加わる。雪は深く、斜面はキツイ。振り返ると長い行列が出来ていた。
後続パーティもラッセルがしたいようだ。私は出来ればしたくないので、多くのラッセルファンを不思議に思いながら、交替して行列の最後尾についた。そこからが…。お茶を飲もうが写真を撮ろうが行動食を食べようが、進まない。地元山岳会のパーティが「下りて他の事をします」と去っていったのを皮切りに、どんどん諦めて居なくなってしまう。無常にも時間は過ぎていく。山頂は無理だ…

前は何をしているのかしら?「せめてせめて松ノ木沢の頭までは行きたい!」

先頭が見えるようになった。「膝を2回入れて!足出す!」中高年パーティが陣取っている。
…ラッセル講習?みんな待っているのに?

しばらく待ったけど気が逸る。前方には壁のような斜面があって、その上に上がれば前が見渡せそうなのだ。「替わります!!!(土井さんと平井さんがね)」と申し出る。
半ば強引に替わって貰うと壁に向かった。下が一枚岩で足がかからない。土井さんが鎖を発掘する。平井さんが猛然と進んでいく。2人ともラッセルが好きなようで、生き生きとしている。その壁を越えて少し行くと、とうとう山頂が見えた。ふと見ると、6人しか残って居なかった。面白師弟コンビと単独男性、私達3人。師匠が「あれがジジ岩とババ岩だよ。門のように見えるから白毛門って言うんだ」弟子「あ~、ジジとババが白髪なんですね。だから白毛門かぁ~」これには「へぇ~なるほど~!」と私も参加。師匠「イヤ…それは俺も聞いた事ねーけどよ…」。真偽の程は不明。

そんなこんなで見晴らしのいい高台に出た所で、私達は終了。3人は更に進んでいった。弟子の彼女はラッセルする気満々だ。格好いい!ガンバレ!
すでに雲が出てしまっているけど、風がないので寒くはない。リンゴを貰って食べたり、お湯を沸かしてコーヒーを淹れたり、雲間から差し込む光に輝く谷川連峰をゆっくり堪能する。

冬の谷川岳には何度も行っているが、外から見たのは初めてだ。この眺めが見たくて何度もこの山の計画を立てたのだけど、豪雪を恐れてチャンスがなかった。
ここから見ると北アルプスの穂高連峰のようだな~。本当に荘厳で近寄り難いように感じるのだけど、土井さんは来年挑戦する東尾根のチェックに余念がない。あんな壁を人が登るなんて…。

下山。平井さんは新調したワカンを練習しようと履いている。え、今?

下りは楽かと思いきや、斜面が急なので神経を使う。アイゼンは迷ったけど使わず。

無事下山し、いつもの湯テルメに入る。

楽しかった!雪山を満喫して今年の登山納めとする。
今年もお世話になりました。また、来年も楽しめたらいいな。

(記: 志村)

後日談:前腿が筋肉痛になっていました。足を鍛えるには良さそうです。

船窪小屋に泊まって

日時: 2009年10月10日(土) – 12日(月)
山域: 船窪岳(北アルプス)
参加者:掛川・URAN(会友)・他
行程: 本文参照

私は、昨年から南アルプスの聖岳にある聖平小屋で夏の間働いている。
その縁で、同じ山系にある茶臼小屋の管理人高橋さんのお誘いで、北アルプスの船窪小屋の小屋閉めの日に泊まる事になった。
船窪小屋は以前鵬翔の清水さん、塩足さんらとうちの家内は来た事があるそうでとてもいい小屋らしい。ファンの多い、人気の小屋である。私も山小屋関係者のはしくれとしてどんな小屋なのかなと興味があった。
金曜日夕食を食べてから静岡を出て、七倉の駐車場でテントを張り仮眠する。
土曜日七倉から予約していたタクシーで、高瀬ダムの登山口まで移動する。
濁沢を横切りブナ立尾根登山口に入るのだが、手元の2009年度版の山と高原地図には吊橋と書いてあるが、流失したのか陰も形もなく、この渡渉は苦労した。けっこう水量もあり、流されておぼれることはないと思うが、濡れるのはいやなもの。丸太を渡してなんとか通過した。
ブナ立尾根は、燕岳合戦尾根、剣岳早月尾根と共に北アルプス3大急登の一つ。
だが、思ったより順調に高度を稼いでいく。コースタイムよりもいくらか早いようだ。
途中ナナカマド、ブナ、ハウチワカエデ、ヤマモミジなどの紅葉がきれいだった。
足元に目をやると、ゴゼンタチバナが紅葉し、赤い実をつけていた。このあたりのゴゼンタチバナは南アルプスのものと比べて葉が大きいようだ。マイヅルソウもガラスのような透明感のある赤い実をつけている。
烏帽子小屋の手前から雪がちらちら舞ってきた。小屋に着き、テントを張る。
翌日は一面銀世界。積雪は3センチぐらいか。
不動岳より先の鎖場の通過が心配だ。稜線は多少風がある。
条件がよければ行きたかったが、烏帽子は岩場なので、ピークはパスする。
その先の烏帽子田圃と呼ばれる高層湿原、池塘は見事だった。北であのような池塘があるとは思っていなかった。
不動岳を通過するころには天気も回復し、朝積もった雪も溶けていた。
それでも船窪岳に至るまでの道はワイヤーやロープなど危険箇所が多く、今回ロープは出さなかったが、最低2ヶ所出すべきところがあった。
途中ガイドツアーのグループにあったが、各自スリング、カラビナを持ち、ハーネスまではわからなかったが、間違いなくガイドはそれらを使い通過させていたと思う。
その通過に時間がかかり、夕方4時半ごろ船窪小屋に着く。
食事は手がかかっており、小屋番のご夫婦の暖かい人柄がにじみ出ていた。
写真は載せたいが、興味がある方は是非来年行ってみてください。
夜は小屋閉めのイベントということでアコーディオンコンサートが開かれた。
生の演奏を聴くのは初めてで、しかも2500メートルの山小屋だったので素晴らしい体験だった。
コンサートの後、小屋の方々に振舞い酒をいただき、いろりを囲んで山小屋のことなど話す。
まるで自分の家に帰ってきたような、そんなやすらぎがあの小屋に泊まる人を魅了するのだろう。
翌日着たときと同じように、鐘の音に送られて小屋を後にする。
快晴で、青空のなか、すっきりと、とがった槍が印象的だった。

(記: 掛川)

残秋 – 爺が岳~鹿島槍ヶ岳

日時: 2009年10月10日(土)~12日(月)
山域: 爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳(後立山)
参加者: 志村・他

200910ziigatake 今回のコンセプトは爽やかな秋山を堪能するだけの「頑張らないのんびりまったり山行」と勝手に設定し、友達にも言い含めた。心配していた台風も過ぎ去り、安定した晴れの予報が続いたので目標が達成できそうな予感。

9時。扇沢の登山口から歩き始めると彩りは緑々~赤や黄色~茶と驚く程あっという間で枯れた残秋に姿を変えた。

その頃、ポツポツと雨が降り出した。降ったり止んだりを繰り返し、雨は霙に雪に季節を早送りしたように移り変わる。快適性を重視し軽量化を図っていない為(トレーニングも兼ねて)、段々ザックが肩に食い込んでくる。つらい…。この時点で、「頑張らないと」テン場に辿り着けない状況になっていた。

13時。幕営地の種池山荘に着く頃にはしっかりとした雪、というか吹雪?になった。

寒くてテントの中から出る気にならない。あまりの天気予報の外れっぷりに気象庁への八つ当たりとして悪口を考えるが、思いつかない為「も~」とか「ブー」とか動物的言語を発しただけで、さっさと就寝。明日は晴れると信じて。

6時出発。夜中降り続いた雪は止んでいるが、まだ薄暗く、強風が吹きつけている。爺ヶ岳に続く登山道は姿を消し一面は雪に覆われていた。そして誰も居ない。

北アルプスは、自然の掟で定められた通り生真面目に季節を移り、冬への準備を始めていた。私の最後の秋を堪能したいという要望は勿論聞いてくれない。一方から吹き付ける冷気に片腕がしびれてきた。心細いが、午後からは晴れるという予報を頼りにして突き進む。一瞬の晴れ間に劔岳が朝日に照らされた。澄み切った冷たい空気の中で輝くその急峻な岩山は下界の諸々の上に堂々と聳えていた。どんな高名なカメラマンをもってしてもこの景色は映し撮る事は出来ないだろう。思いっきりテンションの上がる私たち。しかし、すぐにまた姿を消し、その日は二度と現れてはくれなかった。なんだよー、一瞬かよー、現れろーと野次を飛ばしてみる。あ~~~ガッカリ・・・。

鹿島槍も山頂に雲を漂わせたまま、強風と雪に阻まれた(そんなに酷くはない)私たちは布引山で撤退を決断した。無理して山頂に着いても眺望なかったらツマンナイし~。いいもん!また来年来るもんね!と捨て台詞(?)を残し退散した。

帰りに向かう爺ヶ岳は・・・格好良かった!ゴメン!爺ヶ岳よ!すっかり鹿島槍へ続く通過点位に見ていたよ。3峰連なる岩山はとても雄大に見えた。大反省。とても格好いい山でした。超・素敵!

爺ヶ岳の下りは全く様相を変えていた。道がある!雪がない!?こんなにあっという間に?
なんだか季節に翻弄された山行になった。私の予感も当たらないなー。

3日目の下山日はド・ピーカン。雲一つない青空の下、360度の大パノラマを恨めしく見つつ、とっとと下山。

帰りに寄った『薬師の湯』はとても良かった。

(記: 志村)

フリー再開1回目

日程: 2009年9月26日(土) – 28日(日)
山域: 有笠山(北関東)
参加者: 国府谷・他
行程: 本文参照

9月27日(土)

フリー再開は、最近絶好調(?)のS木さんと今年初めての有笠山。
5月に来たときは、雨で壁を触っただけでなにもしてなかったから。
今日は、西口からアプローチする古谷ロックへ向かう。
坂道あるいて10分かからないくらいで楽勝。天気も最高。
途中にあるサンダンスエリアにもクライマーが数人いたけど全体に人は少ない。
古谷ロックには誰もおらず貸切。
初めてのエリアなので、とりあえず易しい方から片付けることに。
私は弱気君になってしまい、すべてS木さんにMOSしてもらって
ヌンチャクが掛かっている状態でやりました。
まず左端の「不思議なルート」。10cなのにメチャ被ってる。回収が大変。
次に「ゴロピカリ」。群馬らしい(?)ネーミングだ。
ちょっと苦労した。クラックに肘を入れてしまった。
さて次は★★★になってる「夢の浮橋」。
もう限界。2回やってRP出来ず。2回目の方がひどかった。
右端の「カシン」は触りもしなかった。出来る気がしないから。
S木さんはすべて一撃でお持ち帰り。当たり前か。。
今度ここにくるにはビレイヤー核心かもしれない。
帰りに、偏屈岩下の変なルートやったらますます凹む。
この後は、榛名湖畔のゆうすげでお風呂入って、高崎名物のパスタ屋さんに行って大満足。

9月28日(日)

2日目も、朝から目いっぱいご馳走になり岩場へ。
昨日と違って天気がイマイチ。ぽつぽつ雨も落ちるが壁は被っているので濡れることはなく登ることについては大丈夫。
今日も、昨日の宿題をやるために古谷ロックと隣のサンダンスエリアへ到着。
まずは苔の庭と友よさらば、でアップ。どっちもグレード辛く無くないかな。
ではさっそく宿題の夢の浮橋へ。
最初はヌンチャク掛けかな、と思ってたら誰もいないのにヌンチャクが掛かっていたので、すぐにRPトライ。
あっさり出来ちゃいました。 (たいしたグレードじゃないけど)
そのあと、S木さんの、若緑と大地賛賞を1撃するのを見て終了。
ではなくて、もうひとつある昨日の宿題をやるために、また偏屈岩下へ。
ガーン。やっぱり、終了点直下でテンション。
また宿題残しちゃったよ。この秋は有笠に通わなきゃ。

(記: 国府谷)

会山行でお初古賀志山

日程: 2009年9月5日(土) – 6日(日)
山域: 古賀志山(北関東)
参加者: 国府谷(L)・志村
行程: 本文参照

9月5日(土)

今回は、クライミングはもちろんだがレスキュー訓練も予定していたのだが、いかんせん二人(いろいろ事情で)ということもあって自己脱出をやったのみであった。

さて、お初の古賀志山であるが、今回は雄滝周辺しか登らなかった。
100岩場には「非常に混雑している」、みたいなことが書かれていたので、覚悟はしていたのだが、まだ季節的に暑い時期ということもあってか、ローカルのクライマーが10人くらい居たほかは、5-6人ほどしか居なかった。
岩場は、若干の順番待ちはあったが、混雑している、という程ではなく、人気ルートをはずせば全く問題なかった。
ただ、林道沿いの駐車スペースは少ないので、岩場の混雑よりも、こちらの方が気を付けなくてはいけない。とはいっても15分も余分に歩くつもりならばハイキングする人用のちゃんとした駐車場を使用できる。
マラ岩はメインの岩場から5分程度であり、なかなかすっきりした岩だが、見に行ったときは、誰も居なかった。日当りが良いのでこの時期は皆さけているのだろう。
雄滝周辺のエリアは日陰もありそこそこ涼しい。真夏でも城山南壁基部よりは涼しいだろうと思う。
それと好感度上々だったのが、「虫が(あんまり)いない」(最近ひどい目にあってるので重要)
虫除けは使ってたけど、蚊取線香は不要だった。
さて、最初から思い出すと、土曜日の朝7時にほぼ予定通り亀戸に集合出発。
中央道などはすでに20km以上の渋滞のようだが東北道は順調。これも実は読み通りである。
途中、高速道路での事故現場をすり抜けながら今日の泊まり場の森林公園キャンプ場に無事到着。最初にチェックイン(予約制です)してからキャンプ場をチェック。(ここに戻るのは暗くなってからになりそうだったから)
まあまあいいんでないでしょうか。無料だから多くは望まないけど十分以上です。ちなみに4月-10月まで利用できます。
ここからちょっと迷いながら岩場近くの林道到着。100岩場に出てる「勤勉屋」はもうなくなっていて(酒屋だったぽい。店は閉鎖してた)県道70号で古賀志山南登山道か城山西小学校を目指せばよい。森林公園から直接繋がっている林道は途中から通行止めになっている。
岩場は駐車スペースから10分とかからない。
着くとすでに皆さんお揃いで、わいわいやってる。一見してローカルクライマーで結構高齢(失礼)。
60歳前後かな。
とりあえず、人のいない滝の右壁の下にベースを置いて壁を観察。
こっち側は、いかにもチャートっぽく斜めに鋭角の摂理(?)がはしっている。
リングボルトが散見されるのもちょっと気になるかな。
最初は身体慣らしで、凹状フェイスを登った。志村さんにもトップロープで登ってもらう。
難しくはないが、なんか登りにくい。
お昼寝を挟んで、次はこの岩場の人気ルート、ウルトラマンフェースへ。
この岩場の特徴で出だしがちょっと被ってる。5.9だけど慣れていないと苦労するかも。
続いて(また昼寝したり実際はかなり時間が掛かっているが。。)
隣の粉やの娘さん。これも出だしが被り気味。
最後に右壁に戻って、(たぶん)猫またぎ1.5(このあたりどれが猫またぎ1か1.5か2か判別不能。知ってる人に聞いたほうがよい)
だんだん、岩にも慣れてきてさほど緊張せずに登れた。だらだらしてばかりの一日はこの辺で終了。
勤勉やを探しながら、来た道を戻って、宇都宮IC近くにチェック済みの、宇都宮市農林公園ろまんちっく村の地ビールレストランでお食事。
地元の食材を使用していることがウリらしいが、なかなかいい味だった。
ちなみに私は(たしか)スペアリブカツレツで志村さんがハンバーグ。
後は、受付済みのキャンプ場で、ちょっとビールを飲んだらすぐに寝てしまった。

9月6日(日)

さて翌6日は、早起きすることも無かったが、要領が分かっているのでさくさくと岩場へ。
昨日と同様に滝の右壁基部に荷物をおいた。
私は、ドライアイスセンセーションでアップ。志村さんもさくさくアップして、志村さん希望の
競技会ルートへ。
出だしがイマイチ入り組んでてよく分からなく、近くのひとに聞いたりして登ってみた。
小川山ストーリーをちょっと短くして易しくした感じかな。志村さんにもとりあえず、登ってもらう。
5.9にしては傾斜が強いから、慣れが必要かな。
それから、念の為自己脱出訓練をやって、昼寝(またかよ)のあとに、この地の看板ルートの羚羊ハングをやってみる。
前にやってるクライマーのムーブをガン見してからトライ。1本目のボルトまではIII級くらいを6-7m程登ってから。核心はハング部分のちょっとだけ。お買得でしょう。
そんなこんなで終了。まだ早いうちに切り上げて、温泉入って20時には亀戸到着。
無事、終了。
古賀志山は初めてでしたが、キャンプ場も近くて、今後もいろいろ楽しめそうです。

(記: 国府谷)